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脳梗塞後の言語症状を見分ける

看護師国家試験 第105回 午後 第48問 / 老年看護学 / 高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護

国試問題にチャレンジ

105回 午後 第48問

Aさん(80歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)の治療のために入院した。Aさんは多弁であり「めがねをとってください」のことを「めとねをとってください」などと話す様子が観察される。 Aさんの症状で正しいのはどれか。

  1. 1.錯語
  2. 2.感情失禁
  3. 3.喚語困難
  4. 4.運動性失語

対話形式の解説

博士 博士

今日はAさん80歳男性、脳梗塞で入院した事例じゃ。多弁で『めがね』を『めとね』と言い間違える様子があるのじゃな。

アユム アユム

博士、これはどんな症状なんですか?

博士 博士

『め』と『と』の位置が入れ替わっておるじゃろ。これは典型的な錯語、特に音韻性錯語じゃぞ。

アユム アユム

錯語にはどんな種類がありますか?

博士 博士

主に3つじゃ。音韻性錯語は音の置き換わり、例えば『めがね』が『めとね』になる。語性錯語は別の語になるもので、『めがね』が『時計』になる。新造語は存在しない言葉を作り出すのじゃ。

アユム アユム

Aさんの場合は音韻性錯語ですね。

博士 博士

その通り。正解は選択肢1の『錯語』じゃ。

アユム アユム

多弁であることにも意味がありますか?

博士 博士

多弁と錯語の組み合わせはウェルニッケ失語、つまり感覚性失語の典型じゃ。側頭葉後上部のウェルニッケ野の障害で起こるのじゃぞ。

アユム アユム

選択肢2『感情失禁』はどんな状態ですか?

博士 博士

些細な刺激で泣いたり笑ったりと感情のコントロールが困難になる状態じゃ。脳血管性認知症や仮性球麻痺で見られるぞ。Aさんの症状とは違う。

アユム アユム

選択肢3『喚語困難』は?

博士 博士

言いたい言葉が出てこず、『あれ』『これ』の連発や言い淀みが目立つ状態じゃ。Aさんは言葉自体は出ておるから違うのじゃ。

アユム アユム

選択肢4『運動性失語』はどうですか?

博士 博士

ブローカ失語とも呼ばれ、前頭葉のブローカ野の障害で発話が困難・途切れ途切れになる。理解は保たれておる。Aさんは多弁だから当てはまらぬぞ。

アユム アユム

失語症の分類を整理してもらえますか?

博士 博士

ブローカ失語は非流暢性で理解良好・発話困難、ウェルニッケ失語は流暢性で多弁・理解不良・錯語多発、伝導失語は復唱困難が特徴、全失語は理解・発話とも重度障害じゃ。

アユム アユム

失語症患者への看護はどうすればいいですか?

博士 博士

短い文でゆっくり話す、絵や文字カードを活用、ジェスチャーを併用する、患者の意図を聞き返して確認する。焦らせず、じっくり関わるのが大切じゃ。

アユム アユム

家族への支援も重要ですね。

博士 博士

その通り。家族は『なぜ通じないのか』と戸惑う。失語症の仕組みを説明し、言語聴覚士とも連携してリハビリを支えるのが看護師の役割じゃぞ。

POINT

Aさんの『めがね』を『めとね』と言う症状は音韻性錯語の典型で、多弁を伴うことから感覚性失語(ウェルニッケ失語)が示唆されます。錯語は音や語の置き換わりを特徴とし、喚語困難や運動性失語とは区別が必要です。失語症患者には短い文・視覚的手段・ジェスチャーを用い、焦らせずコミュニケーションを図ることが大切です。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:Aさん(80歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)の治療のために入院した。Aさんは多弁であり「めがねをとってください」のことを「めとねをとってください」などと話す様子が観察される。 Aさんの症状で正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。Aさんは脳梗塞後に多弁で、『めがね』を『めとね』と言い間違える様子があります。これは錯語(paraphasia)の典型的所見で、特に『め』と『と』の位置が入れ替わっている音韻性錯語(字性錯語)に分類されます。錯語は相手の言おうとしている内容が分かっても音や語が置き換わってしまう症状で、感覚性失語(ウェルニッケ失語)でよく見られます。多弁であることもウェルニッケ失語の特徴で、側頭葉後上部のウェルニッケ野の障害で生じます。

選択肢考察

  1. 1.  錯語

    錯語は言葉を言い間違える症状で、音の置き換わる音韻性錯語(例:『めがね』→『めとね』)、類似した別の語になる語性錯語(例:『めがね』→『時計』)、存在しない言葉になる新造語などに分類されます。Aさんの症状は典型的な音韻性錯語です。

  2. × 2.  感情失禁

    感情失禁は些細な刺激で泣いたり笑ったりと感情のコントロールが困難になる状態で、脳血管性認知症や仮性球麻痺で見られます。Aさんは言い間違えがあるが感情の異常ではないため、この症状には該当しません。

  3. × 3.  喚語困難

    喚語困難は言いたい言葉が思い出せず出てこない状態で、『あれ』『これ』などの指示語が増え、言葉が詰まります。Aさんは多弁で言葉は出ているが言い間違うため、喚語困難とは異なります。

  4. × 4.  運動性失語

    運動性失語(ブローカ失語)は前頭葉のブローカ野の障害で生じ、理解は保たれるが発話が困難で発語が途切れ途切れになる状態です。Aさんは多弁なので運動性失語の特徴とは合いません。

失語症の主な分類として、ブローカ失語(運動性失語)は非流暢性で理解良好・発話困難、ウェルニッケ失語(感覚性失語)は流暢性で多弁・理解不良・錯語多発、伝導失語は理解・発話良好だが復唱困難、全失語は理解・発話とも重度障害です。Aさんの『多弁+錯語』はウェルニッケ失語を強く示唆します。失語症患者への看護は、短い文でゆっくり話す、絵や文字カードの活用、ジェスチャー併用、患者の意図を聞き返し確認することが大切です。

脳梗塞後の言語症状を鑑別する問題です。錯語・喚語困難・運動性失語の違いと、多弁を伴う失語タイプの理解が焦点です。