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抗ヒスタミン薬と摂食嚥下障害の関係

看護師国家試験 第107回 午前 第114問 / 老年看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第114問

Aさん( 82歳、男性 )。妻との2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度( 寝たきり度 )判定基準はランクJ。Aさんは搔痒感のために皮膚科を受診し、老人性皮膚搔痒症( pruritus senilis )と診断され、抗ヒスタミン内服薬が処方された。身長165cm、体重55kg。Aさんの趣味は散歩で、毎日1km程度を歩いている。 初診から1か月後、皮膚科の外来でAさんは「薬を飲み始めてから、口の中が渇いて食べにくい」と話した。 この状況から、Aさんに障害が起きていると考えられる摂食・嚥下の段階はどれか。

  1. 1.先行期
  2. 2.準備期
  3. 3.咽頭期
  4. 4.食道期

対話形式の解説

博士 博士

82歳のAさん、抗ヒスタミン薬を飲み始めてから口が渇いて食べにくいそうじゃ。どの期の障害じゃ?

アユム アユム

摂食嚥下は5期に分かれるんでしたよね。先行期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期。

博士 博士

その通りじゃ。先行期はどんな段階じゃ?

アユム アユム

食べ物を目や鼻で認識し、食欲や食べ方を判断する段階です。

博士 博士

うむ。口渇はここではないのう。

アユム アユム

準備期は咀嚼して食塊を作る時期ですね。

博士 博士

唾液と食物を混ぜて飲み込みやすい形にまとめる。ここが要じゃ。

アユム アユム

唾液が出ないと食塊が作れないですね。

博士 博士

抗ヒスタミン薬、特に第一世代は抗コリン作用で唾液分泌が低下するのじゃ。

アユム アユム

なるほど、だから準備期が障害されるんですね。

博士 博士

咽頭期だったらどんな症状じゃ?

アユム アユム

嚥下反射のタイミングがずれて、むせや誤嚥が起こります。

博士 博士

食道期は?

アユム アユム

蠕動が悪くなって、つかえ感や逆流ですね。

博士 博士

Aさんの訴えはそれとは違うから、準備期が正解じゃ。

アユム アユム

高齢者の口腔乾燥への対応はどうするのでしょう?

博士 博士

水分摂取、人工唾液、保湿ジェル、料理にとろみや水分を加える工夫が有効じゃ。

アユム アユム

第二世代の薬に変更してもらうのも選択肢ですね。

博士 博士

そうじゃ。医師と相談し、服薬の継続可否を検討するのじゃ。

POINT

本問は摂食嚥下5期モデルと薬剤性口腔乾燥の関連を問うものです。抗ヒスタミン薬の抗コリン作用により唾液分泌が低下すると、準備期での食塊形成が困難となり「食べにくさ」を自覚します。高齢者は副作用が出やすいため、水分や口腔ケアの工夫、第二世代への変更検討など多面的な介入が求められます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:Aさん( 82歳、男性 )。妻との2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度( 寝たきり度 )判定基準はランクJ。Aさんは搔痒感のために皮膚科を受診し、老人性皮膚搔痒症( pruritus senilis )と診断され、抗ヒスタミン内服薬が処方された。身長165cm、体重55kg。Aさんの趣味は散歩で、毎日1km程度を歩いている。 初診から1か月後、皮膚科の外来でAさんは「薬を飲み始めてから、口の中が渇いて食べにくい」と話した。 この状況から、Aさんに障害が起きていると考えられる摂食・嚥下の段階はどれか。

解説:正解は2です。摂食嚥下の過程は、先行期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期の5期に分けられます。準備期は口腔内で食物を咀嚼し、唾液と混和して飲み込みやすい食塊を形成する段階です。抗ヒスタミン薬の抗コリン作用により唾液分泌が低下すると、口腔内が乾燥し、食物をまとめて食塊にすることが難しくなります。Aさんが訴えている「口の中が渇いて食べにくい」という症状は、唾液不足により食塊形成が妨げられている準備期の障害を示しています。

選択肢考察

  1. × 1.  先行期

    先行期は食べ物を視覚や嗅覚で認知し、食欲や食べ方を判断する段階です。口渇の訴えは認知の障害ではなく、食塊形成に関わる口腔内環境の問題です。

  2. 2.  準備期

    唾液と食物を混和して食塊を作る時期です。抗ヒスタミン薬による口腔乾燥は、まさにこの準備期の機能を妨げます。

  3. × 3.  咽頭期

    咽頭期は嚥下反射により食塊を咽頭から食道へ送り込む段階で、障害されるとむせや誤嚥が起こります。Aさんにそのような所見はありません。

  4. × 4.  食道期

    食道期は蠕動運動で食塊を胃へ送る段階で、障害されるとつかえ感や逆流が生じます。Aさんが訴える症状は口腔内の問題であり該当しません。

抗ヒスタミン薬のうち特に第一世代は抗コリン作用が強く、口渇・便秘・尿閉・眠気・認知機能低下などの副作用を起こしやすいとされます。高齢者では副作用リスクが高いため、第二世代の選択や用量調整が推奨されます。口腔乾燥に対しては水分摂取、人工唾液、保湿ジェル、食事時のとろみや水分含量の工夫などが有効です。

摂食嚥下5期モデルの理解と、服薬副作用がどの期に影響するかを結びつける知識を問う問題です。