StudyNurse

小児の骨折の特徴―若木骨折と自家矯正力

看護師国家試験 第105回 午前 第53問 / 小児看護学 / 子どもの成長・発達

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第53問

小児の骨折の特徴で正しいのはどれか。

  1. 1.不全骨折しやすい。
  2. 2.圧迫骨折しやすい。
  3. 3.骨折部が変形しやすい。
  4. 4.骨癒合不全を起こしやすい。

対話形式の解説

博士 博士

今回は小児の骨折の特徴を問う基本問題じゃ。小児と成人では骨の性質が違うことを押さえるのが鍵になるぞ。

サクラ サクラ

小児の骨って成人と何が違うんですか?

博士 博士

小児の骨は骨皮質が薄く、コラーゲンなど有機質の割合が高いため弾力性に富んでおる。さらに骨膜が厚くて強靭、血流も豊富で骨代謝が活発なんじゃよ。

サクラ サクラ

なるほど、柔らかくて修復力が高いんですね。正解は何番ですか?

博士 博士

正解は選択肢1「不全骨折しやすい」じゃ。弾力性が高いため完全には折れず、一部が連続性を保ったまま変形する若木骨折や、骨皮質が膨隆する隆起骨折といった不全骨折が多いのじゃ。

サクラ サクラ

若木骨折って「若い木を折ろうとしても完全に折れず、片側だけ折れる」というイメージからですか?

博士 博士

その通り。英語ではgreenstick fractureと言うぞ。若い緑の枝を折るのに似ているからのう。

サクラ サクラ

選択肢2の「圧迫骨折しやすい」はなぜ誤りですか?

博士 博士

圧迫骨折は骨粗鬆症で椎体がスカスカになった高齢者の疾患じゃ。小児の骨は弾力性があって潰れにくいから、圧迫骨折はまず起こらんのう。

サクラ サクラ

選択肢3の「骨折部が変形しやすい」は?

博士 博士

逆じゃ。小児は自家矯正力、つまりリモデリング能力が非常に高く、多少の変形が残っても成長とともに自然に矯正されていく。むしろ変形を残しにくいのが特徴じゃよ。

サクラ サクラ

選択肢4の「骨癒合不全」は?

博士 博士

小児は骨代謝が活発、血流豊富、骨膜が厚いため骨癒合が速く良好じゃ。偽関節などの癒合不全は成人よりずっと起こりにくいのじゃよ。

サクラ サクラ

小児ならではの骨折分類ってありますか?

博士 博士

Salter-Harris分類が有名じゃ。成長軟骨板(骨端線)の損傷をI型からV型に分け、III型以上では成長障害を残す可能性がある。また、虐待を疑う所見として、複数の治癒段階の骨折、肋骨骨折、骨幹端骨折なども覚えておくとよいぞ。

サクラ サクラ

小児の骨折は「折れにくく、治りやすく、矯正されやすい」と覚えます。

POINT

本問は小児の骨折の特徴を問う問題です。小児の骨は骨皮質が薄く有機質が多いため弾力性に富み、骨膜が厚いため若木骨折や隆起骨折などの不全骨折が多いのが特徴です。また自家矯正力と骨癒合能が高く変形や癒合不全を残しにくく、圧迫骨折は骨粗鬆症の高齢者に多いため小児では稀です。成長軟骨板損傷のSalter-Harris分類や虐待を示唆する所見も併せて押さえておくことが重要です。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:小児の骨折の特徴で正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。小児の骨は成人と比べて骨皮質が薄く、有機質(コラーゲン)の割合が高いため弾力性に富み、柔軟性があります。そのため外力が加わっても骨が完全に折れず、一部が連続性を保ったまま変形する「若木骨折(greenstick fracture)」や、骨皮質が圧迫されて膨隆する「隆起骨折(torus fracture / buckle fracture)」といった不全骨折(incomplete fracture)が多いのが特徴です。また、小児は骨膜が厚くて強靭であり、骨癒合能力が高く自家矯正力も旺盛なため、変形を残しにくく偽関節になりにくいという利点もあります。

選択肢考察

  1. 1.  不全骨折しやすい。

    小児の骨は弾力性が高く骨膜が厚いため、若木骨折や隆起骨折など骨の一部が連続性を保った不全骨折を起こしやすいのが特徴です。

  2. × 2.  圧迫骨折しやすい。

    圧迫骨折は骨粗鬆症により脆弱化した椎体に荷重がかかって生じる骨折で、主に高齢者にみられます。小児では骨の弾力性が高く、圧迫骨折は稀です。

  3. × 3.  骨折部が変形しやすい。

    小児は自家矯正力(リモデリング能)が高く、多少の変形で癒合しても成長過程で自然に矯正されます。変形を残しにくいのが特徴です。

  4. × 4.  骨癒合不全を起こしやすい。

    小児は骨代謝が活発で血流が豊富、骨膜も厚いため骨癒合が速く良好です。偽関節などの癒合不全は成人や高齢者と比べ起こりにくい特徴があります。

小児特有の骨折として、成長軟骨板(骨端線)を含む損傷のSalter-Harris分類が有名です。I型(骨端線離開)からV型(圧挫)まで5つに分類され、III〜V型は成長障害を残す可能性があります。また小児の骨折は自家矯正力が高いとはいえ、回旋変形や骨端部の変形は矯正されにくいため、整復の際は注意が必要です。虐待(AHT: abusive head trauma含む)による骨折では、複数の治癒段階の骨折、肋骨骨折、骨幹端骨折などを疑う所見となります。

小児の骨の解剖学的・生理学的特徴(弾力性・厚い骨膜・高い修復力)に基づく骨折パターンを理解しているかを問う問題です。