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低用量経口避妊薬―副効用とリスクの理解

看護師国家試験 第105回 午前 第55問 / 母性看護学 / 女性のライフサイクル各期の看護

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第55問

低用量経口避妊薬について正しいのはどれか。

  1. 1.血栓症のリスクは増加しない。
  2. 2.1日飲み忘れたときは中止する。
  3. 3.授乳期間を通じて内服は可能である。
  4. 4.副効用に月経前症候群〈PMS〉(premenstrual syndrome)の軽減がある。

対話形式の解説

博士 博士

今回は低用量ピル、OC/LEPの問題じゃ。避妊薬としてだけでなく、月経困難症などの治療薬としても使われる重要な薬剤じゃよ。

サクラ サクラ

ピルってどういう仕組みで避妊するんですか?

博士 博士

エストロゲンとプロゲスチンの配合剤で、3つの作用で避妊するのじゃ。1つ目は視床下部・下垂体を抑制して排卵を止める、2つ目は頸管粘液を粘稠にして精子侵入を防ぐ、3つ目は子宮内膜の増殖を抑えて着床しにくくする。

サクラ サクラ

なるほど、複数の機序で避妊するんですね。正解は何番ですか?

博士 博士

正解は選択肢4「副効用にPMSの軽減がある」じゃ。ピルはホルモン変動を安定化させることで、PMSや月経困難症、過多月経を軽減し、子宮内膜症の治療にも使われる。卵巣癌や子宮体癌のリスク低下もあるぞ。

サクラ サクラ

選択肢1の「血栓症のリスクは増加しない」はなぜ誤りですか?

博士 博士

エストロゲンが凝固系を亢進させるから、深部静脈血栓症や肺塞栓症、動脈血栓症のリスクは確実に増えるのじゃ。特に35歳以上で1日15本以上喫煙する人は絶対禁忌じゃよ。

サクラ サクラ

飲み忘れた時はどうするのが正解なんですか?

博士 博士

24時間以内の1錠飲み忘れなら、気づいた時点で1錠内服し、次の分は定時に服用する。中止すると排卵が再開して避妊効果が失われてしまう。2錠以上または24時間超の忘れではコンドームなど追加避妊法を併用するのじゃ。

サクラ サクラ

選択肢3の授乳中の内服は?

博士 博士

エストロゲンは母乳分泌を抑制し乳汁中にも移行するから、授乳中は原則禁忌じゃ。産後6か月以降に授乳をやめてから開始する。授乳期にはプロゲスチン単剤(POP)やコンドームを使うのじゃよ。

サクラ サクラ

血栓症の症状は何を注意すればいいですか?

博士 博士

ACHESと覚えるとよい。Abdominal pain(腹痛)、Chest pain(胸痛)、Headache(激しい頭痛)、Eye problems(視覚異常)、Severe leg pain(激しい下肢痛)じゃ。これらが出たらすぐ受診するよう指導するのじゃ。

サクラ サクラ

緊急避妊薬とは違う薬なんですよね?

博士 博士

全く別物じゃ。アフターピルは性交後72時間以内に服用する高用量プロゲスチンで、日常的な避妊には使わん。低用量ピルは毎日定時に服用する避妊薬じゃ。

サクラ サクラ

副効用と副作用の両面を理解して指導します。

POINT

本問は低用量経口避妊薬の知識を総合的に問う問題です。低用量ピルは排卵抑制・頸管粘液変化・子宮内膜変化により避妊効果を発揮し、PMS軽減や月経困難症の改善などの副効用もあります。一方でエストロゲンによる血栓症リスク増加や、授乳中の使用禁忌(乳汁分泌抑制)、飲み忘れ時の対処法など注意点も多いです。ACHESサインによる血栓症早期発見の指導が重要となります。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:低用量経口避妊薬について正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。低用量経口避妊薬(低用量ピル、OC/LEP)はエストロゲン(エチニルエストラジオール)とプロゲスチンの配合剤で、排卵抑制、頸管粘液の粘稠化、子宮内膜の増殖抑制により避妊効果を発揮します。主目的は避妊ですが、副効用として月経困難症・月経前症候群(PMS)の軽減、月経量の減少、月経周期の安定、子宮内膜症や卵巣癌・子宮体癌の発症リスク低下など多くの健康利益が知られています。月経困難症や子宮内膜症の治療目的で使用されるものはLEP(low dose estrogen progestin)と呼ばれます。

選択肢考察

  1. × 1.  血栓症のリスクは増加しない。

    エストロゲンの作用で凝固系が亢進するため、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症)や動脈血栓症のリスクが増加します。特に35歳以上の喫煙者、肥満、片頭痛(前兆あり)などはリスクが高く禁忌や慎重投与となります。

  2. × 2.  1日飲み忘れたときは中止する。

    24時間以内の1錠飲み忘れでは、気づいた時点で直ちに1錠内服し、次の分は定時に服用します。中止すると避妊効果が失われ意図しない妊娠につながります。飲み忘れが2錠以上または24時間超の場合は追加避妊法を併用します。

  3. × 3.  授乳期間を通じて内服は可能である。

    エストロゲンは母乳分泌を抑制し、乳汁中に移行する可能性があるため、授乳中は原則禁忌です。産後6か月以降に授乳を中止してから使用を開始することが推奨されます。授乳期に避妊が必要な場合はプロゲスチン単剤(POP)やコンドーム等を用います。

  4. 4.  副効用に月経前症候群〈PMS〉(premenstrual syndrome)の軽減がある。

    ホルモン変動を安定化させることで、PMSに伴う身体症状・精神症状の軽減、月経困難症の緩和、月経量の減少などの副効用があります。子宮内膜症や卵巣癌・子宮体癌の発症リスク低下も知られています。

低用量ピルの絶対禁忌は、35歳以上で1日15本以上の喫煙者、血栓症既往、前兆を伴う片頭痛、重度高血圧、肝機能障害、乳癌、妊娠中などです。服用開始から3か月以内は血栓リスクが最も高まるとされ、下肢痛・腫脹、胸痛、呼吸困難、激しい頭痛(ACHES:Abdominal pain, Chest pain, Headache, Eye problems, Severe leg painの頭文字)が出現したら直ちに受診するよう指導します。緊急避妊薬(アフターピル)とは別物である点にも注意が必要です。

低用量経口避妊薬の作用機序・副作用・副効用・飲み忘れ対応など、総合的な服薬指導の知識を問う問題です。