不妊症1年定義と基礎体温、保険適用で変わった治療の今
看護師国家試験 第112回 午前 第62問 / 母性看護学 / 女性のライフサイクル各期の看護
国試問題にチャレンジ
不妊症(infertility)について正しいのはどれか。
- 1.約6割は原因不明である。
- 2.検査に基礎体温測定がある。
- 3.治療の1つに不妊手術がある。
- 4.女性の年齢は治療効果に影響しない。
対話形式の解説
博士
今回は不妊症の基本じゃ。定義・原因・検査・治療と問われる範囲が広いが、整理しておけば得点源になるぞ。
アユム
まず、不妊症ってどこからが不妊なんですか。
博士
日本産科婦人科学会の定義では「妊娠を希望するカップルが避妊をせず1年間性生活を送っても妊娠しない状態」じゃ。以前は2年だったが2015年に1年に短縮された。
アユム
1年に短くなったのは、早く受診してほしいという意図があるんですね。
博士
その通り。女性の妊孕性は年齢とともに確実に低下するからの。35歳を境に妊娠率が下がり、40歳を超えると体外受精でも成功率は一桁台に落ちる。
アユム
選択肢4の「年齢は治療効果に影響しない」は完全に誤りですね。
博士
左様。卵子は胎児期に作られて以降新しく作られることはなく、加齢とともに染色体異常も増える。流産率も35歳で20%、40歳で40%以上になる。
アユム
原因の話で、選択肢1は「約6割が原因不明」とありますが実際はどうですか。
博士
原因不明は10〜15%ほどじゃ。女性因子が約4割、男性因子が約3割、両方が約2割、残りが機能性不妊という割り振りじゃな。男性因子が約半数関与するため、精液検査は必ず行うのが原則じゃ。
アユム
選択肢2の基礎体温測定って、国試でもよく出ますよね。
博士
うむ。起床直後に動く前に婦人体温計で舌下測定する。排卵後にプロゲステロンが体温中枢を刺激し体温が約0.3〜0.5℃上がるので、低温相と高温相の二相性が見える。高温相が10日未満なら黄体機能不全を疑う。
アユム
他にはどんな検査があるんですか。
博士
ホルモン測定(LH、FSH、プロラクチン、AMHなど)、経腟超音波、子宮卵管造影、フーナーテスト、そして男性側の精液検査じゃ。AMHは卵巣予備能の目安として近年重視されておる。
アユム
選択肢3の不妊手術は治療だと思ってしまいそうですが。
博士
紛らわしいが、不妊手術は母体保護法に規定される避妊目的の手術、つまり卵管結紮や精管結紮じゃ。不妊症の治療ではなく、むしろ生殖能力を永続的に失わせるものじゃな。
アユム
不妊症の治療は具体的にどう進むんですか。
博士
まずタイミング法、次に排卵誘発、人工授精と進み、それでも難しければ体外受精や顕微授精といった生殖補助医療に移る。2022年4月からこれらが保険適用になり、年齢と回数要件はあるが経済的ハードルが大きく下がった。
アユム
看護師としては、妊娠を希望するカップルに早めの受診を勧める啓発も大事ですね。
POINT
不妊症とは「妊娠を望み避妊をせず1年間妊娠しない状態」と定義され、原因は女性因子・男性因子・両者・機能性不妊に分かれ、原因不明は10〜15%程度にとどまります。基礎体温測定は排卵と黄体機能を推定できる非侵襲的な基本検査で、ホルモン検査・超音波・子宮卵管造影・精液検査と組み合わせて総合的に評価します。女性の年齢は妊孕性と治療成績を大きく左右する最大因子で、35歳以降の妊娠率低下と流産率上昇が知られており、早期の受診が重要です。2022年4月の保険適用拡大により体外受精・顕微授精まで保険でカバーされるようになり、看護師は治療選択や心理的支援、正しい情報提供を通じてカップルの意思決定を支える役割が期待されています。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:不妊症(infertility)について正しいのはどれか。
解説:正解は 2 です。基礎体温測定は排卵の有無、黄体機能、高温相の長さを推定するスクリーニングとして女性不妊の検査に含まれる、簡便で非侵襲的な第一歩の方法である。起床直後、動く前に舌下で測定し、二相性を示せば排卵が推定できる。
選択肢考察
-
× 1. 約6割は原因不明である。
原因不明(機能性不妊)の割合は約10〜15%とされる。原因は女性側(排卵障害、卵管因子、子宮因子など)、男性側(造精機能障害、精路通過障害など)、両方に分布し、男性因子は約半数に関与する。
-
○ 2. 検査に基礎体温測定がある。
基礎体温の二相性から排卵の有無が推定でき、高温相の短縮・不安定は黄体機能不全の手がかりとなる。家庭で継続できる基本的な検査法であり、ホルモン検査・超音波・子宮卵管造影・精液検査などと組み合わせて原因を絞り込む。
-
× 3. 治療の1つに不妊手術がある。
不妊手術とは卵管結紮術や精管結紮術など生殖能力を永続的に失わせる避妊目的の手術であり、不妊症の治療ではない。不妊治療にはタイミング法、排卵誘発、人工授精、体外受精・顕微授精などがある。
-
× 4. 女性の年齢は治療効果に影響しない。
女性の年齢は妊孕性と治療成績を左右する最大因子である。卵子の数と質は加齢とともに低下し、35歳以降に妊娠率が低下、40歳以降は体外受精の成功率も大きく落ち、流産率は上昇する。
日本の不妊症の定義は「妊娠を希望し避妊せずに性生活を送っても1年間妊娠しない状態」で、2015年の日本産科婦人科学会改訂で2年から1年に短縮された。2022年4月からは体外受精・顕微授精を含む基本的な不妊治療が保険適用となり、年齢・回数の要件はあるものの経済的負担が大幅に軽減された。カップルの約5.5組に1組が検査や治療を受けた経験があるとされ、受診の遅れが治療成績に直結するため早期受診の啓発が重要である。
不妊症の定義、原因割合、検査、治療の基本知識を幅広く問う総合問題。不妊手術と不妊治療を混同させる選択肢に注意。
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