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脂質はなぜリンパ管を通るのか?栄養素の吸収経路整理

看護師国家試験 第107回 午前 第68問 / 人体の構造・機能 / 消化器系

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第68問

小腸で消化吸収される栄養素のうち、胸管を通って輸送されるのはどれか。

  1. 1.糖質
  2. 2.蛋白質
  3. 3.電解質
  4. 4.中性脂肪
  5. 5.水溶性ビタミン

対話形式の解説

博士 博士

小腸で吸収された栄養素はすべて同じ経路で運ばれるのかのう?

アユム アユム

いいえ、大きく分けて2つのルートがあります。門脈系とリンパ系ですね。

博士 博士

その通り。門脈系を通るのは何じゃ?

アユム アユム

単糖類、アミノ酸、電解質、水溶性ビタミン、それに短鎖・中鎖脂肪酸です。

博士 博士

ではリンパ系、つまり胸管を通るのは?

アユム アユム

中性脂肪、コレステロール、脂溶性ビタミンA・D・E・Kです。

博士 博士

なぜ脂肪だけリンパを通るんじゃ?

アユム アユム

脂肪は水に溶けないうえ、カイロミクロンという大きな粒子になるため、毛細血管には入れず、より透過性の高いリンパ管(乳糜管)に取り込まれるからです。

博士 博士

カイロミクロンとはどういう構造かの?

アユム アユム

中性脂肪、コレステロール、リン脂質、アポ蛋白B-48で構成されるリポ蛋白粒子で、直径約100〜1000nmと非常に大きいです。

博士 博士

中性脂肪はどこでカイロミクロンになるんじゃ?

アユム アユム

小腸上皮細胞内で再合成されてアポ蛋白と結合し、カイロミクロンとして基底側から分泌されます。

博士 博士

吸収前の消化はどのように進むのじゃ?

アユム アユム

胆汁酸で乳化され、膵リパーゼでモノグリセリドと脂肪酸に分解され、胆汁酸ミセルに取り込まれて上皮細胞に吸収されます。

博士 博士

胸管はどこに流入するんじゃ?

アユム アユム

左鎖骨下静脈と左内頸静脈の合流部、いわゆる左静脈角に注ぎます。そこから体循環に入ります。

博士 博士

脂溶性ビタミンが欠乏するとどんな症状が出るかのう?

アユム アユム

ビタミンA欠乏は夜盲症、D欠乏はくる病・骨軟化症、E欠乏は溶血・神経症状、K欠乏は出血傾向です。

博士 博士

脂肪の吸収障害があるとなぜ脂溶性ビタミンも欠乏しやすいんじゃ?

アユム アユム

脂肪と一緒に吸収されるので、胆汁分泌不全や膵外分泌不全では脂溶性ビタミンも吸収されにくくなるからですね。

博士 博士

中鎖脂肪酸が違う経路を通るのはなぜじゃ?

アユム アユム

分子が小さく水溶性に近いため、門脈系を通って直接肝臓に運ばれます。MCTオイルが吸収障害のある患者に使われる理由ですね。

博士 博士

よし、これで栄養素吸収経路の全体像が見えたじゃろう。

POINT

小腸で吸収された栄養素は、水溶性のものは門脈系で肝臓へ、脂溶性のものはリンパ系(乳糜管→胸管)を経由して左鎖骨下静脈で血流に合流します。中性脂肪・コレステロール・脂溶性ビタミンが胸管ルートと覚えましょう。カイロミクロンという大きなリポ蛋白粒子になるためリンパ管を通る、という仕組みが理解のカギです。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:小腸で消化吸収される栄養素のうち、胸管を通って輸送されるのはどれか。

解説:正解は4です。中性脂肪(トリグリセリド)は小腸上皮細胞内でモノグリセリドと脂肪酸に分解・再合成された後、アポ蛋白と結合してカイロミクロンというリポ蛋白を形成します。カイロミクロンは分子が大きいため毛細血管ではなく腸絨毛内の乳糜管(リンパ管)に取り込まれ、胸管を経由して左鎖骨下静脈で血流に合流します。

選択肢考察

  1. × 1.  糖質

    糖質は単糖類(グルコース・ガラクトース・フルクトース)まで分解されて小腸上皮から吸収され、毛細血管から門脈を経て肝臓へ運ばれます。リンパ管経由ではありません。

  2. × 2.  蛋白質

    蛋白質はアミノ酸まで分解され、小腸上皮から毛細血管に吸収されて門脈経由で肝臓に運ばれます。胸管は通りません。

  3. × 3.  電解質

    ナトリウム・カリウム・塩素などの電解質は毛細血管から吸収され、血液を介して全身に運ばれます。水溶性物質はリンパ経路を使いません。

  4. 4.  中性脂肪

    中性脂肪はカイロミクロンとして乳糜管から胸管を経由し、左鎖骨下静脈で体循環に合流します。脂溶性ビタミン(A・D・E・K)やコレステロールも同じ経路を通ります。

  5. × 5.  水溶性ビタミン

    水溶性ビタミン(ビタミンB群、C)は分子が小さく水に溶けるため、毛細血管から門脈を経て肝臓へ運ばれます。リンパ経路は通りません。

栄養素の吸収経路は2つに整理して覚えます。【門脈系】単糖類・アミノ酸・電解質・水溶性ビタミン・短鎖/中鎖脂肪酸。【リンパ系(胸管)】カイロミクロンとして中性脂肪・コレステロール・脂溶性ビタミン(A・D・E・K)。胸管は左鎖骨下静脈に注ぐことも頻出ポイントです。

小腸で吸収された栄養素の輸送経路について、脂溶性栄養素がリンパ管(胸管)を経由することを理解しているかを問う問題です。