StudyNurse

抗癌薬血管外漏出への初動対応

看護師国家試験 第104回 午後 第42問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

104回 午後 第42問

抗癌薬の点滴静脈内注射中の患者が刺入部の腫脹と軽い痛みを訴え、看護師が確認した。 直ちに行うのはどれか。

  1. 1.刺入部を温める。
  2. 2.注入を中止する。
  3. 3.注入速度を遅くする。
  4. 4.点滴チューブ内の血液の逆流を確認する。

対話形式の解説

博士 博士

抗癌薬を点滴中の患者が刺入部の腫脹と痛みを訴えた。最初に何をするかの?

アユム アユム

温めて循環を良くするのはどうですか?

博士 博士

いや、温めると血管が広がって薬がさらに広がってしまうのじゃ。

アユム アユム

では速度を遅くしますか。

博士 博士

遅くしても漏れ続ければ組織は壊死していくぞ。

アユム アユム

血液の逆流を確認しますか?

博士 博士

逆血があっても腫脹や痛みがあれば漏出は否定できん。確認より先にやるべきことがあるじゃろう。

アユム アユム

あ、注入を中止するんですね。

博士 博士

その通りじゃ。血管外漏出が疑われたら何よりもまず中止が原則じゃ。

アユム アユム

中止した後はどうするのですか。

博士 博士

残った薬液と血液をシリンジで吸引し、抜針して冷却、マーキングして医師に報告じゃ。

アユム アユム

壊死すると怖いですね。

博士 博士

アンスラサイクリン系などはvesicantと呼ばれ、潰瘍やケロイドを残すこともある。だから初動が肝心じゃ。

アユム アユム

温めるか冷やすかは薬剤で違うのですね。

博士 博士

うむ、ビンカアルカロイドは温罨法じゃ。施設のプロトコルを必ず確認するのじゃぞ。

POINT

抗癌薬の血管外漏出は重篤な組織壊死を起こすため早期対応が必須です。刺入部の腫脹や疼痛、発赤、滴下不良、逆血消失などのサインを見逃してはいけません。発見時はまず注入を中止し、残存薬液を吸引した上で抜針、冷却またはプロトコルに従った処置を行い、医師へ速やかに報告します。投与中の頻回観察と血管選択、確実なルート確保が予防の要となります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:抗癌薬の点滴静脈内注射中の患者が刺入部の腫脹と軽い痛みを訴え、看護師が確認した。 直ちに行うのはどれか。

解説:正解は2の「注入を中止する」です。抗癌薬の点滴中に刺入部の腫脹と痛みが出現した場合、血管外漏出の可能性が高いため、組織壊死の進行を防ぐために何よりも先に注入を中止することが必要です。

選択肢考察

  1. × 1.  刺入部を温める。

    温めると血管が拡張し薬液の拡散と組織障害が広がります。一般に多くの抗癌薬では漏出時にまず冷却を行います(一部のビンカアルカロイド系などでは温罨法が推奨されますが、いずれにしても温めるより先に注入中止が優先されます)。

  2. 2.  注入を中止する。

    血管外漏出が疑われる場合、漏出量を最小限にとどめ組織障害を防ぐため、何よりもまず注入を中止することが最優先です。

  3. × 3.  注入速度を遅くする。

    速度を落としても薬液が組織に漏れ続けます。中止せずに注入を継続すれば壊死範囲が拡大するため不適切です。

  4. × 4.  点滴チューブ内の血液の逆流を確認する。

    逆血が確認できても、刺入部に腫脹や疼痛がある時点で漏出は否定できません。確認より先に注入を中止して医師へ報告します。

抗癌薬の血管外漏出(extravasation)は組織障害性の強さによりvesicant(壊死起壊薬)、irritant、non-vesicantに分類されます。アンスラサイクリン系などのvesicantが漏出すると数時間〜数日後に水疱・潰瘍・壊死へと進行し、難治性のケロイドや関節拘縮を残すこともあります。発見時の対応は「注入中止→残存薬液とできるだけ多くの血液をシリンジで吸引→抜去→冷却(薬剤により温罨法)→マーキングと写真記録→医師報告→解毒薬投与の検討」が基本です。

抗癌薬投与中に起こる血管外漏出への初期対応の優先順位を問う問題で、まず「注入中止」が原則であることが核心です。