患者の権利を正しく理解する
看護師国家試験 第103回 午前 第86問 / 基礎看護学 / 看護の基本となる概念
国試問題にチャレンジ
患者の権利について適切なのはどれか。2つ選べ。
- 1.患者は自分の医療情報を見ることができる。
- 2.患者は一度同意した治療方針を拒否できない。
- 3.患者はセカンドオピニオンを受けることができる。
- 4.患者が病室に不在の場合は検査の同意を家族から得る。
- 5.患者情報は患者と家族の同意なく保険会社に開示できる。
対話形式の解説
博士
今日は患者の権利について整理するぞ。基礎となるのは1995年改訂のリスボン宣言じゃ。
アユム
博士、リスボン宣言にはどんな権利がありますか?
博士
良質の医療を受ける権利、選択の自由、自己決定、情報への権利、守秘義務、尊厳に対する権利などが定められておる。これに加え日本では個人情報保護法も関わるんじゃ。
アユム
選択肢1の医療情報を見る権利は?
博士
これは正解じゃ。リスボン宣言の情報に対する権利、個人情報保護法第28条により、患者は自己の医療情報の開示を請求できる。カルテ開示は当然の権利じゃな。
アユム
2番の一度同意した治療を拒否できないというのは?
博士
これは誤りじゃ。自己決定権により、患者はいつでも治療方針を撤回・変更できる。同意は一度きりではなく、継続的に確認するものじゃ。
アユム
3番のセカンドオピニオンは?
博士
選択の自由の権利として明記されておる。他の医師の意見を求める権利は患者に保障されておるんじゃ。これは正解じゃ。
アユム
4番の不在時に家族から同意を得る、というのは?
博士
これは原則違反じゃ。判断能力のある患者本人から同意を得るのが基本で、不在なら待つか連絡を取るのが筋。家族の代諾は本人に判断能力がない場合のみじゃ。
アユム
5番の保険会社への開示は?
博士
守秘義務違反になる。本人の同意なしに第三者へ医療情報を提供することはできん。刑法134条で罰則も定められておるんじゃ。
アユム
判断能力がない場合はどうなりますか?
博士
意識不明や重度認知症などで判断できない場合は家族代諾になるが、可能な限り本人の事前意思(リビングウィル等)を尊重する。これがACPの考え方じゃ。
アユム
患者中心の医療の基本ですね。
POINT
患者の権利はリスボン宣言と個人情報保護法に基づき、自己の医療情報を見る権利、セカンドオピニオンを受ける権利が保障されています。一度同意した治療も自己決定権により撤回可能で、判断能力のある患者本人からの同意が原則です。守秘義務により本人同意なき第三者開示は禁じられています。
解答・解説
正解は 1 ・ 3 です
問題文:患者の権利について適切なのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 1 と 3 です。1995年改訂のリスボン宣言において、患者の権利として良質の医療を受ける権利、選択の自由、自己決定、情報への権利、守秘義務などが定められています。日本でも個人情報保護法により本人は自己の医療情報の開示を請求でき、セカンドオピニオンも医師選択の自由に基づき保障されています。
選択肢考察
-
○ 1. 患者は自分の医療情報を見ることができる。
リスボン宣言の情報に対する権利および個人情報保護法に基づき、患者は自己の医療情報の開示を請求できます。
-
× 2. 患者は一度同意した治療方針を拒否できない。
自己決定権により、患者は治療方針を後からでも撤回・変更する権利を有します。
-
○ 3. 患者はセカンドオピニオンを受けることができる。
選択の自由の権利として、患者は他の医師の意見を求める権利が保障されています。
-
× 4. 患者が病室に不在の場合は検査の同意を家族から得る。
判断能力のある患者本人から同意を得るのが原則であり、不在を理由に家族から代諾を得ることは適切ではありません。
-
× 5. 患者情報は患者と家族の同意なく保険会社に開示できる。
守秘義務と個人情報保護法により、本人の同意なく第三者である保険会社に情報を開示することはできません。
インフォームド・コンセントは「説明と同意」と訳されますが、患者が十分な情報を得たうえで自己決定するプロセスです。判断能力を欠く場合(小児・意識不明・重度認知症など)は家族による代諾が必要となりますが、本人に判断能力がある場合は本人の意思が最優先です。守秘義務違反は刑法134条で罰則が定められています。
リスボン宣言・個人情報保護法に基づく患者の自己決定権、情報アクセス権、守秘義務に関する基本理解を問う問題です。
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