小児白血病で使える社会資源を学ぼう
看護師国家試験 第104回 午後 第102問 / 小児看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aちゃん(10歳、女児)は、両親と3人で暮らしている。発熱と顔色不良とを主訴に受診し入院した。血液検査データは、Hb7.5g/dL、白血球75,000/nL、血小板4万/nLであった。骨髄検査の結果、急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia)と診断された。医師が両親とAちゃんに対し、病名と今後の抗癌薬治療および入院期間について説明した。両親はショックを受けていたが現実を受け止め、今後の治療や入院生活について質問し、経済的な不安を訴えた。 両親に情報提供する社会資源として最も適切なのはどれか。
- 1.養育医療
- 2.自立支援医療
- 3.児童扶養手当
- 4.高額療養費制度
- 5.小児慢性特定疾病の医療費助成
対話形式の解説
博士
学生さん、10歳の白血病のお子さんを抱えるご家族が経済的不安を訴えておるのじゃ。どんな制度を紹介する?
アユム
医療費の助成制度ですね。いくつか思い当たります。
博士
ふむ、選択肢を一つずつ見ていこうかの。まず養育医療はどうじゃ?
アユム
養育医療は未熟児が対象で、1歳未満が条件だったはずです。10歳のAちゃんには使えません。
博士
その通りじゃ。次に自立支援医療は?
アユム
障害の軽減を目的とした医療で、白血病の急性期治療には合いません。
博士
児童扶養手当は?
アユム
ひとり親家庭への手当なので、両親と暮らすAちゃんは対象外です。
博士
では高額療養費制度はどうじゃろう?
アユム
自己負担限度額を超えた分が戻る仕組みですね。使えそうですが…
博士
使えなくはないが、小児の長期治療には小児慢性特定疾病の医療費助成のほうが手厚いのじゃ。白血病は対象疾患に入っておるからの。
アユム
自己負担額が所得に応じて軽減されるのですね。
博士
さらに食事療養費の半額補助もあって、長い入院期間でも家計の負担を抑えられる。
アユム
申請はどこでするのですか?
博士
都道府県や指定都市の窓口じゃ。医師の意見書を添えて申請するのじゃぞ。
アユム
ご両親に情報提供して、ソーシャルワーカーにもつなぎます。
POINT
急性リンパ性白血病は小児慢性特定疾病の対象疾患であり、長期入院と高額な治療費を要する小児がん家族の経済的負担を軽減する最も適した制度です。養育医療は1歳未満の未熟児、自立支援医療は障害者、児童扶養手当はひとり親家庭が対象であり、いずれもAちゃんには該当しません。高額療養費制度も使えますが、小児慢性特定疾病の助成のほうが包括的かつ手厚い支援が受けられます。医療ソーシャルワーカーと連携して申請を支援することが重要です。
解答・解説
正解は 5 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aちゃん(10歳、女児)は、両親と3人で暮らしている。発熱と顔色不良とを主訴に受診し入院した。血液検査データは、Hb7.5g/dL、白血球75,000/nL、血小板4万/nLであった。骨髄検査の結果、急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia)と診断された。医師が両親とAちゃんに対し、病名と今後の抗癌薬治療および入院期間について説明した。両親はショックを受けていたが現実を受け止め、今後の治療や入院生活について質問し、経済的な不安を訴えた。 両親に情報提供する社会資源として最も適切なのはどれか。
解説:正解は5です。急性リンパ性白血病は小児慢性特定疾病の対象疾患に含まれており、長期間の入院や高額な抗癌薬治療を要するため、医療費助成制度の利用が両親の経済的不安を軽減する最も適した社会資源となります。都道府県の窓口で申請手続きを行い、認定を受けることで自己負担額の軽減が図られます。
選択肢考察
-
× 1. 養育医療
養育医療は母子保健法に基づき、出生後1歳未満の未熟児で入院養育が必要と判断された児を対象とする制度です。10歳のAちゃんは年齢要件を満たさないため対象外となります。
-
× 2. 自立支援医療
自立支援医療は障害者総合支援法に基づき、身体障害・精神障害・育成医療など障害の軽減を目的とした医療を対象とする制度です。急性リンパ性白血病の治療費助成として用いる制度ではありません。
-
× 3. 児童扶養手当
児童扶養手当は離婚や死別等によりひとり親家庭となった児童の生活安定を目的とした手当です。Aちゃんは両親との3人暮らしであり、支給対象に該当しません。
-
× 4. 高額療養費制度
高額療養費制度は一般の傷病に対して自己負担限度額を超えた医療費を払い戻す仕組みです。本人にも適用は可能ですが、小児慢性特定疾病の医療費助成のほうが小児の長期治療に対する負担軽減効果が大きく、最も適切とは言えません。
-
○ 5. 小児慢性特定疾病の医療費助成
小児慢性特定疾病の医療費助成は18歳未満の児で、悪性新生物等の指定疾患を発症し長期治療を要する場合に医療費の自己負担分を補助する制度です。急性リンパ性白血病は対象疾患であり、Aちゃんと家族の経済的不安を軽減する最も適切な社会資源です。
小児慢性特定疾病の対象は悪性新生物、慢性腎疾患、慢性心疾患、内分泌疾患など16疾患群あり、令和時点で約780疾病が指定されています。世帯所得に応じた自己負担上限額が設けられ、入院時の食事療養費の半額も助成対象です。申請窓口は都道府県・指定都市・中核市で、医師の意見書が必要となります。
小児がん患者家族への経済的支援として最も適した社会資源を選択できるかを問う問題です。
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