電解質異常と心電図変化を覚えよう
看護師国家試験 第104回 午後 第33問 / 疾病の成り立ちと回復の促進 / 疾病に対する医療
国試問題にチャレンジ
心電図でT波の上昇の原因となるのはどれか。
- 1.高カリウム血症
- 2.低カリウム血症
- 3.高カルシウム血症
- 4.低カルシウム血症
対話形式の解説
博士
学生さん、高K血症で出現する特徴的なT波の名前を知っとるかな?
サクラ
テント状T波です。先がとがっていて高さがあるのですよね。
博士
ご名答じゃ。再分極が早まって左右対称に尖るのが特徴じゃ。
サクラ
血清Kはどのくらいから危険ですか?
博士
5.5を超えると変化が出始め、6.5以上になると致死性不整脈のリスクが急上昇する。
サクラ
治療は何から始めるのですか?
博士
心電図変化があればまずグルコン酸カルシウムを静注して心筋を保護、その後GI療法やループ利尿薬、透析を検討じゃ。
サクラ
逆に低K血症では?
博士
T波は平低化や陰転化、U波が出現する。QT延長でトルサードのリスクもあるぞ。
サクラ
Caの方も覚えなくちゃ。
博士
高Ca血症はQT短縮、低Ca血症はQT延長じゃ。覚え方は『高ければ短く、低ければ長い』。
サクラ
Kとは逆になるイメージですね。
博士
Kは縦軸(T波の高さ)に作用、Caは横軸(QT時間)に作用、と整理するとよい。
サクラ
腎不全の患者さんは要注意ですね。
博士
K排泄が落ちとるからな。スピロノラクトンやACE阻害薬の併用例ではさらに上がりやすい。
サクラ
心電図とともに採血値も必ず確認します。
博士
その姿勢が肝心じゃ。臨床では命を守る観察になる。
POINT
高カリウム血症はテント状T波という特徴的な所見を呈し、進行すれば致死性不整脈に至ります。低K血症ではT波平低化とU波出現、高Ca血症ではQT短縮、低Ca血症ではQT延長と整理できます。Kは波の高さ、CaはQT時間に影響を与えると覚えると区別が容易です。電解質異常を疑った場合は心電図と採血値を併せて評価し、緊急時には心筋保護を優先することが看護実践で重要となります。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:心電図でT波の上昇の原因となるのはどれか。
解説:正解は 1 です。高カリウム血症ではテント状T波と呼ばれる先鋭で増高したT波が出現し、進行するとP波消失、QRS幅延長、最終的に心室細動・心停止に至ります。T波の変化は最も初期に現れるサインであり、見逃さない観察眼が求められます。
選択肢考察
-
○ 1. 高カリウム血症
細胞外K濃度上昇により再分極が急速化し、左右対称で先鋭・増高したテント状T波となります。血清K5.5mEq/L以上で出現し始め、6.5を超えると不整脈リスクが急上昇します。グルコン酸カルシウム静注やGI療法が緊急対応です。
-
× 2. 低カリウム血症
低K血症ではT波は平低化または陰転化し、U波が顕著となります。QT延長やST低下を伴い、トルサード・ド・ポアンツのリスクが高まります。
-
× 3. 高カルシウム血症
高Ca血症ではST部分が短縮しQT短縮を呈します。T波そのものは増高せず、QRSの直後にT波が続くような形になります。
-
× 4. 低カルシウム血症
低Ca血症ではST部分が延長しQT延長をきたします。テタニーの原因にもなり、トルサード・ド・ポアンツのリスクとなりますが、T波は増高しません。
高カリウム血症の心電図変化は、テント状T波→P波消失→QRS幅延長→サインカーブ様→心室細動という順に進行します。腎不全患者、ACE阻害薬・ARB・スピロノラクトン服用者、横紋筋融解症、副腎不全などはハイリスク群で、採血値とともに心電図を必ずセットで評価します。
電解質異常と心電図変化の組み合わせを正確に区別できるかを問う問題で、特にKとCaのT波・QT変化が重要です。
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