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眼底は全身の血管を映す鏡

看護師国家試験 第105回 午前 第68問 / 人体の構造・機能 / 循環器系

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第68問

動脈硬化を直視して評価できる血管はどれか。

  1. 1.冠動脈
  2. 2.眼底動脈
  3. 3.大腿動脈
  4. 4.腹部大動脈
  5. 5.中大脳動脈

対話形式の解説

博士 博士

今日は動脈硬化の評価についてじゃ。人体のさまざまな動脈のうち、唯一直接肉眼で見られる血管はどこかな?

アユム アユム

正解は2の眼底動脈ですね。瞳孔から覗けるからですか?

博士 博士

そのとおり。眼底鏡や眼底カメラを使って瞳孔から網膜を観察すると、網膜動脈・網膜静脈・視神経乳頭・黄斑が直接見える。これは生体内で血管そのものを直接観察できる唯一の部位じゃ。

アユム アユム

眼底を見るとどんなことがわかるんですか?

博士 博士

網膜動脈の状態から全身の動脈硬化の程度を推測できる。動脈硬化が進むと、網膜動脈が光を強く反射するようになる「銅線動脈」、さらに進むと「銀線動脈」と呼ばれる所見が出る。また、動脈と静脈が交差する部位で静脈が細く見える「動静脈交叉現象」も重要じゃ。

アユム アユム

分類方法もあるんですか?

博士 博士

Scheie分類、Keith-Wagener-Barker分類などがあり、高血圧性網膜症と動脈硬化性変化を組み合わせて評価する。眼底所見は全身の血管、特に脳や心臓の血管状態を推測する手がかりになるんじゃ。

アユム アユム

糖尿病でも眼底を見るんですよね?

博士 博士

そうじゃ。糖尿病性網膜症の評価にも眼底検査は不可欠じゃ。単純網膜症→前増殖網膜症→増殖網膜症と進行し、失明の原因になる。糖尿病患者は定期的な眼底検査が推奨される。

アユム アユム

冠動脈を直視するには?

博士 博士

冠動脈造影(CAG)、心臓カテーテル検査、冠動脈CT、血管内超音波(IVUS)、光干渉断層法(OCT)などを使う。いずれも侵襲的または特殊な画像検査が必要で、直視とは言えん。

アユム アユム

腹部大動脈は?

博士 博士

後腹膜腔にある大血管じゃから、直視するには開腹が必要になる。通常は腹部エコー、CT、MRIで評価する。腹部大動脈瘤のスクリーニングはエコーが第一選択じゃ。

アユム アユム

中大脳動脈を評価するには?

博士 博士

MRA(MR血管造影)、CTA(CT血管造影)、脳血管造影、頸動脈エコーによる間接評価などを用いる。いずれも画像検査が必要で、直視はできん。

アユム アユム

動脈硬化の非侵襲的な評価方法には他に何がありますか?

博士 博士

頸動脈エコーでIMT(内中膜複合体厚)を測定する方法、ABI(足関節上腕血圧比)、CAVI(心臓足首血管指数)、脈波伝播速度(PWV)、血管内皮機能検査(FMD)などがある。いずれも全身の動脈硬化を推測する指標じゃ。

アユム アユム

大腿動脈は拍動は触れるけど直視はできないんですね?

博士 博士

そうじゃ。鼠径部で強く触れるが、皮下脂肪や筋膜の下を走行しておる。カテーテル検査の穿刺部位としてよく使われるが、直視できるわけではない。

アユム アユム

眼底所見から全身の状態を推測する「窓口」という考え方は興味深いですね。

博士 博士

昔から「眼は心の窓」と言われるが、医学的には「眼底は全身血管の窓」と言える。高血圧、糖尿病、動脈硬化、腎疾患、脳血管疾患まで、眼底所見から多くの情報が得られるんじゃよ。

