心臓が止まらず動き続ける秘密 プラトー相の魔法
看護師国家試験 第109回 午前 第26問 / 人体の構造・機能 / 循環器系
国試問題にチャレンジ
固有心筋の特徴はどれか。
- 1.平滑筋である。
- 2.骨格筋よりも不応期が短い。
- 3.活動電位にプラトー相がみられる。
- 4.筋層は右心室の方が左心室より厚い。
対話形式の解説
博士
今日は心筋について学ぶぞ。骨格筋との違いを理解するのが鍵じゃ。
アユム
心筋って、心臓の筋肉ですよね。普通の筋肉と何が違うんですか?
博士
良い質問じゃ。まず分類として、心筋は固有心筋と特殊心筋に分かれる。固有心筋は収縮して血液を送り出す「作業筋」、特殊心筋は電気信号を生み出して伝える「刺激伝導系」じゃ。
アユム
特殊心筋って、洞房結節とかですね。
博士
その通り。洞房結節、房室結節、ヒス束、プルキンエ線維が刺激伝導系を構成する。自動能、つまり自分で興奮を発生する力をもつのが特徴じゃ。
アユム
固有心筋の構造は骨格筋と似ていますか?
博士
似ておる。ともに横紋構造をもつ横紋筋じゃ。ただし骨格筋は随意筋で自分の意志で動かせるが、心筋は不随意筋で自律神経がコントロールする。
アユム
活動電位はどう違うんですか?
博士
ここが一番の違いじゃ。骨格筋は数ミリ秒で一気に脱分極して再分極するが、心筋は途中で電位が平坦になる「プラトー相」がある。時間にして200〜300ミリ秒ほど続くのじゃ。
アユム
プラトーって、高原って意味ですよね。電位のグラフがそこで平らになるんですね。
博士
そう、L型Ca²⁺チャネルの持続的開口でCa²⁺が流入し、K⁺流出と拮抗して電位が維持される。このCa²⁺流入が心筋収縮の引き金にもなるのじゃ。
アユム
なぜこんな長いプラトーが必要なんですか?
博士
不応期を長くして強縮を防ぐためじゃ。骨格筋は連続刺激で強縮を起こし一本の収縮を維持できるが、それが心筋で起こったら拡張できず血液を送り出せん。プラトー相が心臓のリズムを守っておるのじゃ。
アユム
なるほど、心臓が「拡張と収縮」を繰り返せる仕組みなんですね。
博士
その通り。それから左右の心室壁の厚さの違いも重要じゃ。左心室は全身へ高圧で血液を送るため壁が右心室の約3倍厚い。
アユム
圧が高い分、筋肉も厚くなるんですね。血管の動脈側と静脈側の厚さの違いとも似ています。
博士
良い比較じゃ。心筋同士はギャップ結合でつながり、電気的に一つの塊のように振る舞うのも重要な性質じゃな。
アユム
心電図で見えるのは、この電気活動の総和ですよね。
博士
その通り。QRS波は心室の脱分極、T波はプラトー相を含む再分極、QT間隔の延長はプラトーの延長を示す。薬の副作用でQT延長が起こると致死性不整脈のリスクになるぞ。
アユム
心筋の特徴が心電図や薬理にまでつながるんですね。奥深い…。
POINT
固有心筋は心臓のポンプ機能を担う横紋筋で、骨格筋との最大の違いは活動電位にプラトー相をもつ点です。プラトー相はL型Ca²⁺チャネルを介したCa²⁺流入で形成され、収縮のトリガーとなるとともに長い不応期を生み出し、強縮を防いで拡張と収縮のリズムを維持します。心筋は固有心筋と特殊心筋(刺激伝導系)に分けられ、介在板のギャップ結合で電気的合胞体として同期的に収縮します。また左心室は全身への圧負荷に応じて右心室の約3倍厚く、心電図や抗不整脈薬の理解もプラトー相の知識が基礎となるため、この一点を確実に押さえることが臨床理解の出発点です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:固有心筋の特徴はどれか。
解説:正解は 3 です。固有心筋は心房・心室の壁を構成する横紋筋で、収縮によって心臓をポンプとして駆動する。その活動電位は骨格筋と異なり、急速脱分極(第0相)、一過性再分極(第1相)、プラトー相(第2相)、再分極(第3相)、静止電位(第4相)の5相から成り、Ca²⁺チャネルの持続的開口により平坦なプラトー相が形成される。これにより不応期が長く、強縮が生じないため、効率のよいポンプ運動が維持される。
選択肢考察
-
× 1. 平滑筋である。
心筋は骨格筋と同様に横紋構造をもつ横紋筋である。ただし随意支配ではなく不随意筋であり、介在板(ギャップ結合)で細胞同士が電気的につながる点が特徴。
-
× 2. 骨格筋よりも不応期が短い。
むしろ逆で、心筋の不応期は骨格筋より長い。プラトー相により再興奮までに時間がかかり、強縮(筋収縮の加算による持続収縮)が起こらず、拡張と収縮を交互に繰り返せる。
-
○ 3. 活動電位にプラトー相がみられる。
心筋活動電位の第2相にあたるプラトー相は、L型Ca²⁺チャネルの開口によるCa²⁺流入とK⁺流出の拮抗で形成される。長い不応期と効率的なポンプ運動の基盤となる。
-
× 4. 筋層は右心室の方が左心室より厚い。
全身に血液を送り出す左心室の壁は、肺循環のみを担当する右心室より約3倍厚い。圧負荷の大きさに応じた構造的適応である。
心筋は機能的に固有心筋(作業心筋、ポンプ機能を担う)と特殊心筋(刺激伝導系、自発的興奮を発生・伝導する)に分けられる。特殊心筋には洞房結節・房室結節・ヒス束・プルキンエ線維が含まれ、自動能(ペースメーカー能)をもつ。固有心筋は介在板のギャップ結合で電気的に一つの機能的合胞体として振る舞い、洞房結節の興奮が心房全体・心室全体へ同期的に伝わる。プラトー相の長さは心拍数や薬物(抗不整脈薬のクラス分類)にも関係し、QT間隔の指標にもなる。
固有心筋と骨格筋の違い、特に活動電位におけるプラトー相の存在と、その結果として生じる長い不応期・強縮の不在を理解しているかを問う問題。
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