Aさんの退院先をどこにするか
看護師国家試験 第104回 午前 第102問 / 老年看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(90歳、女性)は、Alzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer disease)で、重度の認知機能の低下がある。要介護4で、短期入所〈ショートステイ〉や通所介護を利用している。長年、 長男夫婦が自宅で介護している。Aさんは、誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)のために入退院を繰り返している。今回の入院で主治医はAさんの家族に胃瘻の造設を含めた今後の方針を説明した。 その後、Aさんは誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)の症状が軽快し、胃瘻を造設せずに退院する予定である。家族は自宅での介護を考えていたが、長男の妻が脳出血(cerebral hemorrhage)で入院したため、Aさんの退院先の再検討を行うことになった。Aさんの退院先として最も適切なのはどれか。
- 1.軽費老人ホーム
- 2.介護老人福祉施設
- 3.回復期リハビリテーション病棟
- 4.認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
対話形式の解説
博士
今度は退院先の選択じゃのう。長男の妻が脳出血で倒れてしまい、自宅介護が難しくなった状況じゃ。
アユム
これは家族にとっても急な事態ですね。Aさんは要介護4で重度の認知症ですもんね。
博士
そこがポイントじゃ。施設選びは「要介護度」と「医療・介護必要度」で整理するんじゃよ。
アユム
軽費老人ホームは自立度が高い方向けでしたよね。
博士
そうじゃ。ケアハウスとも呼ばれ、基本は身の回りのことが概ねできる60歳以上が対象じゃ。要介護4のAさんには合わん。
アユム
回復期リハビリテーション病棟はどうですか?
博士
脳卒中や大腿骨骨折などの急性期後、在宅復帰を目指してリハビリする病棟じゃ。Aさんはそもそもリハ適応疾患がない。
アユム
グループホームはどうでしょう?
博士
認知症対応型共同生活介護じゃの。あくまで意思疎通ができ、共同生活を営める方が対象じゃ。要介護4で全介助に近いAさんには介護量が足りん。
アユム
じゃあ介護老人福祉治施設、つまり特別養護老人ホームですね。
博士
うむ。原則要介護3以上で、長期的に生活介護を受ける施設じゃ。Aさんの状態にぴったりじゃ。
アユム
終の棲家として選ばれることも多い施設ですよね。
博士
最近は看取り介護加算もあり、最期まで支える機能も整いつつあるんじゃよ。
アユム
退院支援では、本人と家族の状況を両方見るんですね。
博士
その視点を忘れずにのう。
POINT
退院先の選定では、本人の要介護度や医療必要度に加え、家族の介護力も評価します。要介護4で重度認知症のAさんに対して、軽費老人ホームやグループホームは介護量が不足し、回復期リハ病棟は適応外です。介護老人福祉施設は原則要介護3以上を対象に長期介護を担う施設として、Aさんに最も適した選択肢となります。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(90歳、女性)は、Alzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer disease)で、重度の認知機能の低下がある。要介護4で、短期入所〈ショートステイ〉や通所介護を利用している。長年、 長男夫婦が自宅で介護している。Aさんは、誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)のために入退院を繰り返している。今回の入院で主治医はAさんの家族に胃瘻の造設を含めた今後の方針を説明した。 その後、Aさんは誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)の症状が軽快し、胃瘻を造設せずに退院する予定である。家族は自宅での介護を考えていたが、長男の妻が脳出血(cerebral hemorrhage)で入院したため、Aさんの退院先の再検討を行うことになった。Aさんの退院先として最も適切なのはどれか。
解説:正解は2です。要介護4で重度の認知機能低下があり、主介護者である長男の妻が脳出血で入院した状況では、自宅介護の継続は困難です。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は原則要介護3以上の方を対象に、生活全般の介護を長期的に提供する施設であり、Aさんの状態と家族状況の双方に最も合致します。
選択肢考察
-
× 1. 軽費老人ホーム
軽費老人ホームは身の回りのことが概ね自立している60歳以上を対象とした住居型施設で、要介護4で認知機能低下のあるAさんには介護体制が不十分です。
-
○ 2. 介護老人福祉施設
原則要介護3以上の高齢者に対し、生活介護を長期的に提供する施設であり、要介護4で重度認知症のAさんに最も適しています。
-
× 3. 回復期リハビリテーション病棟
脳血管疾患や運動器疾患の急性期後にリハビリ目的で入院する病棟であり、Aさんはリハビリ適応疾患もなく在宅復帰を目指す段階でもありません。
-
× 4. 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
ある程度自立した認知症高齢者が共同生活を営む場であり、要介護4で全介助に近いAさんには介護量・医療体制ともに見合いません。
高齢者施設は要介護度と医療必要度で整理しましょう。軽費老人ホーム・サ高住は自立〜軽度、グループホームは要支援2〜要介護で意思疎通可能な認知症の方、介護老人保健施設は在宅復帰目的のリハ中心、介護老人福祉施設は原則要介護3以上の長期介護、というイメージで覚えておくと退院支援問題に強くなります。
要介護度と家族状況から、認知症高齢者に最適な長期療養の場を選択できるかを問う問題です。
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