幼児期の「自己中心性」とは?ピアジェとエリクソンで整理する
看護師国家試験 第112回 午前 第58問 / 小児看護学 / 子どもの成長・発達
国試問題にチャレンジ
幼児期の心理社会的特徴はどれか。
- 1.自己中心性
- 2.心理的離乳
- 3.ギャングエイジ
- 4.ボディイメージの変容
対話形式の解説
博士
今日は幼児期の心理社会的特徴じゃ。発達心理学の基本概念をしっかり押さえていこう。
アユム
幼児期って何歳から何歳ですか?
博士
一般的に1歳から就学前、つまり6歳頃までを指す。この時期は身体発達も著しいが、心理・認知面でも大きな変化が起こる。
アユム
選択肢1の「自己中心性」とはどういうことですか?
博士
ピアジェの認知発達理論における前操作期(2〜7歳)の特徴じゃ。自分の視点と他者の視点を区別できず、自分が見ている世界がみんなにも同じように見えていると思っている状態を指す。
アユム
わがままとは違うんですか?
博士
違うのじゃ。性格的なわがままではなく、認知発達上の段階的特徴じゃ。例えば「3つの山課題」で、反対側に座っている人から山がどう見えるかを尋ねると、自分から見た景色をそのまま答えてしまう。これが自己中心性じゃ。
アユム
なるほど、悪意のある自己中心とは違うんですね。
博士
そうじゃ。幼児のごっこ遊びや、2歳頃の第一反抗期(イヤイヤ期)もこの発達段階と関連しておる。自我が芽生えて「自分」を主張するが、他者の立場はまだ理解できない。
アユム
選択肢2の心理的離乳は?
博士
これはHollingworthが提唱した概念で、青年期(思春期以降)に親への依存から心理的に自立していく過程じゃ。第二反抗期とも重なる。幼児期ではないぞ。
アユム
ギャングエイジは聞いたことがあります。
博士
学童期後期、9〜12歳頃の特徴じゃ。同性・同年代で閉鎖的な仲間集団を作り、秘密基地やローカルルールを作って大人から独立した小社会を形成する。社会性の発達に重要な段階じゃ。
アユム
ボディイメージの変容は?
博士
これは発達段階というよりも、疾病や手術(乳房切除、ストーマ造設、切断術など)で自己の身体像が変わることによる心理的反応じゃ。幼児期固有の特徴ではない。
アユム
エリクソンの発達課題も押さえておいたほうがいいですか?
博士
国試頻出じゃぞ。幼児期前期(1〜3歳)は自律性 対 恥・疑惑、幼児期後期(3〜6歳)は自発性 対 罪悪感、学童期は勤勉性 対 劣等感、青年期は同一性 対 同一性拡散、成人期は親密性 対 孤立、壮年期は世代性 対 停滞、老年期は統合 対 絶望じゃ。
アユム
ピアジェとエリクソン、両方セットで覚えるとよさそうですね。
博士
その通り。ピアジェは認知発達、エリクソンは心理社会的発達で、視点が違うが補完的じゃ。
アユム
保存の概念というのも出てきますよね?
博士
具体的操作期(7〜11歳)に獲得される。液体を細いコップから広いコップに移しても量は変わらないと理解できるようになる。前操作期の幼児は見た目に惑わされてしまう。
アユム
発達段階を知ると、子どもの行動が「わがまま」ではなく成長過程だと理解できますね。
POINT
幼児期(2〜7歳)は、ピアジェの認知発達理論における前操作期にあたり、自己中心性が代表的特徴です。これは自分と他者の視点を区別できない認知段階で、性格的なわがままとは異なり、ごっこ遊びや第一反抗期(イヤイヤ期)と関連します。エリクソンの発達課題では幼児期前期が自律性 対 恥・疑惑、幼児期後期が自発性 対 罪悪感と位置づけられます。心理的離乳は青年期、ギャングエイジは学童期後期、ボディイメージの変容は疾病・手術に伴う変化であり、幼児期の特徴ではありません。看護師は発達段階に応じた関わり方を理解し、子どもの行動を発達的文脈でとらえる視点を養うことが大切です。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:幼児期の心理社会的特徴はどれか。
解説:正解は 1 です。自己中心性は、ピアジェの認知発達理論における前操作期(2〜7歳の幼児期)の特徴で、自分の視点からしか物事をとらえられず、他者の立場に立って考えることが難しい段階を指します。自我の芽生えとともに「イヤイヤ期」が現れ、第一反抗期として表出されます。他の選択肢は、心理的離乳=青年期、ギャングエイジ=学童期後期、ボディイメージの変容=疾病や手術による変化であり、幼児期の特徴ではありません。
選択肢考察
-
○ 1. 自己中心性
ピアジェの前操作期(2〜7歳)にみられる思考特徴で、自分の視点を他者の視点と区別できない。幼児の第一反抗期やごっこ遊びにも関連する。
-
× 2. 心理的離乳
Hollingworthが提唱した概念で、青年期に親への依存から心理的に自立していく過程を指す。思春期以降の特徴で、幼児期の特徴ではない。
-
× 3. ギャングエイジ
学童期後期(9〜12歳頃)にみられる特徴で、同性・同年代で閉鎖的な仲間集団を形成し、集団内のルールや仲間意識を強める発達段階。
-
× 4. ボディイメージの変容
手術、外傷、慢性疾患、乳房切除、ストーマ造設などによって自己の身体像が変化することを指し、発達段階の特徴ではなく状況的な心理的反応。
エリクソンの心理社会的発達課題では、幼児期前期(1〜3歳)=自律性 対 恥・疑惑、幼児期後期(3〜6歳)=自発性 対 罪悪感、学童期=勤勉性 対 劣等感、青年期=同一性 対 同一性拡散、成人期=親密性 対 孤立、壮年期=世代性 対 停滞、老年期=統合 対 絶望が課題。ピアジェの認知発達段階は感覚運動期(0〜2歳)、前操作期(2〜7歳)、具体的操作期(7〜11歳)、形式的操作期(11歳〜)で、保存の概念の獲得は具体的操作期から。
発達段階と心理社会的特徴を結びつける問題。ピアジェ・エリクソンの理論をセットで押さえておくと応用が利く。
「子どもの成長・発達」の関連記事
-
「ばい菌で病気になる」と考えるのは何歳頃?ピアジェ理論で読み解く
ピアジェの認知発達段階のうち、目に見えない原因を象徴的・具象的に捉える前操作期の特徴を「ばい菌で病気になる」…
114回
-
後追いは愛着のサイン!分離不安を発達心理学から理解する
乳児が養育者から離れるときに泣く・後追いする現象の名称を問う問題。愛着形成と「分離不安」の関係を理解できてい…
114回
-
子どもの成長と発達はどう違う?臨界期と運動発達の方向性
成長・発達の用語定義(成長=量的、発達=質的)、運動発達の方向性、臨界期、遺伝と環境の影響、脳神経系の発達時…
114回
-
Bowlbyのアタッチメント理論を理解しよう
Bowlbyのアタッチメント理論における発達時期・安全基地の定義・分離反応の順序など、基本概念の正確な理解を問う設…
113回
-
1歳4か月にあう遊具選び
乳幼児の運動発達段階に応じた遊具選択ができるかを問う問題で、1歳4か月の歩行の特徴を押さえることが鍵です。
113回