アユム アユム

看護師としても、眼底検査の意義を理解しておくと患者指導に役立ちますね。

博士 博士

そのとおり。定期的な眼底検査の意義を患者に伝え、検査への協力を得ることも看護の大事な役割じゃ。

POINT

眼底動脈(網膜動脈)は瞳孔を通して眼底鏡や眼底カメラで直接観察できる、人体で唯一の直視可能な血管です。動脈硬化が進行すると銅線動脈・銀線動脈・動静脈交叉現象などの所見が現れ、全身の動脈硬化や高血圧性・糖尿病性変化の評価に活用されます。冠動脈・大腿動脈・腹部大動脈・中大脳動脈はいずれも体内深部にあるため画像検査や侵襲的処置が必要です。眼底は全身血管の状態を映す窓口として、定期的な検査が糖尿病・高血圧患者に推奨されています。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:動脈硬化を直視して評価できる血管はどれか。

解説:正解は 2 です。眼底動脈(網膜動脈)は人体で唯一、生体内の血管を非侵襲的に直接肉眼で観察できる血管です。眼底鏡や眼底カメラを用いて瞳孔を通して網膜を見ると、網膜動脈・網膜静脈・視神経乳頭・黄斑が観察できます。動脈硬化が進行すると、網膜動脈に「銅線動脈」(反射増強)、「銀線動脈」(さらに進行した状態)、動静脈交叉現象(Scheie分類、Keith-Wagener-Barker分類で評価)などの特徴的所見が現れます。これらは全身の動脈硬化の程度を推測する窓口とされ、高血圧性網膜症、糖尿病性網膜症、動脈硬化性変化などの評価に用いられます。冠動脈・大腿動脈・腹部大動脈・中大脳動脈はいずれも体内深部にあり、直接観察するには冠動脈造影、血管エコー、CT・MRアンギオなど画像検査や侵襲的処置が必要です。

選択肢考察

  1. × 1.  冠動脈

    誤りです。冠動脈は心臓表面を走行する動脈で、直接肉眼で観察するには冠動脈造影(CAG)、心臓カテーテル検査、冠動脈CT、血管内超音波(IVUS)、光干渉断層法(OCT)などの画像検査が必要です。

  2. 2.  眼底動脈

    正しい選択肢です。眼底動脈(網膜動脈)は瞳孔を通して眼底鏡・眼底カメラで直接観察でき、生体内で非侵襲的に血管を直視できる唯一の部位です。高血圧性・糖尿病性・動脈硬化性変化の評価に用いられます。

  3. × 3.  大腿動脈

    誤りです。大腿動脈は鼠径部から膝上部を走行する大きな血管で、体表から拍動を触れますが直視はできません。動脈硬化評価には血管エコーや足関節上腕血圧比(ABI)などを用います。

  4. × 4.  腹部大動脈

    誤りです。腹部大動脈は後腹膜に位置する大血管で、直視するには開腹手術が必要です。動脈硬化や腹部大動脈瘤の評価には腹部エコー、CT、MRIを用います。

  5. × 5.  中大脳動脈

    誤りです。中大脳動脈は頭蓋内のウィリス動脈輪から分枝する脳動脈で、頭蓋内深部に位置し直視できません。評価にはMRA、CTA、脳血管造影、頸動脈エコー(間接評価)などを用います。

動脈硬化の評価方法を整理します。眼底検査:唯一の直視可能部位、網膜動脈の銅線・銀線動脈、動静脈交叉現象、Scheie分類・Keith-Wagener-Barker分類。頸動脈エコー:頸動脈IMT(内中膜複合体厚)、プラーク、狭窄率評価。ABI(足関節上腕血圧比):末梢動脈疾患のスクリーニング(0.9以下で異常)。CAVI(心臓足首血管指数):血管の硬さ評価。脈波伝播速度(PWV):血管弾性の評価。血管内皮機能検査(FMD):内皮依存性血管拡張反応。CT・MRI・血管造影:形態評価。動脈硬化は全身性疾患であり、眼底所見は全身血管の状態を推測する貴重な情報源です。

眼底動脈は瞳孔を通して直視できる人体で唯一の血管であり、動脈硬化の進行度を直接評価できる。