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高齢者の脱水で何を聞くべきか

看護師国家試験 第104回 午前 第97問 / 老年看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

104回 午前 第97問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(72歳、男性)は、アパートの1階に1人で暮らしている。家族や親戚はいない。15年前から心不全(heart failure)のために利尿薬を毎朝内服している。半年前に要支援2の認定を受け、介護予防通所介護を週に2回利用している。早朝、Aさんは玄関の外で座り込んでいるところを近所の人に発見され救急搬送された。来院時、体温37.4℃、呼吸数20/分、脈拍98/分、血圧100/70mmHgであった。血液検査と尿検査の結果、脱水症と診断された。 Aさんは看護師に「頭がふわふわして歩けない。めまいもする。昨日の夜から気持ちが悪くなり、朝までに2、3回吐いた。体に力が入らない」と話した。Aさんの脱水症について追加で情報収集すべき内容で最も適切なのはどれか。

  1. 1.昨日の経口摂取量
  2. 2.排尿の自立状況
  3. 3.生活活動強度
  4. 4.睡眠の状況

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは脱水症と診断された。さらに何を聞き取るとよいかの。

サクラ サクラ

脱水の原因を探りたいので、水分や食事の摂取量を確認したいです。

博士 博士

見事じゃ。摂取と喪失のどちらも見るのじゃが、設問では昨日の経口摂取量が選択肢にあるのう。

サクラ サクラ

はい、嘔吐量と合わせて水分出納を推定できますね。

博士 博士

Aさんが利尿薬を毎朝内服している点はどう影響するかの。

サクラ サクラ

もともと水分喪失が増えやすい状態なので、摂取が少しでも減ると一気に脱水になりやすいです。

博士 博士

その通り。だから経口摂取量の把握は最優先じゃ。

サクラ サクラ

選択肢2の排尿の自立はどうでしょうか。

博士 博士

ADL評価には大事じゃが、脱水の原因や重症度には直結せん。

サクラ サクラ

生活活動強度は栄養必要量の計算に使う指標ですよね。

博士 博士

そうじゃ、急性脱水の評価には優先度が低い。

サクラ サクラ

睡眠状況も全身把握には役立ちますが、今回の脱水評価には間接的ですね。

博士 博士

見事じゃ。バイタルや皮膚ツルゴール、口腔粘膜などのフィジカルアセスメントも合わせるとよいぞ。

サクラ サクラ

水分出納の把握から始めるのが基本ですね。

POINT

脱水評価では水分摂取量と喪失量のバランスを把握することが基本です。Aさんは利尿薬服用中の高齢独居で嘔吐もあり、水分喪失リスクが高い状態です。優先順位は経口摂取量の聴取で、続いて尿量や嘔吐回数、皮膚や口腔粘膜の所見、起立性低血圧などの観察を組み合わせます。電解質異常の評価も忘れず行います。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(72歳、男性)は、アパートの1階に1人で暮らしている。家族や親戚はいない。15年前から心不全(heart failure)のために利尿薬を毎朝内服している。半年前に要支援2の認定を受け、介護予防通所介護を週に2回利用している。早朝、Aさんは玄関の外で座り込んでいるところを近所の人に発見され救急搬送された。来院時、体温37.4℃、呼吸数20/分、脈拍98/分、血圧100/70mmHgであった。血液検査と尿検査の結果、脱水症と診断された。 Aさんは看護師に「頭がふわふわして歩けない。めまいもする。昨日の夜から気持ちが悪くなり、朝までに2、3回吐いた。体に力が入らない」と話した。Aさんの脱水症について追加で情報収集すべき内容で最も適切なのはどれか。

解説:正解は1です。脱水症の原因評価では水分の摂取・排泄バランスの把握が必須で、昨日の経口摂取量を聴取することで体液喪失と補給の差を推定でき、治療方針や再発予防につながります。

選択肢考察

  1. 1.  昨日の経口摂取量

    嘔吐による喪失量に加え、もともとの飲水・食事からの水分摂取量を把握することは脱水の原因と程度を推定するうえで最も基本的かつ優先度の高い情報です。

  2. × 2.  排尿の自立状況

    排尿動作の自立度はADL評価には重要ですが、脱水の発症機序や重症度評価には直結しません。今回の優先情報としては該当しません。

  3. × 3.  生活活動強度

    生活活動強度は1日の必要エネルギー量算出に用いる指標で、脱水の急性病態評価における優先度は低いといえます。

  4. × 4.  睡眠の状況

    睡眠状況は全身状態の把握に有用ですが、急性脱水の原因や水分バランスを評価する直接の手がかりにはならず優先順位は下がります。

高齢者の脱水評価では、水分出納(摂取量と尿量・嘔吐・下痢などの喪失量)、口腔粘膜の乾燥、皮膚ツルゴール、腋窩湿潤、起立性低血圧、尿の色調と濃度、体重変化が基本観察項目です。Aさんは利尿薬を内服中で水分喪失リスクが高く、嘔吐により電解質異常も懸念されます。原因疾患鑑別として感染性胃腸炎なども検討しつつ、まずは摂取と喪失のバランスを把握しましょう。

高齢者の脱水で優先される情報収集項目を、水分出納の観点から判断できるかを問う問題です。