高齢女性の疾患と原因をマッチング
看護師国家試験 第104回 午前 第64問 / 母性看護学 / 女性のライフサイクル各期の看護
国試問題にチャレンジ
高齢女性に生じやすい疾患と原因の組合せで正しいのはどれか。
- 1.腟炎(vaginitis)―腟分泌物の酸性化
- 2.外陰炎(vulvitis)―プロゲステロンの減少
- 3.子宮脱(uterine prolapse)―骨盤底筋群の筋力低下
- 4.子宮体癌(uterine corpus cancer)―プロラクチンの増加
対話形式の解説
博士
閉経後の女性に多い疾患を原因とつなげるぞ。
アユム
ホルモン変化と支持組織の変化が中心ですね。
博士
腟炎の原因はpHの酸性化かな。
アユム
逆ですね。エストロゲン低下で乳酸産生が減り、pHはアルカリ側に傾きます。
博士
外陰炎はプロゲステロン減少が原因かな。
アユム
いえ、これもエストロゲン低下による粘膜萎縮が主因です。
博士
では子宮脱はどうじゃ。
アユム
骨盤底筋群と靱帯の脆弱化で生じるので3の組合せは正しいです。
博士
子宮体癌はプロラクチン増加かな。
アユム
エストロゲンの持続刺激が主因なので、これも違いますね。
博士
したがって正解は3じゃな。
アユム
予防にケーゲル体操が有効ですね。
博士
ペッサリーや手術といった治療法も知っておこう。
アユム
子宮体癌では肥満や未産歴がリスクですね。
博士
閉経後の不正出血は早期受診が原則じゃ。
POINT
子宮脱は骨盤底筋群と支持靱帯の弱化で発生し、加齢や出産歴がリスクとなります。閉経後はエストロゲン低下で腟内pHがアルカリ化し萎縮性腟炎・外陰炎が生じやすくなります。子宮体癌はエストロゲンの長期刺激が主因です。看護では骨盤底筋訓練の指導や定期検診の勧奨、QOLを支える性器症状への配慮が大切です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:高齢女性に生じやすい疾患と原因の組合せで正しいのはどれか。
解説:正解は3の「子宮脱(uterine prolapse)―骨盤底筋群の筋力低下」です。加齢・出産・閉経による骨盤底筋群および支持靱帯の脆弱化により骨盤内臓器が下垂し、子宮脱を生じます。長時間の立位や腹圧上昇で増悪します。
選択肢考察
-
× 1. 腟炎(vaginitis)―腟分泌物の酸性化
閉経後はエストロゲン低下によりデーデルライン桿菌が減少し、腟内pHは酸性からアルカリ性へ傾きます。萎縮性腟炎の原因は酸性化ではなく自浄作用低下です。
-
× 2. 外陰炎(vulvitis)―プロゲステロンの減少
閉経後の外陰炎は主にエストロゲン低下による粘膜萎縮・乾燥・易感染性が原因です。プロゲステロンの減少が直接的な原因ではありません。
-
○ 3. 子宮脱(uterine prolapse)―骨盤底筋群の筋力低下
骨盤底筋群と支持組織の脆弱化が子宮下垂・脱出の直接原因であり、設問の組合せは正しいといえます。
-
× 4. 子宮体癌(uterine corpus cancer)―プロラクチンの増加
子宮体癌は内因性・外因性を含めたエストロゲンの長期刺激が主たる発生因子です。プロラクチンは乳汁産生に関与し、子宮体癌発生との直接関連は確立していません。
子宮脱の予防と治療には骨盤底筋訓練(ケーゲル体操)、ペッサリー、必要に応じて手術が選択されます。子宮体癌のリスク因子は肥満・未産・遅い閉経・無排卵・タモキシフェン使用などのエストロゲン暴露です。
閉経後女性に多い疾患の病態生理(特にエストロゲン低下と骨盤底機能低下)を理解しているかを問う問題です。
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