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胃全摘後の食事指導

看護師国家試験 第103回 午後 第99問 / 老年看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

103回 午後 第99問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(75歳、女性)は、娘と2人で暮らしている。5年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer Disease)と診断された。半年前から食欲不振が続き体重減少がみられ受診した。検査の結果、胃癌(gastric cancer)と診断され胃全摘出術が行われた。入院時の改訂版長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉16点、Mini-MentalStateExamination〈MMSE〉18点。 術後の経過は良好で2週間が経過した。食事は全粥、軟菜を8割程度摂取している。 娘に対するAさんの退院後の食事指導で適切なのはどれか。

  1. 1.食後の安静臥床を勧める。
  2. 2.食物繊維を多く含む食品の摂取を勧める。
  3. 3.1日の食事量を6~8回に分けて食べることを勧める。
  4. 4.食事時間が長くなっても満腹になるまで摂取するように勧める。

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは胃全摘術後2週間で経過良好じゃ。退院後の食事指導を娘さんにする場面じゃのう。

サクラ サクラ

胃全摘後の食事は特殊なんですよね。

博士 博士

胃の貯留機能と消化機能が失われるからのう。1回量が多いとダンピング症候群を起こすんじゃ。

サクラ サクラ

ダンピング症候群って?

博士 博士

食物が小腸に急速流入することで起こる症状じゃ。早期は食後30分以内の動悸・発汗・腹痛・下痢、後期は食後2〜3時間の低血糖症状じゃ。

サクラ サクラ

だから少量頻回が大切なんですね。

博士 博士

その通り、正解は3の「1日の食事量を6〜8回に分けて食べることを勧める」じゃ。これが分割食じゃ。

サクラ サクラ

選択肢1の食後安静臥床は?

博士 博士

胃液・胆汁・膵液の逆流で逆流性食道炎を招くんじゃ。食後30分〜1時間は座位かファウラー位で過ごすんじゃ。

サクラ サクラ

選択肢2の食物繊維は?

博士 博士

胃全摘後は消化機能低下で繊維が腸閉塞の原因になりうるんじゃ。術後早期は消化のよいものを中心にするのう。

サクラ サクラ

選択肢4の満腹まで食べるは?

博士 博士

小胃症状で少量で満腹感を感じるが、無理に食べるとダンピングを起こすんじゃ。決まった量・回数を意識するのが大切じゃ。

サクラ サクラ

胃全摘後のほかの合併症は?

博士 博士

鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血、骨粗鬆症などがあるんじゃ。

サクラ サクラ

ビタミンB12はどう補うんですか?

博士 博士

内因子がないと吸収できんから、定期的な筋注で補充するんじゃ。

サクラ サクラ

娘さんへの指導も大切ですね。

博士 博士

Aさんは認知症もあるから、家族が食事準備や見守りを行う必要があるんじゃ。具体的な献立や調理のコツを伝えるとよいのう。

サクラ サクラ

術後どのくらいで通常食に戻れますか?

博士 博士

徐々に慣らして数か月かけて回数を3食に近づけていくんじゃ。焦らずゆっくりが原則じゃ。

POINT

胃全摘出術後は貯留機能の喪失によりダンピング症候群を起こしやすく、1日の食事を5〜8回に分割する少量頻回食が基本となります。食後の臥床は逆流性食道炎を招き、食物繊維過多や満腹までの摂取はダンピングの誘因です。鉄欠乏・ビタミンB12欠乏・骨粗鬆症などの長期合併症にも注意が必要で、家族を含めた生活全般の指導が重要です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(75歳、女性)は、娘と2人で暮らしている。5年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer Disease)と診断された。半年前から食欲不振が続き体重減少がみられ受診した。検査の結果、胃癌(gastric cancer)と診断され胃全摘出術が行われた。入院時の改訂版長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉16点、Mini-MentalStateExamination〈MMSE〉18点。 術後の経過は良好で2週間が経過した。食事は全粥、軟菜を8割程度摂取している。 娘に対するAさんの退院後の食事指導で適切なのはどれか。

解説:正解は3です。胃全摘出術後は胃の貯留機能が失われるため、1回の食事量を多くとると食物が小腸へ急速に流入し、ダンピング症候群を起こします。これを防ぐため、1日の食事量を5〜8回に分けて少量ずつ摂取する分割食が基本です。Aさんは胃癌により胃を全摘出しているため、退院後も少量頻回の分割食を継続する必要があります。

選択肢考察

  1. × 1.  食後の安静臥床を勧める。

    誤りです。胃切除後の臥床は胃液・胆汁・膵液の逆流による逆流性食道炎を招きやすくなります。食後30分〜1時間は座位やファウラー位で過ごすよう指導します。

  2. × 2.  食物繊維を多く含む食品の摂取を勧める。

    誤りです。胃全摘後は消化機能が低下しており、食物繊維の多い食品は腸閉塞の原因にもなりえます。術後早期は消化のよい食品を中心とし、繊維質は徐々に増やします。

  3. 3.  1日の食事量を6~8回に分けて食べることを勧める。

    正しい指導です。胃全摘により貯留機能が失われ、1回量が多いとダンピング症候群を起こすため、少量頻回の分割食(5〜8回/日)が基本です。徐々に消化吸収機能が安定したら回数を減らしていきます。

  4. × 4.  食事時間が長くなっても満腹になるまで摂取するように勧める。

    誤りです。胃全摘後は小胃症状で少量でも満腹感を覚えますが、満腹まで食べるとダンピング症候群の原因となります。満腹感ではなく決められた量・回数を意識して食事することが重要です。

胃切除後の合併症:早期ダンピング症候群(食後30分以内の動悸・発汗・腹痛・下痢)、後期ダンピング症候群(食後2〜3時間の低血糖症状)、逆流性食道炎、貧血(鉄欠乏・ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血)、骨粗鬆症(カルシウム吸収低下)。ビタミンB12は内因子欠如のため定期的な筋注補充が必要です。

胃全摘出術後の食事指導の基本原則と、ダンピング症候群予防の重要性を理解しているかが問われています。