気胸の病態と治療を一緒に整理しよう
看護師国家試験 第104回 午後 第32問 / 疾病の成り立ちと回復の促進 / 疾病に対する医療
国試問題にチャレンジ
気胸(pneumothorax)について正しいのはどれか。
- 1.外傷は原因の1つである。
- 2.自然気胸(spontaneous pneumothorax)は若い女性に多い。
- 3.原因となるブラは肺底部に多い。
- 4.治療として人工呼吸器による陽圧換気が行われる。
対話形式の解説
博士
今日は気胸を学ぶぞ。学生さん、気胸とはどんな状態じゃ?
アユム
胸腔に空気が入って肺がしぼんでしまう状態です。
博士
その通り。原因は大きく分けて自然気胸、外傷性気胸、医原性気胸じゃ。
アユム
外傷で起こることもあるんですね。
博士
肋骨骨折で肺が刺さったり、CVカテーテル挿入時にも起こり得る。
アユム
自然気胸は若い男性に多いと聞きました。
博士
そう、長身でやせ型の10〜30代男性が典型じゃ。女性に多いと書かれていたら誤りじゃぞ。
アユム
原因のブラは肺のどこに多いのですか?
博士
肺尖部から上葉に多いんじゃ。重力と陰圧の関係で張力が大きい部位に発生しやすい。
アユム
治療は陽圧換気でいいのでしょうか。
博士
いやいや、それは禁忌に近い。陽圧をかけると空気漏れが悪化して緊張性気胸になりかねん。
アユム
では基本治療は何ですか?
博士
軽度なら安静と酸素投与、中等度以上は胸腔ドレナージ、再発例では胸腔鏡で嚢胞切除じゃ。
アユム
緊張性気胸の徴候は覚えておきます。気管偏位、頸静脈怒張、ショック…
博士
見つけたら即穿刺脱気じゃ。命に関わるからな。
POINT
気胸は自然気胸と外傷性・医原性気胸に大別され、外傷も重要な原因の一つです。原発性自然気胸は若年やせ型男性に多く、ブラは肺尖部に好発します。治療はドレナージや嚢胞切除が中心で、陽圧換気は症状を悪化させるため避けるのが原則です。緊張性気胸の判断と即時穿刺脱気の知識は急変時対応で必須となります。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:気胸(pneumothorax)について正しいのはどれか。
解説:正解は 1 です。気胸は胸腔内に空気が貯留して肺が虚脱する病態で、肺嚢胞(ブラ)破裂による自然気胸のほか、肋骨骨折や鋭利物による穿通など外傷を契機に発症する外傷性気胸、医原性気胸が含まれます。原因が多彩であることを押さえておきましょう。
選択肢考察
-
○ 1. 外傷は原因の1つである。
交通外傷や転落、刺創などで胸壁が損傷すると胸腔へ空気が流入し外傷性気胸が起こります。中心静脈カテーテル挿入や経皮的肺生検といった医療処置に伴う医原性気胸も外傷性気胸に分類されることがあります。
-
× 2. 自然気胸(spontaneous pneumothorax)は若い女性に多い。
原発性自然気胸は10〜30代の長身・痩せ型の男性に圧倒的に多く、男女比はおよそ6〜9対1とされます。女性では月経随伴性気胸という特殊型がありますが頻度は限られます。
-
× 3. 原因となるブラは肺底部に多い。
ブラ・ブレブは胸腔内の陰圧と機械的張力が大きい肺尖部から上葉に好発します。CTでは肺尖部の薄壁嚢胞として描出され、再発予防のために胸腔鏡下嚢胞切除が選択されます。
-
× 4. 治療として人工呼吸器による陽圧換気が行われる。
気胸では陽圧換気を行うと漏出空気量が増し緊張性気胸へ進展する危険があります。基本治療は安静と酸素投与、中等症以上では胸腔ドレナージ、再発例では外科的嚢胞切除が選択されます。
緊張性気胸では患側の呼吸音消失、頸静脈怒張、気管偏位、血圧低下といったショック徴候を認めるため、胸部X線を待たず直ちに第2肋間鎖骨中線で穿刺脱気を行います。気胸の重症度は虚脱の程度で軽度・中等度・高度に分類され、ドレナージの適応判断に用います。
気胸の原因・好発、ブラの好発部位、治療方針について幅広く理解しているかを問う問題です。
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