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更年期のホルモン変化を解剖!なぜFSHとLHが上がる?

看護師国家試験 第106回 午後 第84問 / 母性看護学 / 女性のライフサイクル各期の看護

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第84問

Aさん(50歳、女性)は、急に体が熱くなったり汗をかいたりし、夜は眠れなくなり疲れやすさを感じるようになった。月経はこの1年間で2回あった。 Aさんのホルモンで上昇しているのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.エストロゲン
  2. 2.プロラクチン
  3. 3.プロゲステロン
  4. 4.黄体形成ホルモン〈LH〉
  5. 5.卵胞刺激ホルモン〈FSH〉

対話形式の解説

博士 博士

今日は50歳女性の更年期症状とホルモン変化について学ぶぞ。

アユム アユム

Aさんは熱くなったり汗かいたり、眠れなかったり…いわゆる更年期障害ですか?

博士 博士

その通り。ホットフラッシュ、発汗、不眠、易疲労感は典型的な更年期症状じゃ。月経が1年で2回しかないという稀発月経も更年期の特徴的なサインじゃな。

アユム アユム

閉経の平均年齢って何歳くらいなんですか?

博士 博士

日本人女性では約50歳じゃ。閉経前後の10年くらいを更年期と呼ぶ。

アユム アユム

更年期に上がるホルモンって、エストロゲンじゃないんですか?なんとなくイメージで…。

博士 博士

よくある誤解じゃ。実は逆で、更年期には卵巣機能が低下してエストロゲンは下がるんじゃ。

アユム アユム

えっ、じゃあホットフラッシュはエストロゲン低下のせいですか?

博士 博士

その通り。エストロゲン低下により自律神経が乱れて血管運動症状が起こるんじゃよ。

アユム アユム

では上がるのはどのホルモンですか?

博士 博士

下垂体前葉から分泌されるゴナドトロピン、つまりFSHとLHじゃ。これを理解するにはネガティブフィードバックを知る必要がある。

アユム アユム

ネガティブフィードバックってなんですか?

博士 博士

視床下部-下垂体-卵巣軸ではの、通常はエストロゲンが視床下部・下垂体に抑制シグナルを送ってゴナドトロピンの分泌を調節しておるんじゃ。

アユム アユム

抑える方向ですね。

博士 博士

うむ。ところが更年期ではエストロゲンが減るため、この抑制が外れる。すると下垂体は慌てて「もっと卵胞を刺激しろ」とFSHを、「排卵を促せ」とLHを大量に出すんじゃ。

アユム アユム

なるほど、卵巣が反応しなくても必死に命令を出し続けるんですね。

博士 博士

その通り。だからFSHは閉経の診断指標にもなり、40 mIU/mL以上で閉経と判定されることがある。

アユム アユム

プロゲステロンはどうですか?

博士 博士

プロゲステロンは排卵後の黄体から分泌される。更年期では排卵が減るから、プロゲステロンも低下するんじゃ。プロラクチンは授乳関連で、更年期とは別物じゃな。

アユム アユム

治療法はあるんですか?

博士 博士

ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、SSRI/SNRIなどの薬物療法に加え、生活指導も大切じゃ。看護師としては症状の理解と精神的サポートが重要じゃよ。

アユム アユム

更年期は「卵巣がサボっているのに脳が命令を出し続けている」って覚えるとわかりやすいですね。

POINT

更年期は卵巣機能が生理的に低下していく時期で、日本人女性の平均閉経年齢は約50歳です。卵巣機能低下によりエストロゲンとプロゲステロンの分泌が減少し、ネガティブフィードバックが外れることで下垂体前葉からのFSHとLHの分泌が反射的に亢進します。典型症状はホットフラッシュ・発汗・不眠・易疲労感・抑うつなど多彩で、エストロゲン低下による自律神経失調が主因です。治療にはホルモン補充療法や漢方薬、生活指導が用いられ、看護師には症状理解と心理的サポートの役割が求められます。視床下部-下垂体-卵巣軸のフィードバック機構を理解することは、月経・妊娠・更年期のすべての病態を読み解く基盤となります。

解答・解説

正解は 4 5 です

問題文:Aさん(50歳、女性)は、急に体が熱くなったり汗をかいたりし、夜は眠れなくなり疲れやすさを感じるようになった。月経はこの1年間で2回あった。 Aさんのホルモンで上昇しているのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 4(LH)と 5(FSH)です。50歳女性でホットフラッシュ、発汗、不眠、易疲労感という典型的な更年期症状と、月経が年2回という稀発月経を呈しており、更年期(閉経周辺期)と考えられます。卵巣機能の低下によりエストロゲン(およびプロゲステロン)の分泌が低下するとネガティブフィードバックが外れ、下垂体前葉からゴナドトロピンであるLHとFSHの分泌が亢進します。特にFSHは閉経の診断指標としても用いられ、40 mIU/mL以上で閉経と判定されることがあります。

選択肢考察

  1. × 1.  エストロゲン

    エストロゲンは卵胞から分泌されるが、更年期には卵胞の枯渇により分泌が低下する。更年期症状の多くはエストロゲン低下に起因する。

  2. × 2.  プロラクチン

    下垂体前葉から分泌され乳汁分泌を促すホルモン。妊娠・授乳期に上昇するが、更年期との直接的関連はない。

  3. × 3.  プロゲステロン

    排卵後の黄体から分泌される黄体ホルモン。卵巣機能低下に伴い排卵が減少するため、更年期にはプロゲステロンも低下する。

  4. 4.  黄体形成ホルモン〈LH〉

    下垂体前葉から分泌されるゴナドトロピン。エストロゲンのネガティブフィードバックが外れることで反射的に分泌が上昇する。

  5. 5.  卵胞刺激ホルモン〈FSH〉

    下垂体前葉から分泌され卵胞発育を促すホルモン。卵巣機能低下で顕著に上昇し、閉経診断の指標としてFSH高値が用いられる。

更年期とは閉経を挟んだ前後約10年間(日本人女性の平均閉経年齢は約50歳)を指す。更年期障害は自律神経失調症状(ホットフラッシュ・発汗・動悸)、精神症状(不眠・抑うつ・イライラ)、身体症状(頭痛・めまい・関節痛)など多彩な不定愁訴を呈する。エストロゲン低下は血管運動神経系の不安定化や骨量低下、脂質異常症リスクの上昇にもつながる。治療にはホルモン補充療法(HRT)、漢方薬(加味逍遙散・当帰芍薬散など)、SSRI/SNRI、生活指導が用いられる。フィードバック機構の理解は内分泌全般に応用できる。

更年期に生じるホルモン変動を問う問題。卵巣機能低下→エストロゲン/プロゲステロン低下→ネガティブフィードバック解除→FSH・LH上昇という視床下部-下垂体-卵巣軸の流れを理解することが鍵。