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閉経後に起こる体の変化〜膣の自浄作用も低下する

看護師国家試験 第112回 午後 第59問 / 母性看護学 / 女性のライフサイクル各期の看護

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第59問

閉経について正しいのはどれか。

  1. 1.閉経すると腟の自浄作用が低下する。
  2. 2.閉経後はエストロゲン分泌が増加する。
  3. 3.日本人の閉経の平均年齢は55歳である。
  4. 4.10か月の連続した無月経の確認で診断される。

対話形式の解説

博士 博士

今回は閉経に関する問題じゃ。女性のライフサイクルの中でも重要な転換点じゃのう。

サクラ サクラ

閉経の定義って正確に言えますか?

博士 博士

『12か月以上の連続した無月経』をもって事後的に閉経と診断する。選択肢4の10か月は誤りじゃ。

サクラ サクラ

日本人女性の平均閉経年齢は?

博士 博士

約50〜51歳。55歳では遅発閉経にあたる。

サクラ サクラ

閉経後のホルモンの動きは?

博士 博士

卵巣機能の廃絶によりエストロゲン分泌がほぼ消失し、フィードバックによりFSH・LHが上昇する。これがホルモン検査で見る典型像じゃ。

サクラ サクラ

エストロゲン低下で何が起こるんですか?

博士 博士

多彩じゃ。まず更年期症状としてホットフラッシュ、発汗、不眠、抑うつ、関節痛。長期的には骨粗鬆症、動脈硬化、萎縮性膣炎、頻尿・尿失禁などのGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)じゃ。

サクラ サクラ

膣の自浄作用の低下というのは?

博士 博士

正常な膣内は、エストロゲンの作用で膣上皮にグリコーゲンがたまり、それをデーデルライン桿菌が分解して乳酸を産生し、膣内を酸性に保つ。これが自浄作用の仕組みじゃ。

サクラ サクラ

閉経でこのサイクルが止まるんですね。

博士 博士

その通り。グリコーゲンが減り乳酸桿菌も減るため、膣内pHが上昇し細菌が繁殖しやすくなる。萎縮性膣炎や尿路感染症、性交痛が起こりやすい。

サクラ サクラ

ケアはどうすれば?

博士 博士

保湿剤、エストロゲン局所療法、必要に応じてHRT(ホルモン補充療法)、骨粗鬆症予防の運動・食事指導、心理支援と幅広いアプローチが必要じゃ。

サクラ サクラ

閉経は『終わり』ではなく『新しい健康管理の始まり』なんですね。

博士 博士

その通り。女性の人生の半分は閉経後と言われる時代じゃ。

POINT

閉経は12か月以上の連続した無月経をもって事後的に診断され、日本人女性の平均年齢は約50〜51歳です。閉経後は卵巣由来のエストロゲンが著減し、FSH・LHが上昇するのが典型的なホルモン動態です。エストロゲン低下により膣上皮の萎縮とグリコーゲン減少が起こり、デーデルライン桿菌が減って膣内pHが上昇するため、自浄作用が低下し萎縮性膣炎や尿路感染症のリスクが増します。更年期症状、骨粗鬆症、動脈硬化、GSMなど多彩な健康課題に対して、ホルモン補充療法や生活指導、心理社会的支援を組み合わせた包括的なケアが必要です。看護師は閉経を単なる月経の終了ではなく、女性の後半生の健康を守る重要な節目として捉える視点が大切です。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:閉経について正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。閉経とは卵巣機能の低下により月経が永久に停止した状態で、12か月以上無月経が続いたことで事後的に診断されます。閉経後はエストロゲン分泌が著減するため、膣粘膜の萎縮、グリコーゲン産生低下、デーデルライン桿菌(乳酸桿菌)の減少、膣内pHの上昇が生じ、結果として膣の自浄作用が低下します。これにより細菌性膣炎・萎縮性膣炎・尿路感染症などが起こりやすくなります。

選択肢考察

  1. 1.  閉経すると腟の自浄作用が低下する。

    エストロゲン低下に伴い膣上皮の萎縮とグリコーゲン減少が起こり、デーデルライン桿菌による乳酸産生が減少、膣内pHが上昇し自浄作用が低下する。萎縮性膣炎や性交痛の原因にもなる。

  2. × 2.  閉経後はエストロゲン分泌が増加する。

    卵巣機能が廃絶するため卵巣由来のエストロゲン分泌はほぼ消失する。副腎や脂肪組織由来のアンドロゲンが末梢でエストロンに変換される程度にとどまる。

  3. × 3.  日本人の閉経の平均年齢は55歳である。

    日本人の閉経平均年齢は約50〜51歳。40歳未満の閉経は早発閉経、55歳以上を遅発閉経と呼ぶ。

  4. × 4.  10か月の連続した無月経の確認で診断される。

    閉経の診断基準は『12か月(1年)以上の無月経』。WHOおよび日本産科婦人科学会の定義で採用されている。

閉経期のエストロゲン減少は多様な症状をもたらす。ホットフラッシュ、発汗、不眠、抑うつ、関節痛などの更年期症状、骨吸収亢進による骨粗鬆症、LDLコレステロール上昇による動脈硬化リスク増大、萎縮性膣炎や頻尿などのGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)が代表例。ホルモン補充療法(HRT)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、漢方、生活指導など多面的な支援が行われる。

閉経の定義・時期・ホルモン動態・膣への影響を横断的に問う問題。『12か月の無月経で診断』『エストロゲン低下により自浄作用低下』『平均年齢50歳前後』を押さえる。