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レビー小体型認知症の初期サイン——『小さな子が見える』と訴えたら

看護師国家試験 第106回 午前 第58問 / 老年看護学 / 高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第58問

Lewy〈レビー〉小体型認知症( dementia with Lewy bodies )の初期にみられる症状はどれか。

  1. 1.幻視
  2. 2.失語
  3. 3.脱抑制
  4. 4.人格変化

対話形式の解説

博士 博士

今日はレビー小体型認知症(DLB)を学ぶぞ。アルツハイマー型、血管性と並んで三大認知症の一つじゃ。

アユム アユム

『レビー小体』って聞いたことはあるんですが、具体的には何ですか?

博士 博士

αシヌクレインというタンパク質が異常に凝集した封入体じゃ。これが大脳皮質——特に後頭葉——や脳幹に溜まることで症状が出るんじゃ。

アユム アユム

後頭葉が障害されると、どんな症状が出るんですか?

博士 博士

後頭葉は視覚情報を処理する領域じゃから、視覚認知の異常——つまり幻視が出やすいんじゃ。しかも鮮明で具体的な幻視じゃ。

アユム アユム

鮮明な幻視って、どんなふうに見えるんですか?

博士 博士

『子どもが座っている』『小さな動物が走っている』『亡くなった家族がいる』など、まるで実在するかのように見える。本人は確信を持って訴えるんじゃ。

アユム アユム

否定したほうがいいんですか?

博士 博士

いや、頭ごなしに否定してはいかん。混乱や不安を招くからのう。『あなたにはそう見えているんですね』と受容的に対応し、安心感を与えるのが基本じゃ。

アユム アユム

DLBの中核症状は他に何がありますか?

博士 博士

4つの中核症状がある。①認知機能の動揺(日内・日差で変動)、②幻視、③パーキンソニズム、④レム睡眠行動障害じゃ。

アユム アユム

パーキンソニズムも出るんですか?

博士 博士

脳幹のレビー小体がパーキンソン病と類似の機序を起こす。動作緩慢、筋強剛、小刻み歩行、仮面様顔貌などじゃな。

アユム アユム

レム睡眠行動障害って何ですか?

博士 博士

夢の内容に合わせて大声を出したり、手足を激しく動かしたりする状態じゃ。普通はレム睡眠中は筋肉が弛緩しておるが、DLBでは脳幹障害でその抑制が利かなくなる。

アユム アユム

失語や人格変化はどうですか?選択肢2〜4も認知症の症状なんでしょう?

博士 博士

失語は脳血管障害や前頭側頭型認知症の症状。人格変化や脱抑制は前頭葉機能の低下で出るから、前頭側頭型認知症(ピック病など)の特徴じゃな。

アユム アユム

抗精神病薬に過敏と聞きました。

博士 博士

DLB最大の注意点じゃ。幻視を抑えようと抗精神病薬(特に定型)を使うと、パーキンソニズムが増悪し悪性症候群を起こすこともある。薬物選択は専門医が慎重に行うんじゃ。

アユム アユム

治療薬はどうなっていますか?

博士 博士

DLBにはドネペジル(アリセプト®)が保険適用されておる。認知機能だけでなく幻視やアパシーにも効果が期待できる。

アユム アユム

自律神経症状もあると聞きました。

博士 博士

起立性低血圧、便秘、尿失禁、発汗異常などじゃな。転倒予防の視点でも看護は重要じゃ。

アユム アユム

幻視・パーキンソニズム・認知機能の変動——この組み合わせを見逃さないことが、適切なケアにつながるんですね。

POINT

レビー小体型認知症(DLB)はαシヌクレインを主成分とするレビー小体が大脳皮質と脳幹に蓄積する神経変性疾患で、三大認知症の一つです。初期から約80%に出現する鮮明で具体的な幻視が特徴的で、認知機能の動揺・パーキンソニズム・レム睡眠行動障害とともに中核症状を構成します。失語や人格変化・脱抑制は前頭側頭型認知症で目立つ症状であり、DLBの初期症状ではありません。看護では幻視を否定せず受容する姿勢、抗精神病薬過敏への注意、転倒予防、自律神経症状への対応などが重要で、多角的な支援によりQOL維持を目指します。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:Lewy〈レビー〉小体型認知症( dementia with Lewy bodies )の初期にみられる症状はどれか。

解説:正解は 1 です。レビー小体型認知症(DLB)はαシヌクレインを主成分とするレビー小体が大脳皮質(特に後頭葉)や脳幹に蓄積する神経変性疾患である。初期から『具体的で鮮明な幻視』(小動物・子ども・虫など)が高率(約80%)に出現するのが特徴で、認知機能の変動・パーキンソニズム・レム睡眠行動障害(RBD)とともに中核症状を形成する。

選択肢考察

  1. 1.  幻視

    初期から約80%の患者に出現する代表的症状。後頭葉の機能低下により鮮明で具体的な幻視(子ども、小動物、虫、亡くなった家族など)が反復して見える。本人は実在と感じ、否定されると混乱するため、頭ごなしに否定せず受容的に対応するのが原則。

  2. × 2.  失語

    失語は言語野(ブローカ野、ウェルニッケ野)の障害で、主に脳血管障害や前頭側頭型認知症(意味性認知症・進行性非流暢性失語)で見られる症状。DLBの初期症状として典型的ではない。

  3. × 3.  脱抑制

    脱抑制は感情や衝動のコントロール障害で、前頭葉機能低下を反映する。前頭側頭型認知症の主要症状であり、DLBでも進行期に見られることはあるが初期症状ではない。

  4. × 4.  人格変化

    人格変化は前頭葉障害を反映する症状で、前頭側頭型認知症(ピック病など)の特徴。DLBでは初期症状としては挙げられない。

レビー小体型認知症の中核症状は①認知機能の動揺(日内・日差の変動が大きい)、②具体的で反復する幻視、③パーキンソニズム(動作緩慢・筋強剛・小刻み歩行)、④レム睡眠行動障害(夢に一致して大声や手足の動きが出る)の4つ。支持症状として抗精神病薬過敏、自律神経症状(起立性低血圧、便秘)、嗅覚低下などがある。三大認知症はアルツハイマー型(最多、記憶障害から)、血管性(階段状進行、まだら認知症)、レビー小体型(幻視・パーキンソニズム)で、前頭側頭型を加えて四大認知症と呼ぶこともある。薬物療法はドネペジルがDLBで保険適用されており、抗精神病薬は過敏反応の危険があるため慎重に用いる。

レビー小体型認知症の初期に出現する特徴的症状(幻視)を識別し、他の認知症との鑑別ポイントを問う問題。