胎児〜小児の免疫グロブリン曲線を読み解こう
看護師国家試験 第107回 午前 第52問 / 小児看護学 / 子どもの成長・発達
国試問題にチャレンジ
胎生期から小児期の血清免疫グロブリン濃度の年齢による変動を図に示す。 ①が示しているのはどれか。
- 1.IgA
- 2.IgD
- 3.IgG
- 4.IgM
対話形式の解説
博士
免疫グロブリンの年齢推移グラフ、国試の頻出じゃな。まず何種類あったかの?
アユム
IgG、IgM、IgA、IgE、IgDの5種類です。
博士
そうじゃ。このうち胎盤を通過できるのは?
アユム
IgGだけ、です。分子量が比較的小さいからですよね。
博士
ご名答。だからIgGは出生時に母体からもらった分で高値になって、生後3〜6か月で谷底、そこから自己産生で再上昇するU字カーブを描くんじゃ。
アユム
じゃあIgMはどうなるんでしたっけ?
博士
IgMは胎盤を通過できん代わりに、胎児後期から自分で作り始めておる。だから出生直後から立ち上がりが早く、1歳頃にはほぼ成人値近くまで来るんじゃ。
アユム
ということは、①のなだらかで立ち上がりが最も遅い曲線はIgAですね!
博士
そのとおりじゃ。IgAは胎盤を通過せず、胎児期はほとんど作らん。生まれてからゆっくり作り始めるから、成人値に達するのは10歳前後と最も遅いんじゃ。
アユム
母乳の初乳に多く含まれるのもIgAですよね?
博士
よく覚えておるの。初乳には分泌型IgAが豊富で、赤ちゃんの腸管粘膜をコーティングして感染防御をしてくれる。母乳栄養の大きな意義の一つじゃ。
アユム
分泌型IgAって、血清のIgAとは違うんですか?
博士
構造が違う。血清中は単量体じゃが、粘膜や母乳中では二量体になり分泌片というパーツがついて、消化酵素に分解されにくくなっておる。
アユム
よく考えられていますね…。ちなみにIgDとIgEは?
博士
IgDは機能もよくわかっておらん微量抗体。IgEはアレルギーや寄生虫感染で上がる抗体で、通常グラフには主要な4本として描かれん。
アユム
もし新生児の臍帯血でIgMが高かったら何を疑いますか?
博士
良い発展質問じゃ。IgMは胎盤を通らんから、新生児で高値なら胎児自身が胎内で感染に反応した証拠、すなわちTORCH症候群などの子宮内感染を疑う重要所見じゃ。
アユム
グラフの形と産生メカニズムがつながって、スッキリしました!
POINT
免疫グロブリンの年齢推移は『胎盤通過性の有無』と『産生開始時期』の2点で決まります。IgGは胎盤通過性ありで出生時高値・3〜6か月で谷底のU字、IgMは胎児後期から自己産生が始まり出生後急上昇、IgAは胎盤を通らず産生開始も遅いためなだらかに増加します。初乳中の分泌型IgAは新生児の腸管防御を担う重要な液性免疫です。新生児臍帯血IgM高値は子宮内感染のサインで、臨床でも問われやすい知識です。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:胎生期から小児期の血清免疫グロブリン濃度の年齢による変動を図に示す。 ①が示しているのはどれか。
解説:正解は1のIgAです。免疫グロブリンは胎生期から小児期にかけて独特のパターンで推移します。IgGは唯一胎盤を通過するため出生時は母体由来で高値を示し、生後3〜6か月で最低値となった後に自己産生で上昇します。IgMは胎盤を通過せず、胎児後期から自己産生が始まり出生直後から比較的速やかに上昇します。一方、IgAは胎盤を通過せず新生児期はほぼゼロに近く、母乳(特に初乳)の分泌型IgAで腸管が守られながら、自己産生がゆっくり立ち上がっていきます。このため出生後に低値からなだらかに増加し、成人値に達するのは10歳前後と最も遅いカーブを描くのがIgAの特徴です。図の①はこの立ち上がりが遅くゆるやかに伸びる曲線に相当します。
選択肢考察
-
○ 1. IgA
胎盤を通過せず新生児期はほぼ検出されないため出生時はゼロに近く、生後ゆっくり増加して思春期頃に成人値へ到達します。①のなだらかな上昇曲線に一致します。
-
× 2. IgD
IgDは血清中にごく微量しか存在せず、グラフで独立した大きな曲線として描かれることはありません。本問の主要4本の曲線には通常含まれません。
-
× 3. IgG
IgGは唯一胎盤を通過する免疫グロブリンで、出生時に母体由来で高値を示し、生後3〜6か月で最低となった後に自己産生で再上昇するU字〜V字型のカーブを描きます。①の形とは異なります。
-
× 4. IgM
IgMは胎児後期から自己産生が始まり、出生直後から急速に立ち上がって1歳頃までに成人値近くに達します。IgAよりも早く上昇するため①のなだらかな曲線ではありません。
免疫グロブリンは『AMGED』で5種類。IgGは血清中最多で胎盤通過性あり、IgMは感染初期に最初に産生される五量体、IgAは粘膜・母乳・初乳の防御を担う二量体、IgEはI型アレルギー、IgDは機能不明で微量。新生児の臍帯血IgM高値は子宮内感染のサイン(TORCHなど)として有名です。
各免疫グロブリンの胎盤通過性と産生開始時期の違いから、年齢推移グラフのパターンを同定する問題です。
「子どもの成長・発達」の関連記事
-
「ばい菌で病気になる」と考えるのは何歳頃?ピアジェ理論で読み解く
ピアジェの認知発達段階のうち、目に見えない原因を象徴的・具象的に捉える前操作期の特徴を「ばい菌で病気になる」…
114回
-
後追いは愛着のサイン!分離不安を発達心理学から理解する
乳児が養育者から離れるときに泣く・後追いする現象の名称を問う問題。愛着形成と「分離不安」の関係を理解できてい…
114回
-
子どもの成長と発達はどう違う?臨界期と運動発達の方向性
成長・発達の用語定義(成長=量的、発達=質的)、運動発達の方向性、臨界期、遺伝と環境の影響、脳神経系の発達時…
114回
-
Bowlbyのアタッチメント理論を理解しよう
Bowlbyのアタッチメント理論における発達時期・安全基地の定義・分離反応の順序など、基本概念の正確な理解を問う設…
113回
-
1歳4か月にあう遊具選び
乳幼児の運動発達段階に応じた遊具選択ができるかを問う問題で、1歳4か月の歩行の特徴を押さえることが鍵です。
113回