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閉経とエストロゲン低下が身体にもたらす変化

看護師国家試験 第113回 午後 第59問 / 母性看護学 / 女性のライフサイクル各期の看護

国試問題にチャレンジ

113回 午後 第59問

閉経に伴うエストロゲンの低下で生じるのはどれか。

  1. 1.骨量の増加
  2. 2.腟粘膜の萎縮
  3. 3.脳血流量の増加
  4. 4.血中LDLコレステロールの減少

対話形式の解説

博士 博士

今日はエストロゲンが抜けるとどんな変化が起こるかを整理するぞ。

サクラ サクラ

ホットフラッシュや骨粗鬆症は有名ですが、他にも色々あるのですよね。

博士 博士

そうじゃ。エストロゲンは骨、血管、粘膜、脂質代謝と幅広く関わっておる。

サクラ サクラ

まず骨量はどう変化しますか。

博士 博士

エストロゲンは破骨細胞の働きを抑えて骨を守っておるから、低下すれば骨吸収が亢進し骨量は減るのう。

サクラ サクラ

つまり選択肢1の『骨量の増加』は逆方向ですね。

博士 博士

その通り。次に腟粘膜はどうじゃ。

サクラ サクラ

エストロゲンは粘膜を厚く保って糖原を蓄積させグリコーゲンから乳酸を作るので、低下すると粘膜が萎縮し乾燥しやすくなると思います。

博士 博士

素晴らしい理解じゃ。これが『閉経関連尿路生殖器症候群』、いわゆるGSMじゃな。

サクラ サクラ

選択肢3の脳血流量はどうでしょう。

博士 博士

エストロゲンには血管拡張作用があるから、減れば脳血流はむしろ落ちる傾向じゃ。増加することはない。

サクラ サクラ

選択肢4のLDLコレステロールは下がるのですか。

博士 博士

いや逆じゃ。エストロゲンはLDL受容体を増やしてLDLを下げる働きを持つから、閉経後はLDLが上昇し脂質異常症や動脈硬化が進むのじゃ。

サクラ サクラ

ということで残る正解は選択肢2の腟粘膜の萎縮ですね。

博士 博士

正解じゃ。看護職は更年期女性の不調を身体・心理・社会的側面から捉え、セルフケア支援を行うことが大切じゃよ。

サクラ サクラ

ホルモン補充療法や漢方、生活習慣介入もあわせて学びたいです。

POINT

閉経に伴うエストロゲン低下は、骨量減少、腟粘膜の萎縮、血管拡張作用の減弱、LDLコレステロール上昇など多彩な変化をもたらします。選択肢のうち正しい方向性を示すのは『腟粘膜の萎縮』のみで、他はすべて逆方向の記述です。看護では、ホットフラッシュなどの血管運動症状、骨粗鬆症予防、GSM対策、脂質管理といった多面的な支援視点が求められます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:閉経に伴うエストロゲンの低下で生じるのはどれか。

解説:正解は2の「腟粘膜の萎縮」です。エストロゲンには粘膜の増殖維持や潤滑分泌を保つ作用があるため、閉経後にエストロゲンが急減すると腟粘膜は薄く萎縮し、乾燥や性交痛、萎縮性腟炎の原因となります。

選択肢考察

  1. × 1.  骨量の増加

    エストロゲンは破骨細胞の活動を抑制し骨量を保つ働きを持つため、閉経後は骨吸収が亢進し骨量は減少します。骨粗鬆症のリスクが高まる方向に作用します。

  2. 2.  腟粘膜の萎縮

    エストロゲン低下により腟上皮の増殖や糖原沈着が減少し、粘膜が薄くなり萎縮します。乾燥感や炎症を起こしやすくなるため正しい選択肢です。

  3. × 3.  脳血流量の増加

    エストロゲンには血管内皮機能を改善し血管を拡張する作用があり、閉経後は脳血流はむしろ低下傾向となります。増加するという変化は生じません。

  4. × 4.  血中LDLコレステロールの減少

    エストロゲンはLDL受容体発現を促しLDLを低下させる作用があるため、閉経後はLDLコレステロールは上昇し動脈硬化のリスクが高まります。

閉経後のエストロゲン欠乏は全身多臓器に影響します。覚え方として『血管・骨・粘膜・脂質』の4系統が崩れると押さえると整理しやすいです。具体的にはホットフラッシュ、骨粗鬆症、GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)、脂質異常症などがあり、ホルモン補充療法や生活習慣介入が検討されます。

閉経期のエストロゲン欠乏がもたらす多彩な身体変化のうち、正しい方向性を選べるかを問う問題です。