細菌性肺炎の聴診所見
看護師国家試験 第105回 午後 第98問 / 老年看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(81歳、女性)は、6年前にレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)と診断された。Aさんは雨の中を1人で外出して自宅に戻れなくなり、同居している娘に発見された。その夜、娘が話しかけたときのAさんの反応が鈍くなったため、かかりつけの病院を受診し、細菌性肺炎(bacterial pneumonia)と診断され入院した。呼吸器疾患の既往はない。 入院時にみられる所見はどれか。
- 1.樽状胸郭
- 2.呼気の延長
- 3.粗い断続性副雑音
- 4.高調性連続性副雑音
対話形式の解説
博士
Aさんは81歳でレビー小体型認知症があり、雨の中外出して帰れなくなった後に細菌性肺炎を発症した。呼吸器の既往はない。
アユム
認知症の高齢者は誤嚥性肺炎を起こしやすいですよね。
博士
その通り。嚥下機能低下と免疫機能の低下が重なるからじゃ。では聴診所見を整理しよう。副雑音の分類を覚えておるか?
アユム
断続性と連続性に分けて、断続性は粗いと細かい、連続性は高調性と低調性ですよね。
博士
完璧じゃ。一つずつ疾患と対応させよう。粗い断続性副雑音はどんな疾患で聴こえる?
アユム
水泡音とも呼ばれて、肺炎や肺水腫、気管支拡張症ですね。気道内の分泌物が呼吸で破裂する音です。
博士
正解。細かい断続性副雑音は?
アユム
捻髪音(ベルクロラ音)で、間質性肺炎や肺線維症の吸気終末に聴こえます。
博士
うむ。連続性の高調性は?
アユム
wheezeで、気管支喘息やCOPDの増悪時の『ヒューヒュー』という音です。
博士
正解。低調性はrhonchiで、太い気道の狭窄や分泌物で生じる『グーグー』という低い音じゃ。では選択肢を見ていこう。1の樽状胸郭はどうじゃ?
アユム
COPDの特徴で、肺の過膨張で胸郭の前後径が広がる所見です。Aさんは呼吸器既往がないので違いますね。
博士
その通り。2の呼気延長は?
アユム
COPDや気管支喘息など、気道狭窄を反映する所見ですから細菌性肺炎では典型的ではありません。
博士
正解。3の粗い断続性副雑音が正解じゃ。細菌性肺炎では肺胞に滲出液が貯まり、これが呼吸で弾けて水泡音になる。
アユム
4の高調性連続性副雑音は?
アユム
wheezeですから気管支喘息の所見ですね。
博士
その通り。
アユム
レビー小体型認知症の患者さんで特に気をつけることはありますか?
博士
良い質問じゃ。認知機能の変動、繰り返す幻視、パーキンソニズムが三徴で、嚥下機能も落ちやすい。だから誤嚥性肺炎のリスクが非常に高い。また、興奮や幻視にハロペリドールなど抗精神病薬を使うと過敏反応を起こすため禁忌じゃ。
アユム
聴診所見だけでなく、疾患背景も含めて見るんですね。
博士
その通り。副雑音は疾患の診断と重症度評価に直結する重要な観察項目じゃ。
POINT
肺の副雑音は断続性(水泡音・捻髪音)と連続性(wheeze・rhonchi)に分類されます。細菌性肺炎では肺胞に炎症性滲出液が貯留し、呼吸に伴う破裂音として粗い断続性副雑音(水泡音)が聴取されます。樽状胸郭・呼気延長・wheezeはいずれもCOPDや喘息など慢性気道疾患の所見で、呼吸器既往のないAさんには合致しません。レビー小体型認知症では誤嚥性肺炎リスクが高く呼吸管理は特に重要です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(81歳、女性)は、6年前にレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)と診断された。Aさんは雨の中を1人で外出して自宅に戻れなくなり、同居している娘に発見された。その夜、娘が話しかけたときのAさんの反応が鈍くなったため、かかりつけの病院を受診し、細菌性肺炎(bacterial pneumonia)と診断され入院した。呼吸器疾患の既往はない。 入院時にみられる所見はどれか。
解説:正解は 3 です。細菌性肺炎では肺胞や末梢気道に炎症性滲出液が貯留し、呼吸に伴って気道内の液体が破れる『水泡音(coarse crackles)』と呼ばれる粗い断続性副雑音が聴取されます。Aさんは呼吸器疾患の既往がなく、樽状胸郭・呼気延長・高調性連続性副雑音(wheeze)はいずれもCOPDや気管支喘息など慢性気道疾患の所見であり、新規発症の細菌性肺炎には合致しません。
選択肢考察
-
× 1. 樽状胸郭
樽状胸郭は肺の過膨張による胸郭前後径の増大で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の特徴的所見です。呼吸器疾患の既往がないAさんには該当しません。
-
× 2. 呼気の延長
呼気延長は気道狭窄を反映する所見で、COPDや気管支喘息で生じます。肺胞レベルの感染が主体の細菌性肺炎では通常みられません。
-
○ 3. 粗い断続性副雑音
coarse cracklesと呼ばれ、気道内の分泌物や滲出液が呼吸で破裂して生じる水泡音です。細菌性肺炎・肺水腫・気管支拡張症で聴取され正解です。
-
× 4. 高調性連続性副雑音
wheezeと呼ばれ、細い気道の狭窄で笛のような高い音が呼気時に持続して聞こえます。気管支喘息やCOPD増悪の所見で、細菌性肺炎の典型とは異なります。
肺の副雑音は①断続性(crackles)と②連続性(wheezesとrhonchi)に分類されます。断続性はさらに粗い断続性副雑音(coarse crackles=水泡音:肺炎・肺水腫・気管支拡張症)と細かい断続性副雑音(fine crackles=捻髪音:間質性肺炎・肺線維症の吸気終末)に分かれます。連続性は高調性(wheeze:気管支喘息)と低調性(rhonchi:太い気道の狭窄・分泌物)です。レビー小体型認知症では嚥下機能低下や易感染性があり誤嚥性肺炎のリスクが高く、さらに認知機能の変動・幻視・パーキンソニズムが特徴で、精神症状にハロペリドールなど抗精神病薬を使うと過敏反応を起こすため禁忌です。
副雑音の種類と疾患の対応を理解し、細菌性肺炎で聴取される典型的な副雑音(粗い断続性副雑音=水泡音)を選べるかを問うている。
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