StudyNurse

ホルモン補充療法のメリットとデメリット

看護師国家試験 第110回 午前 第57問 / 母性看護学 / 女性のライフサイクル各期の看護

国試問題にチャレンジ

110回 午前 第57問

更年期女性のホルモン補充療法によってリスクが低くなるのはどれか。

  1. 1.乳癌( breast cancer )
  2. 2.骨粗鬆症( osteoporosis )
  3. 3.子宮体癌( uterine corpus cancer )
  4. 4.静脈血栓症( vein thrombosis )

対話形式の解説

博士 博士

更年期のホルモン補充療法について整理するぞ。

サクラ サクラ

エストロゲンを補充する治療ですよね。

博士 博士

その通り。更年期症状の改善に加え、骨粗鬆症予防という大きなメリットがあるのじゃ。

サクラ サクラ

エストロゲンはどうやって骨を守るのですか。

博士 博士

破骨細胞の活性を抑制し、骨吸収を減らすのじゃ。閉経後の急速な骨量減少を防げるのじゃよ。

サクラ サクラ

では逆にリスクが上がるのは何ですか。

博士 博士

乳癌、子宮体癌、静脈血栓症じゃな。

サクラ サクラ

乳癌はエストロゲンが乳腺を刺激するからですね。

博士 博士

5年以上の併用療法で若干リスクが上がる。定期的なマンモグラフィが必要じゃ。

サクラ サクラ

子宮体癌はどうですか。

博士 博士

エストロゲン単独は子宮内膜を増殖させて癌リスクを高めるから、子宮がある人には黄体ホルモンを併用するのじゃ。

サクラ サクラ

静脈血栓症はなぜ増えるのですか。

博士 博士

経口エストロゲンは肝臓で凝固因子の産生を増やすからじゃ。

サクラ サクラ

貼付剤のほうが血栓リスクは低いと聞いたことがあります。

博士 博士

その通りじゃ。経皮投与は肝初回通過を避けるから血栓リスクが低いのじゃよ。

サクラ サクラ

禁忌は何ですか。

博士 博士

乳癌既往、血栓症既往、重症肝障害、原因不明の性器出血などじゃ。

サクラ サクラ

メリットとデメリットをセットで覚えます。

POINT

HRTのメリットは更年期症状の緩和と骨粗鬆症予防、脂質代謝改善で、デメリットは乳癌・子宮体癌・静脈血栓症のリスク増加です。子宮を有する場合はプロゲスチン併用で子宮体癌リスクを抑制し、経皮投与は血栓リスクを減らせます。禁忌疾患の確認とメリット・リスクの十分な説明が看護師の重要な役割となります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:更年期女性のホルモン補充療法によってリスクが低くなるのはどれか。

解説:正解は2です。更年期女性のホルモン補充療法(HRT)はエストロゲン低下による諸症状を改善する治療で、骨吸収抑制作用により骨粗鬆症の発症リスクを低下させます。その一方で乳癌、子宮体癌、静脈血栓症のリスクは増加するため、適応と禁忌を慎重に評価する必要があります。

選択肢考察

  1. × 1.  乳癌( breast cancer )

    エストロゲンは乳腺組織を増殖させる作用があり、特にエストロゲン・プロゲスチン併用療法を5年以上継続すると乳癌リスクがわずかに上昇するとされます。HRT中は定期的なマンモグラフィと乳房自己検診が必要です。

  2. 2.  骨粗鬆症( osteoporosis )

    エストロゲンは破骨細胞の活性を抑制し骨吸収を低下させます。閉経後の急速な骨量減少に対しHRTを行うことで骨密度の維持、椎体・大腿骨骨折の予防効果が示されています。

  3. × 3.  子宮体癌( uterine corpus cancer )

    エストロゲン単独療法は子宮内膜を増殖させ子宮体癌リスクを高めます。そのため子宮を有する女性には黄体ホルモン(プロゲスチン)を併用して内膜増殖を抑え、発癌リスクを抑制する必要があります。

  4. × 4.  静脈血栓症( vein thrombosis )

    経口エストロゲンは肝臓での凝固因子産生を亢進させ、深部静脈血栓症や肺塞栓症のリスクを増加させます。喫煙者、肥満、血栓症既往のある女性はHRTの相対禁忌となります。

HRTの適応:更年期障害(ほてり、発汗、不眠、気分変動)、泌尿生殖器萎縮、骨粗鬆症予防。禁忌:乳癌・子宮体癌既往、重症肝障害、血栓症既往、原因不明の性器出血など。副次的利点として脂質代謝改善作用もあります。経皮エストロゲン(貼付剤・ジェル)は肝初回通過を回避するため血栓症リスクが経口より低いのが特徴です。

HRTのメリット(更年期症状改善と骨粗鬆症予防)とデメリット(乳癌・子宮体癌・血栓症リスク増加)を区別できるかを問う問題です。