認知症の方への関わり方の基本
看護師国家試験 第110回 午後 第49問 / 老年看護学 / 高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護
国試問題にチャレンジ
認知症高齢者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。
- 1.説得するように話す。
- 2.作話があっても話を聞く。
- 3.一度に多くの情報を伝える。
- 4.同じ内容を繰り返している場合は会話を終了する。
対話形式の解説
博士
今日は認知症高齢者とのコミュニケーションについて話そう。作話とは何じゃ?
サクラ
記憶の欠落部分を無意識に補うために、事実と違う話をしてしまうことです。
博士
うむ、本人にとっては真実じゃ。だから頭ごなしに否定してはならんのじゃ。
サクラ
バリデーション療法ですね。感情や言動を意味あるものとして受け止める技法だと習いました。
博士
その通りじゃ。説得しようとするとどうなる?
サクラ
認知機能が低下しているので理解できず、混乱や不安、時には怒りにつながります。
博士
正解じゃ。感情は保たれているから、そこに寄り添うのが基本じゃ。
サクラ
一度に多くの情報を伝えるのも良くないのですよね。
博士
うむ、短く簡潔に、一つずつ伝えるのじゃ。視覚的な補助も有効じゃ。
サクラ
同じ話を繰り返されたときはどうしたらいいのでしょう。
博士
本人は毎回初めてのつもりで話しておるから、そのつど受け止めるのじゃ。強制的に終わらせてはいかん。
サクラ
ユマニチュードという技法もあるのですよね。
博士
見る・話す・触れる・立つの4つの柱からなるケア技法じゃ。目線を合わせ、優しく触れることで安心感を与えるのじゃ。
サクラ
BPSDの予防にもつながるのですね。
博士
その通り、受容的な関わりが興奮や徘徊、不穏を減らすのじゃ。
サクラ
本人の世界を尊重することが大事ですね。
博士
パーソンセンタードケアじゃな。人として尊重する姿勢が全ての基本じゃ。
POINT
認知症高齢者とのコミュニケーションは「否定せず傾聴する」「短く簡潔に伝える」「感情に寄り添う」が基本です。作話や同じ話の繰り返しは記憶障害の特性であり、本人にとっては真実・初めての体験ですから、そのつど受け止めることが信頼関係とBPSD予防につながります。バリデーション療法やユマニチュード、パーソンセンタードケアの理念は「その人を尊重する」という点で共通しており、説得や情報過多、強制的な会話終了は不適切な関わりとなります。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:認知症高齢者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。
解説:正解は 2 です。認知症高齢者は記憶障害を補うために事実と異なる話(作話)をすることがありますが、本人にとっては真実であり、感情や尊厳は保たれています。否定せず、まずは話を傾聴し受け止める姿勢が信頼関係の構築と精神的安定につながります。これはバリデーション療法の基本理念でもあります。
選択肢考察
-
× 1. 説得するように話す。
理屈で説得しても認知機能の低下により理解が追いつかず、かえって混乱や不安、怒りを引き起こします。論理的説得より感情に寄り添う対応が適切です。
-
○ 2. 作話があっても話を聞く。
作話は記憶の欠落を埋めるための無意識的な反応で、本人にとっては真実です。否定せず傾聴することで安心感が得られ、BPSD(行動・心理症状)の予防にもつながります。
-
× 3. 一度に多くの情報を伝える。
注意力や短期記憶が低下しているため、一度に複数の情報を伝えると処理しきれず混乱します。短く簡潔な文で一つずつ伝え、視覚的補助も活用します。
-
× 4. 同じ内容を繰り返している場合は会話を終了する。
同じ話の繰り返しは記憶障害の特性によるもので、本人はそのつど初めて話しているつもりです。強制的に打ち切ると信頼関係を損ない、不安や興奮を助長するため、毎回受け止める姿勢が大切です。
認知症高齢者とのコミュニケーションの基本は「ゆっくり・短く・具体的に・否定しない・感情を受け止める」です。バリデーション療法は言動の背景にある感情や意味を理解し共感する技法で、ユマニチュードは見る・話す・触れる・立つの4つの柱からなるケア技法です。BPSD予防の観点からも、本人の世界を尊重する関わりが重要です。
認知症高齢者の特性を踏まえ、バリデーションやパーソンセンタードケアの理念に基づいた関わりを選択できるかを問う問題です。
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