右心室と左心室、どこが同じでどこが違う?
看護師国家試験 第107回 午後 第81問 / 人体の構造・機能 / 循環器系
国試問題にチャレンジ
健常な成人の心臓について、右心室と左心室で等しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.単位時間当たりの収縮の回数
- 2.拡張時の内圧
- 3.収縮時の内圧
- 4.心室壁の厚さ
- 5.1回拍出量
対話形式の解説
博士
今日は循環器の基本問題じゃ。右と左の心室の違いを整理するぞ。
サクラ
壁の厚さは左心室の方が厚いんですよね。
博士
そうじゃ。全身に血液を送るから3倍ほど厚いんじゃよ。
サクラ
収縮時の内圧はどうですか?
博士
左心室は約120mmHg、右心室は約25mmHgじゃ。大きく違うぞ。
サクラ
拡張時の内圧も違うのですか?
博士
そう、左心室の方が高い。壁が厚くてコンプライアンスが低いからじゃ。
サクラ
では等しいのは何ですか?
博士
まず収縮回数じゃ。洞結節からの刺激で心臓全体が同期して動くからの。
サクラ
なるほど、1分間に60〜100回で同じですね。
博士
もう1つは1回拍出量じゃ。
サクラ
え、ポンプの力が違うのに拍出量は同じなのですか?
博士
よい疑問じゃ。体循環と肺循環は閉鎖系でつながっておる。片方が多く出し続けたら血液が偏ってしまうんじゃ。
サクラ
だから長期的には必ず等しくなるんですね。
博士
そう、健常成人では1回約70mLで左右同量じゃ。
サクラ
不均衡になると何が起こるのですか?
博士
左心不全なら肺うっ血、右心不全なら浮腫や肝腫大じゃ。
サクラ
なるほど、拍出量のバランスが崩れると症状につながるんですね。
博士
だから心不全の理解にも左右の関係性が重要なんじゃよ。
POINT
健常成人の心臓で右心室と左心室が等しいのは選択肢1の収縮回数と選択肢5の1回拍出量の2つです。洞結節からの刺激で心臓全体が同期するため回数は等しく、体循環と肺循環が閉鎖系でつながっているため長期的な1回拍出量も等しくなります。一方で壁の厚さ・収縮期圧・拡張期圧はすべて左心室が大きく、これは全身への高圧送血のための構造的特徴です。左右の拍出量バランスが崩れると左心不全・右心不全として症状に現れる点も理解しておきましょう。
解答・解説
正解は 1 ・ 5 です
問題文:健常な成人の心臓について、右心室と左心室で等しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は1と5です。右心室と左心室は同じ心臓の一部として同期して収縮するため収縮回数は等しく、また体循環と肺循環で血液が循環する閉鎖系の系であるため1回拍出量も等しくなります。
選択肢考察
-
○ 1. 単位時間当たりの収縮の回数
洞結節からの刺激によって心臓全体が同期して収縮するため、右心室と左心室の収縮回数は常に等しくなります。成人で1分間に60〜100回程度です。
-
× 2. 拡張時の内圧
拡張末期圧は左心室の方が高くなります。左心室は肺静脈から戻る比較的高い圧の血液を受け、壁も厚いためコンプライアンスが低く内圧が上昇しやすい構造です。
-
× 3. 収縮時の内圧
左心室は全身に血液を送り出すため収縮期圧は約120mmHgに達しますが、右心室は肺循環へ送るため約25mmHg程度です。大きく異なります。
-
× 4. 心室壁の厚さ
左心室壁は約10mmで右心室壁(約3mm)の3倍ほど厚いです。全身に血液を送り出すための高圧に耐える構造になっています。
-
○ 5. 1回拍出量
体循環と肺循環は閉鎖系で直列につながっており、長期的には左右の拍出量が等しくなければ血液が一方に溜まってしまいます。健常成人では1回約70mLで等しくなります。
左右の拍出量が一時的に不均衡になると肺うっ血(左心不全)や体うっ血(右心不全)として症状が現れます。左室肥大は高血圧や大動脈弁狭窄、右室肥大は肺高血圧症などで起こり、それぞれ内圧負荷の高い側が肥厚します。
「回数」と「拍出量」は等しい/「壁の厚さ」と「内圧」は左>右と整理しましょう。
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