協働とは患者が主役のケア
看護師国家試験 第105回 午後 第35問 / 基礎看護学 / 看護の基本となる概念
国試問題にチャレンジ
患者と看護師との協働について適切なのはどれか。
- 1.患者が目標達成できるよう支援する。
- 2.治療に関する情報は看護師が占有する。
- 3.看護計画は看護師の視点を中心に立案する。
- 4.ケアは看護師の業務予定に基づき実施する。
対話形式の解説
博士
今日は105回午後154問、患者と看護師の協働について考えよう。
サクラ
博士、協働って具体的にはどういう関係ですか?
博士
協働はcollaborationの訳で、患者と看護師が対等なパートナーとして共通の目標に向かって動くプロセスじゃ。主体は患者、看護師は専門性を持つ伴走者という関係じゃ。
サクラ
選択肢を見ていきましょう。
博士
正解は1の『患者が目標達成できるよう支援する』じゃ。これが協働の本質を端的に表しておる。
サクラ
選択肢2の治療情報を看護師が占有するのはダメですね。
博士
その通り。患者には知る権利と自己決定権があり、インフォームド・コンセントの原則からも情報は共有するものじゃ。占有は専門職の権威主義じゃな。
サクラ
選択肢3の看護師視点中心の計画はどうでしょう。
博士
これはパターナリズム(父権主義)的な発想で協働ではない。看護計画は患者の価値観・希望・生活背景を踏まえた個別性が不可欠じゃ。
サクラ
選択肢4の業務予定優先のケアは?
博士
看護師の都合を押しつけるのは協働ではない。入浴時間一つとっても患者の希望や体調を優先すべきじゃ。
サクラ
最近はSDMという言葉もよく聞きますね。
博士
Shared Decision Making、共同意思決定じゃ。医療者と患者が情報を共有し、価値観も含めて一緒に最善の選択をするアプローチじゃ。協働の発展形といえる。
サクラ
ACPもその流れですか?
博士
うむ。Advance Care Planning、人生会議とも呼ばれる。将来の医療・ケアについて患者・家族・医療者で話し合うプロセスで、協働の究極の形の一つじゃな。
サクラ
看護理論でも協働の概念はあるんですか?
博士
オーランドやキング、ロパーらの相互作用理論に源流がある。看護は患者との相互作用を通じて成立するという考え方じゃ。
サクラ
エンパワメントという言葉も関係しますね。
博士
その通り。患者自身が持つ力を引き出し、主体的に健康管理できるよう支援するのがエンパワメント・アプローチじゃ。
サクラ
『してあげる』から『ともに考える』への転換ですね。
博士
まさにそれが現代看護のキーワードじゃ。
POINT
協働とは患者と看護師が対等なパートナーとして共通目標に向かうプロセスで、主体は常に患者です。看護師は専門性を提供する伴走者として、情報共有・共同意思決定・個別性の尊重を通じて患者の目標達成を支援します。情報占有、看護師視点中心の計画、業務都合優先のケアはいずれも協働の理念に反します。SDMやACP、エンパワメントなど患者主体の医療の流れの中で協働の概念は発展しています。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:患者と看護師との協働について適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。協働(collaboration)とは、患者と看護師が対等なパートナーとして共通の目標に向かって意思決定と行動をともにするプロセスを指します。看護師は専門的知識・技術を提供する立場ですが、ケアの主体はあくまで患者であり、患者の意思・価値観・希望を中心に計画を立て、患者自身が目標達成できるよう支援することが協働の本質です。情報の共有、共同意思決定(shared decision making)、患者のセルフケア能力の尊重が協働の基盤となります。
選択肢考察
-
○ 1. 患者が目標達成できるよう支援する。
協働の目的は患者の健康目標達成の支援であり、看護師はパートナーとして専門的知識を用いて伴走します。目標設定にも患者自身が主体的に関わることが原則です。
-
× 2. 治療に関する情報は看護師が占有する。
患者には自己決定権と知る権利があり、治療情報は患者・家族と共有し、十分な説明と理解のもとで意思決定できるよう支援します(インフォームド・コンセント)。
-
× 3. 看護計画は看護師の視点を中心に立案する。
看護計画は患者の価値観・希望・生活背景を反映した個別的なものであるべきで、看護師の視点のみで立案するのは協働ではなくパターナリズムに近い姿勢です。
-
× 4. ケアは看護師の業務予定に基づき実施する。
ケアは患者の生活リズム・状態・希望を優先して実施するのが原則で、業務の都合を一方的に押し付けることは協働の理念に反します。
協働の概念はアメリカの看護理論家オーランド、キング、ロパーらの相互作用理論に源流があり、近年はSDM(共同意思決定)やACP(アドバンス・ケア・プランニング)など患者参加型医療の流れの中に位置づけられます。看護師の役割は『してあげる』から『ともに考える』へと変化しており、患者の主体性を引き出すエンパワメント・アプローチが重視されます。
患者と看護師の協働関係の本質(患者主体・情報共有・共同意思決定)を理解しているかを問う基本問題です。
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