出産・育児の社会資源と法律を整理せよ——入院助産はどの法律?
看護師国家試験 第106回 午前 第60問 / 母性看護学 / 母性看護の対象と社会・環境
国試問題にチャレンジ
出産や育児に関する社会資源と法律の組合せで正しいのはどれか。
- 1.入院助産 -------- 児童福祉法
- 2.出産扶助 -------- 母体保護法
- 3.出産手当金 ----- 母子保健法
- 4.養育医療 -------- 児童手当法
対話形式の解説
博士
今日は出産・育児に関する社会資源と法律の組み合わせじゃ。国試では必須のテーマなんじゃ。
アユム
似たような名前が多くて混乱します……。入院助産と出産扶助は何が違うんですか?
博士
良い質問じゃ。入院助産は児童福祉法、出産扶助は生活保護法。目的も対象もちょっと違うんじゃ。
アユム
具体的にはどう違うんですか?
博士
入院助産(児童福祉法第22条)は『保健上必要があるのに経済的理由で病院等で出産できない妊産婦』が対象で、助産施設で出産できるように公費で支援する。
アユム
出産扶助は?
博士
生活保護法に基づく8扶助の一つで、生活保護受給世帯が出産するときに、分娩介助や前後の処置、衛生材料の費用を給付するものじゃ。生活保護を受けている人が対象じゃな。
アユム
出産手当金は何でしたっけ?
博士
健康保険法第102条に基づく給付じゃ。会社員など健康保険の被保険者が、産前42日・産後56日の休業期間中に、標準報酬日額の3分の2を受け取れる。
アユム
なるほど、働いている人への所得補償なんですね。母子保健法には何が規定されているんですか?
博士
母子健康手帳、妊産婦健診、乳幼児健診(1歳6か月児・3歳児健診)、未熟児訪問指導、そして養育医療じゃな。
アユム
養育医療はどんな制度ですか?
博士
母子保健法第20条に基づく。出生時体重2000g以下など身体の発育が未熟で入院治療が必要な未熟児に対し、医療費を公費で負担する制度じゃ。
アユム
選択肢4で『養育医療=児童手当法』になっていますが、児童手当法は別物ですよね?
博士
その通り。児童手当法は中学校修了までの児童を養育する者に児童手当を支給する法律で、養育医療とは関係ないんじゃ。
アユム
母体保護法というのもありますね。
博士
母体保護法は旧優生保護法が1996年に改正されたもので、不妊手術・人工妊娠中絶・受胎調節実地指導員の規定が中心じゃ。出産扶助の根拠法ではないから選択肢2も誤りじゃな。
アユム
出産育児一時金というのも聞きますが、これは?
博士
健康保険法に基づく給付で、出産時に原則50万円(2023年4月から)が支給される。出産手当金は休業補償、一時金は出産費用の補助——混同しやすいから注意じゃ。
アユム
育児休業給付金はどの法律ですか?
博士
育児休業自体は育児・介護休業法で保障され、給付金は雇用保険法から支給されるんじゃ。
アユム
法律ごとに整理するとこうなりますね。児童福祉法=入院助産、母子保健法=養育医療・母子健康手帳、健康保険法=出産手当金・一時金、生活保護法=出産扶助、雇用保険法=育児休業給付金。
博士
素晴らしい。この整理ができれば類似問題にも対応できるぞ。
アユム
社会制度を正しく知ることで、支援が必要な家族に的確な情報を届けられるんですね。
POINT
出産・育児に関する社会資源と法律の対応は、似た名称が多く混同しやすいため体系的な整理が必須です。入院助産は児童福祉法第22条、養育医療は母子保健法第20条、出産手当金と出産育児一時金は健康保険法、出産扶助は生活保護法、児童手当は児童手当法、育児休業給付金は雇用保険法——このマッピングが国試の要諦です。母子保健法は予防的な健康管理(手帳・健診・指導)、児童福祉法は保護的な施設サービス、健康保険法は被保険者への経済給付、生活保護法は最低生活保障という性格の違いを押さえると混乱しません。看護師は妊娠・出産・育児の各場面で利用できる制度を熟知し、対象者を適切な窓口につなぐソーシャルサポート機能を担います。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:出産や育児に関する社会資源と法律の組合せで正しいのはどれか。
解説:正解は 1 です。入院助産は児童福祉法第22条に規定される制度で、保健上の必要があるのに経済的理由で病院等での出産ができない妊産婦に対し、助産施設で助産を行う公的支援である。申請窓口は福祉事務所等で、費用は世帯の収入に応じて公費負担となる。
選択肢考察
-
○ 1. 入院助産 -------- 児童福祉法
児童福祉法第22条に基づく制度。経済的理由で病院での出産が難しい妊産婦を対象に、助産施設で出産できるよう公費で支援する。児童福祉法では助産施設を含む児童福祉施設(乳児院、母子生活支援施設、保育所など)も定められている。
-
× 2. 出産扶助 -------- 母体保護法
出産扶助は『生活保護法』第16条に基づく8種類の扶助の一つで、生活保護受給者が出産する際に分娩介助・前後の処置・衛生材料を給付する制度。母体保護法(旧優生保護法)は不妊手術・人工妊娠中絶・受胎調節実地指導員を定める法律で無関係。
-
× 3. 出産手当金 ----- 母子保健法
出産手当金は『健康保険法』第102条に基づく給付で、健康保険被保険者が出産で休業した期間(出産予定日前42日・産後56日)に標準報酬日額の3分の2相当が支給される。母子保健法は妊産婦・乳幼児の健康保持増進(母子健康手帳の交付、妊産婦健診、乳幼児健診など)を定める法律。
-
× 4. 養育医療 -------- 児童手当法
養育医療は『母子保健法』第20条に基づく制度で、出生時体重2000g以下など身体の発育が未熟で入院治療を要する未熟児に対し、医療給付を行う公費負担医療である。児童手当法は中学校修了までの児童を養育する者に児童手当を支給する別制度。
母子保健関連の制度と法律は混同しやすいため整理しておく。【児童福祉法】入院助産、助産施設、乳児院、保育所、児童相談所、小児慢性特定疾病医療費助成。【母子保健法】母子健康手帳、妊産婦健診、乳幼児健診(1歳6か月児、3歳児)、養育医療、未熟児訪問指導。【健康保険法】出産手当金、出産育児一時金(42万円、2023年から50万円)、傷病手当金。【生活保護法】出産扶助、医療扶助、生活扶助など8扶助。【育児・介護休業法】育児休業、育児休業給付金(支給は雇用保険法)。【児童手当法】児童手当。【母体保護法】不妊手術、人工妊娠中絶、受胎調節指導。
出産・育児に関する主要な社会資源(入院助産、出産扶助、出産手当金、養育医療)と、それぞれを規定する法律との正しい対応を問う問題。
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