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高齢者の眠りはなぜ浅い?加齢と睡眠の変化

看護師国家試験 第112回 午後 第86問 / 老年看護学 / 高齢者の健康

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第86問

高齢者の睡眠で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.単相性の睡眠になる。
  2. 2.浅い眠りが少なくなる。
  3. 3.総睡眠時間が延長する。
  4. 4.中途覚醒の回数が増加する。
  5. 5.入眠するまでに時間がかかる。

対話形式の解説

博士 博士

今日は高齢者の睡眠じゃ。『最近早く目が覚めてしまう』という声、よく聞くじゃろう?

アユム アユム

祖母もそう言っていました。体が疲れにくくなるからでしょうか?

博士 博士

それも一因じゃが、もっと根本的な生理的変化がある。まずメラトニンという睡眠ホルモンの分泌が加齢とともに減る。

アユム アユム

メラトニンが減ると何が起こるんですか?

博士 博士

体内時計の調整が弱まり、入眠に時間がかかるようになる。さらに体内時計そのものが前進するから、早寝・早起き傾向になる。

アユム アユム

深い睡眠も減るって聞いたことがあります。

博士 博士

その通り。ノンレム睡眠の深いステージ(N3、いわゆる徐波睡眠)が減り、浅いN1・N2が増える。だから物音や尿意で容易に目が覚めるのじゃ。

アユム アユム

中途覚醒ですね。夜間頻尿もあると余計に起きますね。

博士 博士

前立腺肥大、過活動膀胱、心不全による夜間多尿など、高齢者は泌尿器系の問題も重なる。結果として睡眠は分断される。

アユム アユム

昼寝も増えるイメージがあります。

博士 博士

夜間の睡眠が十分でない分、昼間に居眠りする。睡眠パターンが単相性から多相性へ移行するわけじゃ。総睡眠時間は短縮するが、昼夜逆転のリスクも高まる。

アユム アユム

高齢者特有の睡眠障害もあるんですか?

博士 博士

睡眠時無呼吸症候群(SAS)、レストレスレッグス症候群、レム睡眠行動障害などが代表的じゃ。レム睡眠行動障害はパーキンソン病やレビー小体型認知症の前駆症状にもなりうるから要注意じゃ。

アユム アユム

看護の援助では何が大切ですか?

博士 博士

まず日中の活動と光曝露を確保し、就寝前のカフェインやアルコールを控える。寝る前のスマホやテレビも避けたい。入浴は就寝1〜2時間前に。

アユム アユム

睡眠薬はどうでしょうか?

博士 博士

ベンゾジアゼピン系は転倒・せん妄・認知機能低下リスクがあり、高齢者には慎重投与じゃ。ラメルテオンやスボレキサントなど、より安全性の高い薬剤が選ばれる。

アユム アユム

非薬物療法が基本なんですね。

博士 博士

そうじゃ。睡眠衛生指導が第一選択。看護師は患者の生活リズム全体を見て、無理なく整えていく支援が求められる。

POINT

高齢者の睡眠は加齢に伴い『入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠困難』の4大特徴を示し、メラトニン分泌低下、深睡眠(N3)の減少、体内時計の前進、夜間頻尿などが重なって生じます。総睡眠時間は短縮し、昼寝が増えて睡眠パターンは多相性に移行します。睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群、レム睡眠行動障害などの疾患も鑑別に入れる必要があります。看護援助では日中活動の確保、光曝露、生活リズムの整備、カフェイン・アルコール制限などの睡眠衛生指導を基本とし、薬物療法は転倒やせん妄のリスクを踏まえて慎重に選択することが重要です。

解答・解説

正解は 4 5 です

問題文:高齢者の睡眠で正しいのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 4 と 5 です。加齢に伴い睡眠は浅く断片化し、体内時計が前進します。メラトニン分泌の減少により入眠潜時が延長し、深睡眠(ノンレム睡眠N3)の減少と浅睡眠の増加により夜間覚醒回数が増加します。さらに睡眠は単相性から多相性へ移行し、昼寝や居眠りが増え、総睡眠時間はむしろ短縮する傾向があります。

選択肢考察

  1. × 1.  単相性の睡眠になる。

    加齢により夜間睡眠は分断され、昼寝が加わって多相性となる。単相性は成人の典型的パターン。

  2. × 2.  浅い眠りが少なくなる。

    逆で、深睡眠(N3)が減少し、浅睡眠(N1・N2)の割合が増える。

  3. × 3.  総睡眠時間が延長する。

    中途覚醒と早朝覚醒により、夜間の総睡眠時間はむしろ短縮する。

  4. 4.  中途覚醒の回数が増加する。

    浅睡眠が増え、夜間頻尿などで目が覚めやすくなり、中途覚醒が増加する。

  5. 5.  入眠するまでに時間がかかる。

    メラトニン分泌低下や日中活動量低下により入眠潜時が延びる。

高齢者の睡眠の4大特徴は『入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠困難』。背景にはメラトニン分泌低下、深睡眠の減少、体内時計の前進、夜間頻尿、慢性疾患による痛み、不安や抑うつなどが重なる。高齢者に多い睡眠障害には睡眠時無呼吸症候群(SAS)、レストレスレッグス症候群、レム睡眠行動障害(パーキンソン病やレビー小体型認知症の前駆症状になりうる)がある。看護援助として、日中の適度な活動と光曝露、規則的な生活リズム、夕方以降のカフェイン・アルコール制限、就寝環境の整備、安易なベンゾジアゼピン系使用を避けることが重要。

高齢者の睡眠変化の典型像を問う。『浅い・短い・目覚めやすい・寝つけない』が基本キーワード。