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膵液はアルカリ性?酸性?消化の舞台裏を徹底解剖

看護師国家試験 第106回 午前 第29問 / 人体の構造・機能 / 消化器系

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第29問

膵液について正しいのはどれか。

  1. 1.弱アルカリ性である。
  2. 2.糖質分解酵素を含まない。
  3. 3.セクレチンによって分泌量が減少する。
  4. 4.Langerhans〈ランゲルハンス〉島のβ細胞から分泌される。

対話形式の解説

博士 博士

今日は膵液の性質について学ぶぞ。消化器系の基本中の基本じゃ。

サクラ サクラ

膵液ってどんな液体なんですか?

博士 博士

膵臓から1日1〜1.5 Lほど分泌され、主膵管を通ってファーター乳頭から十二指腸に放出される消化液じゃ。無色透明で、pHは約8の弱アルカリ性じゃよ。

サクラ サクラ

なんでアルカリ性なんですか?

博士 博士

胃からやってきた内容物はpH 2前後の強い酸性じゃ。そのままでは腸粘膜が傷つくし、消化酵素も働かない。そこで膵液に含まれる重炭酸イオン(HCO₃⁻)で中和するのじゃ。

サクラ サクラ

中和することで、酵素が働きやすくなるんですね。

博士 博士

その通り。膵酵素も腸酵素も中性〜弱アルカリ性で最もよく働く。胃酸を中和するのは十二指腸の大事な仕事じゃ。

サクラ サクラ

膵液にはどんな酵素が入っているんですか?

博士 博士

三大栄養素すべてを分解する酵素が揃っておる。糖質にはアミラーゼ、蛋白質にはトリプシン・キモトリプシン・カルボキシペプチダーゼ、脂質にはリパーゼ、さらに核酸分解酵素のRNase・DNaseもあるぞ。

サクラ サクラ

だから「糖質分解酵素を含まない」は間違いなんですね。

博士 博士

その通り。選択肢2は明らかな誤りじゃ。

サクラ サクラ

セクレチンってホルモンで、膵液の分泌を減らすんでしたっけ?

博士 博士

いや、逆じゃ。セクレチンは胃酸が十二指腸に流入したときにS細胞から分泌され、膵臓の腺管細胞を刺激してHCO₃⁻に富んだ膵液分泌を「促進」する。胃酸を中和するためのフィードバック機構じゃな。

サクラ サクラ

他にも膵液を出させるホルモンはありますか?

博士 博士

コレシストキニン(CCK)じゃ。脂肪や蛋白質が十二指腸に入るとI細胞から分泌され、膵酵素の分泌と胆嚢収縮を促すのじゃ。

サクラ サクラ

セクレチン=HCO₃⁻中心、CCK=酵素中心、という役割分担なんですね。

博士 博士

うむ、その整理でOKじゃ。

サクラ サクラ

ランゲルハンス島のβ細胞は膵液じゃなくて、インスリンを出すんですよね?

博士 博士

その通り。膵臓は外分泌(膵液)と内分泌(ホルモン)の両方を持つ珍しい臓器じゃ。ランゲルハンス島ではα細胞=グルカゴン、β細胞=インスリン、δ細胞=ソマトスタチンを分泌する。膵液と混同しないように注意じゃ。

サクラ サクラ

膵酵素って強力ですよね。膵臓自身が溶けたりしないんですか?

博士 博士

良い質問じゃ。トリプシンなどの蛋白分解酵素は不活性型(トリプシノーゲン)で分泌され、十二指腸でエンテロキナーゼによって初めて活性化される。膵内で早期活性化されると自己消化が起こり、これが急性膵炎の病態じゃ。

サクラ サクラ

だから急性膵炎ではアミラーゼ・リパーゼが血中で上がるんですね。

博士 博士

正解。臨床でも膵炎の診断には血清アミラーゼ・リパーゼが使われるぞ。国試では生理学と病態をセットで問われるから、仕組みを理解しておくと一石二鳥じゃ。

POINT

膵液は膵臓の腺房細胞・腺管細胞から分泌される弱アルカリ性(pH約8)の消化液で、重炭酸イオンを豊富に含み胃酸を中和します。三大栄養素すべてを分解する酵素(アミラーゼ、トリプシン、リパーゼなど)を含み、セクレチンやコレシストキニンといった消化管ホルモンにより分泌が促進されます。ランゲルハンス島β細胞から分泌されるのは膵液ではなくインスリンであり、膵臓の外分泌機能と内分泌機能は明確に区別する必要があります。急性膵炎の病態理解にもつながる、消化生理の基礎として確実に押さえたい内容です。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:膵液について正しいのはどれか。

解説:正解は 1 の「弱アルカリ性である」です。膵臓は1日約1〜1.5 Lの膵液を十二指腸に分泌する外分泌器官で、膵液は重炭酸イオン(HCO₃⁻)を豊富に含むためpH約8の弱アルカリ性を示します。このアルカリ性が胃から送られてきた酸性の粥状物(pH 2前後)を中和し、膵液や腸液中の消化酵素が至適pHで働けるようにします。膵液には糖質分解酵素(アミラーゼ)、蛋白質分解酵素(トリプシン・キモトリプシン・カルボキシペプチダーゼ)、脂肪分解酵素(リパーゼ)、核酸分解酵素(RNase・DNase)など三大栄養素すべてを分解する酵素が含まれます。

選択肢考察

  1. 1.  弱アルカリ性である。

    重炭酸イオンを多く含みpH約8の弱アルカリ性。胃酸で酸性化した内容物を中和し、膵酵素や腸酵素が至適pHで働ける環境を作る。

  2. × 2.  糖質分解酵素を含まない。

    膵液には糖質分解酵素であるアミラーゼ(膵アミラーゼ)が含まれ、でんぷんを二糖類まで分解する。三大栄養素すべての消化酵素を含むのが膵液の特徴。

  3. × 3.  セクレチンによって分泌量が減少する。

    逆である。セクレチンは十二指腸粘膜から胃酸刺激によって分泌される消化管ホルモンで、膵臓の腺管細胞に作用してHCO₃⁻に富む膵液の分泌を促進する。

  4. × 4.  Langerhans〈ランゲルハンス〉島のβ細胞から分泌される。

    ランゲルハンス島β細胞から分泌されるのはインスリン(内分泌ホルモン)である。膵液を分泌するのは膵腺房細胞と腺管細胞で、主膵管を経て十二指腸に放出される(外分泌)。

膵臓は外分泌(膵液)と内分泌(インスリン・グルカゴンなど)の両機能を持つ。内分泌はランゲルハンス島が担い、α細胞=グルカゴン、β細胞=インスリン、δ細胞=ソマトスタチン、PP細胞=膵ポリペプチドを分泌する。外分泌の調節は消化管ホルモンによる。セクレチン=HCO₃⁻豊富な膵液分泌を促進(水分・電解質)、コレシストキニン(CCK)=膵酵素の分泌と胆嚢収縮を促進、と役割が分かれる。膵液の活性型酵素(とくにトリプシン)が膵内で活性化すると自己消化が起こり、急性膵炎の原因となる。通常は不活性型(トリプシノーゲン)で分泌され、十二指腸でエンテロキナーゼによって活性化される。

膵液の性状・成分・調節を問う基礎問題。「弱アルカリ性」「三大栄養素すべてを分解」「セクレチンで分泌促進」「ランゲルハンス島は内分泌(別系統)」の4点が頻出。