低カルシウム血症と副甲状腺ホルモン
看護師国家試験 第108回 午前 第79問 / 人体の構造・機能 / 内分泌系
国試問題にチャレンジ
血液中のカルシウムイオン濃度が低下した際に、ホルモン分泌量が増加するのはどれか。
- 1.膵島
- 2.甲状腺
- 3.下垂体
- 4.副腎皮質
- 5.副甲状腺
対話形式の解説
博士
今日はカルシウム代謝の調節を学ぼう。血中Ca濃度を調節するホルモンを3つ挙げられるかの。
サクラ
副甲状腺ホルモン、カルシトニン、あとはビタミンDですか。
博士
よろしい。活性型ビタミンD₃(カルシトリオール)の3者で調節される。
サクラ
血中Caが低下した時はどうなるんですか。
博士
副甲状腺主細胞のカルシウム感知受容体が低Caを感知し、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が増える。
サクラ
PTHは具体的に何をするんですか。
博士
3つ覚えよう。①骨で破骨細胞を活性化しCa²⁺を血中へ動員、②腎尿細管でCa再吸収を促進しリン排泄を促進、③腎で活性型ビタミンD産生を促し腸管のCa吸収を増やすじゃ。
サクラ
三方向から一気に血中Caを上げるんですね。
博士
その通り。逆に血中Caが上昇した時はどうじゃ。
サクラ
カルシトニンが甲状腺から分泌される…んでしたっけ。
博士
正確には甲状腺C細胞(傍濾胞細胞)から分泌される。骨吸収を抑えCa濃度を下げる。本問とは逆方向じゃ。
サクラ
選択肢1の膵島は血糖調節ですね。
博士
インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン。Caとは関係ない。
サクラ
下垂体はどうですか。
博士
成長ホルモン、TSH、ACTH、プロラクチン、ADH、オキシトシンなどじゃが、Caに直接応答するものはない。
サクラ
副腎皮質は。
博士
コルチゾール、アルドステロン、アンドロゲン。糖・電解質・性ホルモンの代謝じゃ。
サクラ
ということで正解は副甲状腺ですね。
博士
よろしい。臨床では副甲状腺機能亢進症で高Ca血症と骨粗鬆症、尿路結石、機能低下症では低Ca血症でテタニー(トルソー徴候、クヴォステック徴候)が起こる。
サクラ
看護上も重要ですね。
博士
甲状腺手術後の副甲状腺損傷で一過性低Caが起こることもある。観察が大切じゃ。
POINT
血中カルシウム濃度が低下すると副甲状腺から副甲状腺ホルモン(PTH)が分泌され、骨吸収・腎再吸収・活性型ビタミンD産生を介してCa濃度を上昇させます。甲状腺C細胞のカルシトニンは逆に高Ca時に分泌されCa低下に働きます。手術後の低Ca血症や機能亢進症での高Ca血症など臨床応用も重要です。
解答・解説
正解は 5 です
問題文:血液中のカルシウムイオン濃度が低下した際に、ホルモン分泌量が増加するのはどれか。
解説:正解は 5 です。血中カルシウム濃度の調節は副甲状腺ホルモン(PTH)とカルシトニン、活性型ビタミンDで行われます。血中Ca²⁺が低下すると副甲状腺から分泌されるPTHが増加し、①骨からのCa²⁺動員促進(破骨細胞活性化)、②腎尿細管でのCa²⁺再吸収促進とリン排泄促進、③活性型ビタミンD産生促進による腸管Ca吸収増加を介してCa濃度を上昇させます。
選択肢考察
-
× 1. 膵島
ランゲルハンス島からはインスリン、グルカゴン、ソマトスタチンが分泌され、主に血糖調節を担います。カルシウム調節には関与しません。
-
× 2. 甲状腺
甲状腺C細胞(傍濾胞細胞)はカルシトニンを分泌し、血中Ca濃度が上昇した時に分泌が増えCa濃度を低下させます。本問とは逆方向です。
-
× 3. 下垂体
成長ホルモン、TSH、ACTH、ADH、オキシトシン等を分泌する中枢内分泌器官ですが、Ca濃度に直接応答するホルモンは分泌しません。
-
× 4. 副腎皮質
コルチゾール、アルドステロン、アンドロゲンを分泌し、糖・電解質・性ホルモン代謝を担います。Ca調節の主役ではありません。
-
○ 5. 副甲状腺
副甲状腺主細胞はカルシウム感知受容体で血中Ca低下を感知し、PTHを分泌して骨吸収促進・腎再吸収促進・活性型ビタミンD産生を介しCa濃度を上昇させます。
副甲状腺は甲状腺背側に通常4個存在する米粒大の内分泌腺です。原発性副甲状腺機能亢進症ではPTH過剰により高Ca血症と骨吸収が起こり、骨粗鬆症・尿路結石・消化器症状などを呈します。一方、副甲状腺機能低下症では低Ca血症からテタニー(トルソー徴候、クヴォステック徴候)を認めます。
血中Ca濃度低下時に分泌が増えるホルモン(PTH)の分泌器官を同定できるかを問う問題です。
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