胎盤を通過する抗体
看護師国家試験 第111回 午後 第57問 / 小児看護学 / 子どもの成長・発達
国試問題にチャレンジ
新生児や乳児が胎児期に母体から受け取った抗体は次のどれか。
- 1.IgA
- 2.IgD
- 3.IgG
- 4.IgM
対話形式の解説
博士
今日は新生児の免疫について考えよう。
サクラ
赤ちゃんは最初から抗体を持っているんですか?
博士
母体から胎盤を通じて抗体をもらっているんだ。
サクラ
どの抗体が移行するのですか?
博士
正解は3のIgGだよ。5種類の免疫グロブリンのうち、唯一胎盤を通過できる。
サクラ
IgGはどんな特徴がありますか?
博士
血中で最も量が多く、細菌や毒素と結合する働きが強い。出生時にピークとなり生後3〜6か月で低下する。
サクラ
選択肢1のIgAは違うんですね。
博士
IgAは胎盤を通らず、母乳特に初乳から移行して消化管粘膜を守るんだ。
サクラ
選択肢2のIgDは?
博士
血中濃度がとても低く、B細胞表面で抗原受容体として働く。胎盤通過性はない。
サクラ
選択肢4のIgMは?
博士
分子量が大きすぎて胎盤を通過できない。胎児自身が妊娠後期から産生を始めるよ。
サクラ
臍帯血のIgMが高いとどうなりますか?
博士
先天性感染を疑うサイン。TORCH症候群などの精査が必要になる。
サクラ
母体由来の抗体が切れる時期は感染しやすいんですね。
博士
そのとおり。生理的低ガンマグロブリン血症と呼ばれ、生後3〜6か月が注意時期。
サクラ
だから予防接種スケジュールが重要なんですね。
博士
そのとおり。定期接種のタイミングはこの免疫動態を考慮して設計されているんだ。
POINT
免疫グロブリンのうち胎盤を通過するのはIgGのみで、母体から胎児へ移行し新生児の感染防御を担います。IgAは母乳を介して移行し粘膜免疫を、IgMは胎児自身が後期から産生します。母体由来IgGが減少する生後3〜6か月は感染リスクが高まる時期で、予防接種スケジュールはこの免疫動態を踏まえて設計されています。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:新生児や乳児が胎児期に母体から受け取った抗体は次のどれか。
解説:正解は 3 です。IgGは5種類の免疫グロブリンの中で唯一胎盤を通過できる抗体で、胎児期に母体から移行し新生児を感染から守ります。出生時に最も高値となり、生後3〜6か月頃に最低値となります。
選択肢考察
-
× 1. IgA
IgAは胎盤を通過せず、出生後に母乳(特に初乳)を介して移行し消化管粘膜を守ります。分泌型IgAとして粘膜免疫を担います。
-
× 2. IgD
IgDは血中濃度が極めて低く、主にB細胞の抗原受容体として機能します。胎盤通過性はありません。
-
○ 3. IgG
5種類の中で唯一胎盤通過性を持ちます。母体から胎児に移行して新生児期の感染防御を担い、生後3〜6か月頃に母体由来分が消失します。
-
× 4. IgM
IgMは分子量が大きく胎盤を通過できません。胎児自身が妊娠後期から産生を開始し、感染の初期防御を担います。
免疫グロブリンは5種類(IgG・IgA・IgM・IgD・IgE)あります。新生児は生後3〜6か月で移行抗体が減少し、自己産生抗体が成人レベルに達するまで感染リスクが高まる期間(生理的低ガンマグロブリン血症)があるため、予防接種スケジュールが計画されています。臍帯血IgMが高値の場合は先天性感染(TORCH)を疑います。
5種類の免疫グロブリンの特徴、特に胎盤通過性の有無と新生児の免疫獲得の仕組みを理解しているかを問う問題です。
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