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萎縮性腟炎とエストロゲン低下

看護師国家試験 第105回 午前 第76問 / 母性看護学 / 女性のライフサイクル各期の看護

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第76問

萎縮性腟炎(atrophic vaginitis)に伴う状態について正しいのはどれか。

  1. 1.性交痛
  2. 2.白色の帯下
  3. 3.腟壁の肥厚化
  4. 4.腟の自浄作用の亢進
  5. 5.エストロゲン分泌の増加

対話形式の解説

博士 博士

萎縮性腟炎に伴う所見を問う問題じゃ。閉経後の女性に多いこの疾患の病態から整理しようかの。

アユム アユム

エストロゲンが下がることで腟粘膜が萎縮する、という理解でよいですか。

博士 博士

その通りじゃ。エストロゲンは腟粘膜を厚く保ちグリコーゲンを蓄積させる働きがある。閉経で分泌が減ると粘膜は薄くなり、自浄作用も低下するのじゃよ。

アユム アユム

すると正解は1番の性交痛ですか。

博士 博士

正解じゃ。腟が乾燥し粘膜が菲薄化することで、性交時の摩擦で疼痛や微小出血が生じる。これは萎縮性腟炎の代表症状じゃな。

アユム アユム

2番の白色帯下はどうですか。

博士 博士

萎縮性腟炎では雑菌の繁殖により黄色から褐色で悪臭を伴う帯下が多い。白色帯下は正常またはカンジダ腟炎のイメージじゃな。

アユム アユム

3番の腟壁の肥厚化は逆ですね。

博士 博士

その通り。肥厚ではなく萎縮・菲薄化する。粘膜下の毛細血管が透見されるほど薄くなることもある。

アユム アユム

4番の自浄作用も低下するんですね。

博士 博士

うむ。デーデルライン桿菌がグリコーゲンを分解して乳酸を作りpH3.8〜4.5の酸性に保つことで雑菌の繁殖を防いでおる。エストロゲン低下でグリコーゲンが減り、pHが5以上に上がると自浄作用が低下するのじゃ。

アユム アユム

5番はエストロゲンが増えるのではなく減ることが原因ですよね。

博士 博士

そのとおり。閉経、卵巣摘出、長期授乳、抗エストロゲン薬使用などが背景にある。

アユム アユム

治療はどうするんですか。

博士 博士

エストリオール腟錠やエストラジオール製剤などの局所ホルモン補充療法、保湿ゼリーや潤滑剤、骨盤底筋訓練などを組み合わせる。最近は閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)として包括的に扱われ、尿失禁や頻尿も含めたケアが推奨されておる。

アユム アユム

看護として大切なことは何ですか。

博士 博士

デリケートな話題ゆえ、プライバシーを配慮し受診への抵抗を減らすこと、性生活も含めたQOLへの影響に耳を傾けることが大切じゃ。

アユム アユム

閉経後のホルモン変化と腟の生理を結びつけて理解できました。

POINT

萎縮性腟炎は閉経などによるエストロゲン低下が原因で、腟粘膜の萎縮・乾燥、自浄作用の低下、雑菌の繁殖が生じる疾患です。代表的症状は性交痛で、治療にはエストロゲン腟剤や保湿剤が用いられます。近年は閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)として包括的に捉えられ、看護では患者のQOLと心理面に配慮した支援が求められます。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:萎縮性腟炎(atrophic vaginitis)に伴う状態について正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。萎縮性腟炎は閉経や卵巣摘出によりエストロゲンが低下することで腟粘膜が薄く脆弱になり、分泌液の減少と常在菌叢の乱れから炎症を起こす疾患です。腟の乾燥により性交時の摩擦で微小損傷が生じやすく、性交痛(性交時痛)が代表的症状として現れます。治療には保湿剤、潤滑剤、ホルモン補充療法(エストロゲン腟剤)が用いられます。

選択肢考察

  1. 1.  性交痛

    エストロゲン低下で腟粘膜が萎縮・乾燥し、摩擦で微小損傷を生じやすくなるため、性交時の疼痛(性交痛)が代表的症状として出現します。

  2. × 2.  白色の帯下

    萎縮性腟炎では腟内細菌叢が乱れ、しばしば黄色〜褐色で悪臭を伴う帯下を認めます。白色帯下は正常、またはカンジダ腟炎などで見られる所見です。

  3. × 3.  腟壁の肥厚化

    エストロゲン低下により腟壁は薄く萎縮するため、肥厚ではなく菲薄化が特徴です。粘膜下の血管も透見されやすくなります。

  4. × 4.  腟の自浄作用の亢進

    エストロゲン低下でグリコーゲン産生が減り乳酸産生も低下するため腟pHが上昇し、自浄作用は低下します。

  5. × 5.  エストロゲン分泌の増加

    萎縮性腟炎は閉経・卵巣摘出・長期授乳などでエストロゲン分泌が低下することが原因であり、増加ではありません。

腟の自浄作用はデーデルライン桿菌(ラクトバチルス)がグリコーゲンを分解し乳酸を産生することで腟内pHを3.8〜4.5の酸性に保つ仕組みで、エストロゲン依存性に維持されます。閉経で腟pHは5.0以上となり雑菌が繁殖しやすくなります。症状としては性交痛、帯下異常、外陰瘙痒、排尿障害などがあり、近年では「閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)」として包括的に扱われます。治療はエストリオール腟錠や保湿剤で対応します。

閉経後のエストロゲン低下による腟の変化(粘膜萎縮、自浄作用低下、性交痛)を理解しているかを問う問題です。