退院後のてんかん患児家族への指導
看護師国家試験 第104回 午後 第113問 / 小児看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 A君(8歳、男児)は、携帯型電子ゲームやサッカーが好きである。A君は宿題をしているときに、突然意識を失い、10数秒持続する四肢の屈曲を伴うけいれんを起こした。その後、全身の筋肉の収縮と弛緩を繰り返すけいれんが10秒程度続き、A君の呼吸は停止しチアノーゼが認められた。けいれんが終了し呼吸は回復したが、意識障害が持続していたため病院に救急搬送された。 入院後1か月。A君の退院が決定した。 A君の家族に対する説明として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 1.「今後サッカーは禁止です」
- 2.「十分な睡眠をとらせてください」
- 3.「規則正しい服薬が発作を予防します」
- 4.「発作時はタオルを口にかませてください」
- 5.「学校には病名を知らせる必要はないでしょう」
対話形式の解説
博士
A君が退院することになったのじゃ。家族にどんな説明をすると良いかのう?
サクラ
まず服薬の継続は欠かせませんね。
博士
その通り。抗てんかん薬は血中濃度を一定に保つことが命じゃ。飲み忘れたらどうなる?
サクラ
濃度が下がって発作が再燃しやすくなりますね。重積発作の危険もあります。
博士
睡眠についてはどうかのう?
サクラ
睡眠不足は発作の誘因になると習いました。十分な睡眠をとってもらうことが大切ですね。
博士
サッカーは禁止すべきかのう?
サクラ
発作がコントロールされていれば運動制限は不要です。むしろ過度な制限は子どもの発達を妨げます。
博士
発作時にタオルを噛ませるという指導はどうじゃ?
サクラ
それは古い方法で、今は禁忌ですね。窒息や歯の損傷、嘔吐誘発の危険があります。
博士
では正しい発作時対応は?
サクラ
頭部を保護し、側臥位にして気道を確保し、発作時間を計測しますね。
博士
学校への連絡はどうじゃ?
サクラ
病名を伏せず、対応法を伝えて連携することが安全につながります。
POINT
てんかん患児の退院後指導の柱は、規則的な服薬遵守と十分な睡眠を含む規則正しい生活です。運動制限は一律ではなく、発作コントロール状況に応じて判断します。発作時の口腔内挿入は禁忌で、側臥位による気道確保が原則です。学校との情報共有は安全と差別防止の両面から不可欠で、家族・医療・教育の三者連携が求められます。
解答・解説
正解は 2 ・ 3 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 A君(8歳、男児)は、携帯型電子ゲームやサッカーが好きである。A君は宿題をしているときに、突然意識を失い、10数秒持続する四肢の屈曲を伴うけいれんを起こした。その後、全身の筋肉の収縮と弛緩を繰り返すけいれんが10秒程度続き、A君の呼吸は停止しチアノーゼが認められた。けいれんが終了し呼吸は回復したが、意識障害が持続していたため病院に救急搬送された。 入院後1か月。A君の退院が決定した。 A君の家族に対する説明として適切なのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 2 と 3 です。十分な睡眠は発作誘因となる睡眠不足や過労を予防する基本であり、規則正しい服薬は抗てんかん薬の血中濃度を一定に保ち発作を抑制する核心です。この2点は退院後の家庭での生活指導として最も重要なメッセージとなります。
選択肢考察
-
× 1. 「今後サッカーは禁止です」
発作が薬物でコントロールされていれば、運動を一律に禁止する必要はありません。むしろ過度な制限は心身の発達を阻害します。ただし水泳や高所運動など発作時に重大な事故につながるものは見守りが必要で、サッカーは状況に応じた配慮で継続可能です。
-
○ 2. 「十分な睡眠をとらせてください」
睡眠不足は発作の代表的な誘因です。規則的な就寝・起床リズムを保ち、十分な睡眠時間を確保することで発作の閾値が下がるのを防ぎ、発作予防につながります。
-
○ 3. 「規則正しい服薬が発作を予防します」
抗てんかん薬は血中濃度を一定に保つことで効果が持続します。飲み忘れや自己判断による中止は急激な濃度低下を招き、けいれん重積など重篤な発作再燃の原因となるため厳守が必須です。
-
× 4. 「発作時はタオルを口にかませてください」
口腔内に物を入れる行為は窒息、歯牙損傷、嘔吐誘発、介助者の指の損傷を招く危険な対応です。現在は禁忌とされ、頭部保護と側臥位での気道確保が正しい対応です。
-
× 5. 「学校には病名を知らせる必要はないでしょう」
学校でも発作が起こり得るため、担任や養護教諭に病名と発作時対応を共有しておく必要があります。情報共有により安全な学校生活と緊急時対応が確保されます。
てんかんの発作誘因は睡眠不足、過労、過換気、強い光刺激、発熱、ストレス、服薬中断などです。発作時の正しい対応は、周囲の安全確保、頭部保護、側臥位、衣服を緩める、発作時間の計測で、口の中に物を入れない、無理に押さえつけないことが原則です。学校との連携は安全管理だけでなく差別防止の観点からも重要で、てんかん協会のガイドラインも参照されます。
退院後の家族指導として、生活管理(睡眠)と服薬遵守の重要性を理解しているかを問う問題です。
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