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入浴を拒むAさんへの関わり

看護師国家試験 第107回 午後 第97問 / 老年看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

107回 午後 第97問

Aさん( 87歳、男性 )。3年前にAlzheimer< アルツハイマー >型認知症( dementia of Alzheimer type )と診断された。1年前に妻が亡くなってから1人で暮らしている。日常生活は問題なく送れていたが、最近Aさんは薬を飲み忘れることが増えてきたり、電話の応対ができなかったりすることがあり、日常生活に支障が出るようになった。 普段は入浴を楽しみにしていたAさんが、1週前に浴室で誤って冷たい水をかぶってしまい、それ以来「お風呂に入ると寒いから嫌だ」と言って、入浴を拒否するようになった。この日も「お風呂は寒い」と言って入浴を拒否している。看護師が浴室と脱衣室の室温を確認すると26℃~28℃にあたためられていた。また、施設内の温度は一定に設定されており、浴室から部屋まで移動する間も寒さを感じることはなかった。 Aさんへの対応として適切なのはどれか。

  1. 1.入浴の必要性を説明する。
  2. 2.特殊浴槽での入浴を勧める。
  3. 3.一緒に湯の温度を確認する。
  4. 4.今日は入浴しなくてよいと伝える。

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは冷水をかぶった経験以来「お風呂は寒い」と言って拒否しておる。どう対応するかな?

サクラ サクラ

一緒に湯の温度を確認するのが適切だと思います。

博士 博士

正解じゃ。体験で納得してもらう関わりが大切じゃな。

サクラ サクラ

浴室も脱衣室も26〜28℃に温められているんですよね。

博士 博士

環境面は問題なし。じゃから本人の恐怖感を和らげる工夫が必要なのじゃ。

サクラ サクラ

必要性を説明するだけでは納得しにくいですよね。

博士 博士

認知症の方には論理よりも体感や感情が響くぞ。

サクラ サクラ

特殊浴槽は自立度に合いませんし、原因にも対応していませんね。

博士 博士

そうじゃ。浴槽の形の問題ではなく恐怖の問題じゃ。

サクラ サクラ

今日は入浴しなくていいと伝えると、清潔保持ができなくなります。

博士 博士

皮膚トラブルや感染症のリスクも上がるから、拒否を放置してはならんのじゃ。

サクラ サクラ

音楽をかけたり温かい飲み物を用意したりといった工夫もできますね。

博士 博士

手順を小さく分けて一緒に行うのもよい。安心感が積み重なれば入浴への抵抗は減っていくぞ。

POINT

認知症の方の入浴拒否は、過去の嫌な体験や寒さへの恐怖、羞恥心などが複合的に絡んで生じます。Aさんは冷水をかぶった体験から「お風呂は寒い」という認識を強く持っているため、看護師が一緒に湯の温度を確認し実際に温かいことを体感してもらうことで恐怖を和らげるのが最も効果的です。必要性の説明や入浴中止では根本的な不安に対応できず、特殊浴槽も今回の原因とは無関係です。清潔保持は皮膚や尿路の感染予防につながるため、本人の気持ちに寄り添いながら個別の工夫で入浴を継続することが大切です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:Aさん( 87歳、男性 )。3年前にAlzheimer< アルツハイマー >型認知症( dementia of Alzheimer type )と診断された。1年前に妻が亡くなってから1人で暮らしている。日常生活は問題なく送れていたが、最近Aさんは薬を飲み忘れることが増えてきたり、電話の応対ができなかったりすることがあり、日常生活に支障が出るようになった。 普段は入浴を楽しみにしていたAさんが、1週前に浴室で誤って冷たい水をかぶってしまい、それ以来「お風呂に入ると寒いから嫌だ」と言って、入浴を拒否するようになった。この日も「お風呂は寒い」と言って入浴を拒否している。看護師が浴室と脱衣室の室温を確認すると26℃~28℃にあたためられていた。また、施設内の温度は一定に設定されており、浴室から部屋まで移動する間も寒さを感じることはなかった。 Aさんへの対応として適切なのはどれか。

解説:正解は3です。冷水をかぶった体験から「お風呂は寒い」という恐怖が残っており、実際に湯が温かいことを本人と一緒に確認することで不安を軽減する対応が最も適切です。本人が納得してから入浴に進めることが大切です。

選択肢考察

  1. × 1.  入浴の必要性を説明する。

    認知症の方は論理的な説明より体験や感覚で納得することが多く、必要性を説いても入浴拒否の核にある寒さへの恐怖は解消されません。かえって否定された感覚を生み、信頼関係を損ねる恐れがあります。

  2. × 2.  特殊浴槽での入浴を勧める。

    特殊浴槽は自立的な入浴が困難な方を対象とした設備であり、Aさんの自立度に見合いません。入浴拒否の原因は浴槽の形ではなく冷水体験による恐怖なので、原因に対応しない選択肢です。

  3. 3.  一緒に湯の温度を確認する。

    本人の訴えを受け止め、実際に温かいことを体感してもらうことで恐怖を具体的に和らげる関わりです。看護師が寄り添いながら確認することで安心感が得られ、入浴への抵抗が減っていきます。

  4. × 4.  今日は入浴しなくてよいと伝える。

    入浴はスキンケアや感染予防、気分転換の観点からも重要で、拒否を受け入れるだけでは清潔保持が保たれません。原因に向き合い不安を軽減する工夫が先に必要です。

認知症の方の入浴拒否は、過去の嫌な体験や寒さ、裸になることへの羞恥心、湯につかる感覚の不快さなど複合的な要因で生じます。原因を丁寧に探り、脱衣や入浴の手順を小さく分解して一緒に行う、好きな音楽をかける、入浴前後に温かい飲み物を提供するなど個別の工夫が有効です。清潔の保持は皮膚トラブルや尿路感染予防にもつながるため、拒否を続けて放置しないことが重要です。

入浴拒否には原因がある。本人の気持ちを受け止め、恐怖や不安の根拠を一緒に確かめる関わりで納得を得ることが鍵です。