与薬法の基本を再確認
看護師国家試験 第104回 午後 第46問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
与薬方法で正しいのはどれか。
- 1.筋肉内注射は大殿筋に行う。
- 2.点眼薬は下眼瞼結膜の中央に滴下する。
- 3.バッカル錠は、かんでから飲み込むよう促す。
- 4.口腔内に溜まった吸入薬は飲み込むよう促す。
対話形式の解説
博士
さて、与薬方法の問題じゃ。正しいのはどれかの?
アユム
筋肉内注射は大殿筋ですか?
博士
ノーじゃ。大殿筋には坐骨神経が走っていて危険なのじゃ。中殿筋か三角筋が基本じゃよ。
アユム
中殿筋ではクラークの点が有名ですね。
博士
そうじゃ、上前腸骨棘と腸骨稜後方を結んだ線の前方1/3が安全な部位じゃ。
アユム
点眼薬は下眼瞼結膜の中央に滴下する、で正解ですか。
博士
その通り。容器が眼に触れないようにして1滴落とすのじゃ。
アユム
点眼後に目頭を押さえるのは何のためですか。
博士
涙嚢部を押さえると鼻涙管に薬が流れず全身への吸収を抑えられるのじゃ。
アユム
バッカル錠は噛むのですか?
博士
噛んではいかん。奥歯と頬の間に挟んで口腔粘膜から吸収させるのじゃ。
アユム
吸入薬の残りは飲み込むのですよね?
博士
いや、うがいして吐き出すのじゃ。ステロイド吸入では特に口腔カンジダや嗄声の予防に大切じゃ。
アユム
複数の点眼薬は時間を空けるんですよね。
博士
最低5分は空けるのが原則じゃ。先に入れた薬が流されてしまうからの。
アユム
与薬は手技だけでなく根拠も重要ですね。
博士
安全と効果の両立、それが看護の腕の見せどころじゃ。
POINT
与薬法では部位選択と手技が薬効と安全性に直結します。筋肉内注射は中殿筋や三角筋を選び、点眼は下眼瞼結膜中央に滴下し涙嚢部を圧迫、バッカル錠は噛まず溶解させ、吸入薬は吸入後にうがいで残留薬を除去します。それぞれの方法に根拠があるため、正しい手順を理解して安全な与薬を実践しましょう。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:与薬方法で正しいのはどれか。
解説:正解は2の「点眼薬は下眼瞼結膜の中央に滴下する」です。下まぶたを軽く下方に引き、容器の先端を眼やまぶたに触れないようにして結膜中央に1滴落とすのが正しい点眼方法です。
選択肢考察
-
× 1. 筋肉内注射は大殿筋に行う。
大殿筋は深部に坐骨神経や上殿動脈が走行するため、筋肉内注射の部位としては不適切です。中殿筋(クラークの点)や三角筋が一般的に選択されます。
-
○ 2. 点眼薬は下眼瞼結膜の中央に滴下する。
下眼瞼を引き下げ、容器先端を皮膚や眼球に触れないようにして結膜の中央に滴下し、点眼後は涙嚢部を圧迫すると全身への吸収を抑えられます。
-
× 3. バッカル錠は、かんでから飲み込むよう促す。
バッカル錠は奥歯と頬の間に挟み口腔粘膜から吸収させる薬剤で、噛まずに自然に溶けるのを待つ必要があります。
-
× 4. 口腔内に溜まった吸入薬は飲み込むよう促す。
吸入薬の口腔内残留は嗄声や口腔カンジダ症の原因となるため、吸入後は必ず含嗽(うがい)して吐き出すよう指導します。
点眼の手技ポイントは、(1)手洗い、(2)患者を上向きにし下眼瞼を引き下げる、(3)容器を眼から1〜2cm離す、(4)1滴を結膜嚢中央に滴下、(5)涙嚢部(目頭)を1〜2分圧迫し全身吸収を抑制、(6)複数の点眼薬は5分以上間隔を空ける、です。筋注部位の三角筋は肩峰から3横指下、中殿筋はクラークの点(上前腸骨棘と腸骨稜後方を結ぶ線の前方1/3)が安全な部位です。
代表的な与薬方法(筋注部位、点眼、バッカル錠、吸入薬)の正しい手技を問う問題です。
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