肛門形成術後のブジー在宅指導
看護師国家試験 第105回 午前 第104問 / 小児看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aちゃん(生後5か月、女児)は、出生時、腟の後方に瘻孔があり、腸内容物が排出され、低位鎖肛(anal atresia with a low lesion)と診断された。他に奇形は認められず、瘻孔は腟と尿道に交通していなかったため、体重増加を待って会陰式肛門形成術を行う予定とされていた。Aちゃんは順調に体重が増加しており、定期受診のため来院した。Aちゃんは、定期受診の1か月後、予定どおり会陰式肛門形成術を行った。 術後2週、全身状態や創部の状態が安定し、肛門拡張のためのブジーが開始された。退院後もブジーを継続するため母親に指導を行うことになった。ブジーの指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.「食後は避けてください」
- 2.「腹臥位で行ってください」
- 3.「できるだけ深く入れてください」
- 4.「排便があった日は行わなくてよいです」
- 5.「直腸の向きに沿ってゆっくり入れてください」
対話形式の解説
博士
Aちゃんは術後2週で全身状態も安定し、肛門拡張のためのブジーが始まったぞ。退院後も母親が家庭で継続する必要があるんじゃ。
アユム
ブジーって肛門を広げる器械ですか?
博士
そうじゃ。形成した肛門は瘢痕で収縮して狭窄しやすいから、金属製ヘガールなどの拡張器を定期的に挿入して径を保つんじゃ。
アユム
指導で正しいものは?
博士
正解は1の『食後は避けてください』と5の『直腸の向きに沿ってゆっくり入れてください』の2つじゃ。
アユム
食後を避けるのはどうしてですか?
博士
食後は胃結腸反射で腸蠕動が亢進し、排便や嘔吐が誘発されやすくなる。挿入困難や児の苦痛が増すから、食前や授乳前の機嫌がよい時間帯に行うのが原則じゃ。
アユム
2の腹臥位ではどうしていけないんですか?
博士
腹臥位では肛門の走行が見えづらく、児が力んでしまって挿入困難になる。仰臥位で両膝を立てたり股関節を屈曲・外転させる体位が推奨されておる。
アユム
3の『できるだけ深く』は絶対にダメですよね?
博士
そのとおり、深く挿入すると直腸穿孔を起こす危険がある。あくまで狭窄しやすい肛門部を拡げるのが目的じゃから、指示された深度を守ることが大切じゃ。
アユム
4の『排便があった日は行わなくてよい』は?
博士
排便の有無に関係なく瘢痕収縮は進むから、毎日継続するのが狭窄予防の基本じゃ。サボると再狭窄のリスクが上がるぞ。
アユム
5の『直腸の向きに沿ってゆっくり』は穿孔予防に直結しますね。
博士
うむ、直腸は後方にやや彎曲しておるから、その走行に合わせて潤滑剤を塗布し、ゆっくり進めることで穿孔と疼痛を減らせる。
アユム
母親に指導するときのコツはありますか?
博士
まず実演を見せて、次に母親に実施してもらい、看護師が見守るという段階的指導がよい。正しい角度・深度・頻度・注意徴候の4点を繰り返し伝えるんじゃ。
アユム
受診が必要な徴候は?
博士
出血、強い疼痛、発赤、腫脹、発熱、便が出にくくなるなどがあれば中止して受診するよう指導する。
アユム
ブジーの期間はどれくらいですか?
博士
術式や児の回復により異なるが、数か月〜1年ほど、徐々にサイズを上げながら継続することが多いのじゃ。
アユム
在宅指導では不安の軽減も大切そうですね。
博士
そのとおりじゃ。手技だけでなく、母親の心理的負担にも配慮して支えていくのが看護の要じゃよ。
POINT
肛門形成術後の在宅ブジー指導に関する問題です。食後は腸蠕動が亢進するため避け、体位は仰臥位、挿入は直腸の走行に沿ってゆっくり浅めに、排便の有無にかかわらず毎日継続するのが原則です。1と5が正解となり、家庭での適切な手技指導の要点を押さえる問題です。
解答・解説
正解は 1 ・ 5 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aちゃん(生後5か月、女児)は、出生時、腟の後方に瘻孔があり、腸内容物が排出され、低位鎖肛(anal atresia with a low lesion)と診断された。他に奇形は認められず、瘻孔は腟と尿道に交通していなかったため、体重増加を待って会陰式肛門形成術を行う予定とされていた。Aちゃんは順調に体重が増加しており、定期受診のため来院した。Aちゃんは、定期受診の1か月後、予定どおり会陰式肛門形成術を行った。 術後2週、全身状態や創部の状態が安定し、肛門拡張のためのブジーが開始された。退院後もブジーを継続するため母親に指導を行うことになった。ブジーの指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 1 と 5 です。肛門形成術後の形成肛門は瘢痕収縮で狭窄しやすく、予防のため金属製ヘガールなどのブジー(肛門拡張器)を定期的に挿入します。家庭では通常1日1〜2回、仰臥位で児の膝を立てるか股関節を屈曲・外転させた体位で行い、潤滑剤を塗布したブジーを直腸の走行に沿ってゆっくり挿入します。食後は腸蠕動が亢進し嘔吐や排便のリスクが高まるため、食前や授乳前の児が機嫌のよい時間帯を選ぶのが基本です。
選択肢考察
-
○ 1. 「食後は避けてください」
食後は腸蠕動が亢進し排便や嘔吐が誘発されやすく、挿入困難や児の苦痛が増すため食後は避けます。
-
× 2. 「腹臥位で行ってください」
腹臥位では肛門の走行が確認しにくく児も力んでしまうため、仰臥位で膝を屈曲させる体位が適切です。
-
× 3. 「できるだけ深く入れてください」
深く挿入すると直腸穿孔のリスクが高まります。拡張目的はあくまで肛門部の瘢痕狭窄予防です。
-
× 4. 「排便があった日は行わなくてよいです」
排便があっても瘢痕収縮は進行するため、毎日継続することが狭窄予防の原則です。
-
○ 5. 「直腸の向きに沿ってゆっくり入れてください」
直腸の生理的走行に沿ってゆっくり挿入することで、穿孔と疼痛を最小限にできます。
ブジーは術後概ね2週〜数か月間、徐々にサイズアップしながら継続します。毎日同じ時間に潤滑剤を使用して実施し、出血や強い疼痛、発赤があれば中止して受診します。母親には正しい挿入角度、挿入深度、頻度、注意徴候を段階的に指導し、実施を見守ることが重要です。
退院後も継続する肛門ブジーの家庭指導として、実施時間帯と挿入方法の基本を問う問題です。
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