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思春期のホルモンドラマ:GnRHから始まる月経の物語

看護師国家試験 第109回 午前 第60問 / 母性看護学 / 女性のライフサイクル各期の看護

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第60問

女子の思春期の特徴で正しいのはどれか。

  1. 1.9 歳で初経が発来する。
  2. 2.月経開始後に身長の発育が加速する。
  3. 3.陰毛が発生した後に乳房の発育が始まる。
  4. 4.性腺刺激ホルモン放出ホルモン〈 GnRH 〉によって月経が開始する。

対話形式の解説

博士 博士

今回は女子の思春期について学ぶぞ。母性看護の基盤となる内容じゃ。

アユム アユム

思春期って、ホルモンの働きで起こるんですよね。

博士 博士

うむ。中心となるのが視床下部—下垂体—卵巣—子宮のHPO軸じゃ。

アユム アユム

どんな流れですか?

博士 博士

まず視床下部からGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)がパルス状に出る。これが下垂体前葉を刺激してFSHとLHを分泌させ、卵巣でエストロゲンとプロゲステロンが作られる。最終的に子宮内膜が周期的に変化し月経となる。

アユム アユム

起点はGnRHなんですね。

博士 博士

その通り。思春期発来のスイッチがGnRHじゃ。この活性化のきっかけにはKisspeptinというペプチドが関わっていることもわかってきておる。

アユム アユム

選択肢4の「GnRHによって月経が開始する」が正解ですね。

博士 博士

うむ。では他の選択肢を確認しよう。1の「9歳で初経」は?

アユム アユム

平均は12歳前後ですよね。

博士 博士

正解。10〜14歳の間に来るのが一般的で、9歳未満の初経は思春期早発症の疑いで精査対象じゃ。

アユム アユム

2の「月経開始後に身長の発育が加速する」はどうですか?

博士 博士

逆じゃ。身長スパートは初経の約1〜2年前にピークを迎える。初経時には成長曲線が既にプラトーに入りつつある。

アユム アユム

初経後の身長の伸びはどれくらいですか?

博士 博士

平均して5〜7cm程度。つまり初経後は伸びがゆるやかになる。

アユム アユム

3の順序の話は?

博士 博士

Tannerの性成熟度分類では、女子は乳房発育→陰毛発生→初経の順が標準。乳房が先で陰毛が後じゃ。

アユム アユム

Tanner分類って覚えるコツはありますか?

博士 博士

女子はBreast(乳房)・Pubic hair(陰毛)、男子はGenitalia(外性器)・Pubic hairをそれぞれI〜Vの5段階で評価する。各段階を順に覚えるのが基本じゃ。

アユム アユム

男子の思春期は女子と違いますか?

博士 博士

男子は女子より約2年遅く始まり、精巣容積の増大(4mL以上)が最初のサインじゃ。

アユム アユム

思春期の異常はどう見分けるんですか?

博士 博士

女子で8歳未満、男子で9歳未満に二次性徴が出現すれば思春期早発症。逆に女子13歳、男子14歳を超えても発来しなければ思春期遅発症として精査する。

アユム アユム

看護師として思春期の子どもに関わるときは?

博士 博士

身体変化だけでなく心理社会的変化にも配慮が必要じゃ。自己概念・性同一性・対人関係が変化する時期ゆえ、性教育やメンタルヘルス支援も看護の重要な役割となる。

POINT

女子の思春期は視床下部—下垂体—卵巣—子宮のHPO軸が活性化することで始まり、視床下部から分泌されるGnRHが下垂体のFSH・LHを誘導し、卵巣のエストロゲン・プロゲステロン分泌を経て月経が発来します。Tannerの性成熟度分類では二次性徴の順序は乳房発育→陰毛発生→初経が標準で、日本人女子の初経平均は12歳前後、身長の成長スパートは初経の約1〜2年前にピークを迎えます。8歳未満の二次性徴発現は思春期早発症、13歳を超えても発来しない場合は遅発症として精査の対象となり、臨床では正常発達と病的状態の見分けが重要です。看護師は身体的変化だけでなく心理社会的側面(自己概念・性同一性・対人関係)にも目を向け、性教育やメンタルヘルス支援を含む包括的ケアを提供する役割を担います。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:女子の思春期の特徴で正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。思春期に入ると視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)がパルス状に分泌され、下垂体前葉から卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌が促される。これが卵巣に作用してエストロゲン・プロゲステロンが分泌され、子宮内膜の増殖と剥脱により月経が発来する。GnRHは思春期発来と月経開始の起点となるホルモンである。

選択肢考察

  1. × 1.  9 歳で初経が発来する。

    日本人女子の初経年齢は平均12歳前後で、多くは10〜14歳。9歳での初経は早発で、9歳未満の二次性徴発現は思春期早発症として精査対象。

  2. × 2.  月経開始後に身長の発育が加速する。

    身長の発育スパート(成長ピーク)は初経より先に起こる。初経時には成長ピークを過ぎていることが多く、初経後の身長増加はおよそ5〜7cm程度にとどまる。

  3. × 3.  陰毛が発生した後に乳房の発育が始まる。

    女子の二次性徴の順序は、乳房発育(Tanner II)→陰毛発生→初経の順が標準。Tanner分類ではまず乳房のふくらみが最初のサインとなる。

  4. 4.  性腺刺激ホルモン放出ホルモン〈 GnRH 〉によって月経が開始する。

    視床下部GnRH→下垂体FSH/LH→卵巣エストロゲン/プロゲステロン→子宮内膜変化という視床下部—下垂体—卵巣—子宮軸(HPO軸)の起点がGnRH。思春期発来と月経開始を司る。

Tannerの性成熟度分類では、女子の二次性徴は乳房発育(thelarche)→陰毛発生(pubarche)→初経(menarche)の順が標準。成長スパートは初経の約1〜2年前にピークを迎える。男子の発達は女子より約2年遅く、精巣容積の増大から始まる。思春期早発症(女子8歳未満、男子9歳未満)と遅発症(女子13歳、男子14歳を超えても二次性徴なし)は精査が必要。

思春期の二次性徴の順序、初経の平均年齢、成長スパートのタイミング、HPO軸のホルモン調節を統合的に理解する問題。