児の免疫発達の基礎
看護師国家試験 第105回 午前 第88問 / 小児看護学 / 子どもの成長・発達
国試問題にチャレンジ
児の免疫に関する説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.胎児期は胎盤を通じて母体からIgGを受け取る。
- 2.出生後は母乳からIgMを受け取る。
- 3.生後3か月ころに免疫グロブリンが最も少なくなる。
- 4.1歳ころから抗体の産生が盛んになる。
- 5.3歳ころにIgAが成人と同じレベルに達する。
対話形式の解説
博士
今日は小児の免疫発達じゃ。免疫グロブリンの種類と時期を正確に押さえる必要があるぞ。
アユム
免疫グロブリンはIgG・IgA・IgM・IgD・IgEの5種類でしたね。
博士
その通り。このうち胎盤を通過できるのはIgGだけじゃ。だから選択肢1は正解じゃな。
アユム
なぜIgGだけなんですか?
博士
分子量が比較的小さく、胎盤のトランスサイトーシス機構で能動的に輸送されるからじゃ。母体のIgGは妊娠後期に急速に胎児に移行する。
アユム
母乳ではIgAでしたよね。
博士
その通り。母乳、特に初乳に豊富な分泌型IgA(sIgA)が新生児の消化管粘膜を守る。選択肢2のIgMは誤りじゃ。
アユム
生後3か月頃が一番免疫グロブリンが少ないんですか?
博士
そう、選択肢3は正解じゃ。母体由来IgGが徐々に減り、自己のIgG産生が追いつかない生後3〜6か月が最低値となり感染しやすい時期じゃ。
アユム
これを生理的無γグロブリン血症と呼ぶんですね。
博士
その通り。この時期は手洗いや感染者との接触回避など環境整備が大切じゃ。
アユム
抗体産生はいつから始まるんですか?
博士
出生直後からじゃ。IgMが最も早く数か月で成人レベルに近づく。IgGは5〜6歳、IgAは最も遅く15〜18歳で成人レベルに達する。
アユム
だから選択肢4の『1歳から抗体産生が盛んになる』や選択肢5の『3歳でIgA成人レベル』は誤りですね。
博士
その通り。成熟時期を覚えておくとよい:IgMは1〜2歳、IgGは5〜6歳、IgAは15〜18歳じゃ。
アユム
臍帯血でIgMが高値だったら?
博士
子宮内感染を疑う。TORCH症候群、つまりトキソプラズマ・風疹・サイトメガロウイルス・ヘルペスなどじゃ。
アユム
母乳栄養児が感染症にかかりにくいのはIgAのおかげですね。
博士
そう、分泌型IgAは腸管で分解されにくく、粘膜上で病原体の付着を防ぐんじゃ。
アユム
予防接種との関係は?
博士
母体由来IgGがあるうちは生ワクチンの効果が減弱するため、麻疹ワクチンは1歳以降に接種する。
アユム
なるほど、免疫の発達時期に合わせた予防接種スケジュールなんですね。
博士
その通り。小児の感染症予防は免疫発達を理解することから始まるぞ。
POINT
胎盤を通過する免疫グロブリンはIgGのみで胎児は受動免疫を受ける。出生後は母乳(特に初乳)から分泌型IgAを得る。生後3〜6か月に血中免疫グロブリン総量が最低となり感染リスクが高い。抗体産生は出生直後から始まるが、成熟時期はIgMが1〜2歳、IgGが5〜6歳、IgAが最も遅く15〜18歳である。
解答・解説
正解は 1 ・ 3 です
問題文:児の免疫に関する説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 1 と 3 です。胎児期には母体の免疫グロブリンのうちIgGのみが胎盤を通過し胎児に移行します(受動免疫)。出生後は母体由来IgGが徐々に減少し、自己のIgG産生が追いつかない生後3〜6か月頃に血中免疫グロブリン総量が最低となり、感染症にかかりやすい時期(生理的無γグロブリン血症)となります。母乳からはIgAが供給され、特に初乳には多く含まれ新生児の消化管粘膜を感染から守ります。
選択肢考察
-
○ 1. 胎児期は胎盤を通じて母体からIgGを受け取る。
5種類の免疫グロブリン(IgG・IgA・IgM・IgD・IgE)のうち、分子量が比較的小さく胎盤通過性があるのはIgGのみで、受動免疫の中心となります。
-
× 2. 出生後は母乳からIgMを受け取る。
母乳(特に初乳)に豊富に含まれるのはIgAで、IgMは含まれません。分泌型IgAが消化管粘膜を保護します。
-
○ 3. 生後3か月ころに免疫グロブリンが最も少なくなる。
母体由来IgGが減少し自己のIgG産生が未熟な生後3〜6か月に血中Ig総量が最低となり、感染リスクが高まります。
-
× 4. 1歳ころから抗体の産生が盛んになる。
抗体産生は出生直後から始まり、IgMは生後数か月、IgGは徐々に成人レベルに近づきます。1歳からという表現は不正確です。
-
× 5. 3歳ころにIgAが成人と同じレベルに達する。
IgAが成人レベルに達するのは15〜18歳頃と最も遅く、IgGは5〜6歳、IgMは1〜2歳で成人レベルに近づきます。
免疫グロブリンの発達:IgMは胎児期から産生でき、出生時臍帯血でIgMが高値なら子宮内感染を疑います(TORCH症候群など)。IgGは母体由来が主で生後3〜6か月まで、自己産生IgGは徐々に増加し5〜6歳で成人レベル。IgAは成人レベルに達するのが最も遅く15〜18歳です。母乳中の分泌型IgA(sIgA)は消化管で分解されにくく、腸管粘膜に結合して病原体の侵入を防ぎます。これが母乳栄養児が消化管感染症にかかりにくい理由です。生後3〜6か月の感染リスク期には手洗い・感染者との接触回避などの環境整備が重要です。
免疫グロブリンの胎盤通過性(IgGのみ)、母乳移行(IgA)、成長に伴うIg総量の変化(生後3〜6か月が最低)を正確に理解しているかが問われている。
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