重症心身障害児の就学支援!教育委員会への相談から始まる
看護師国家試験 第106回 午後 第109問 / 小児看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎( aspiration pneumonia )で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。 母親は「Aは来年の4月には小学校に入学する年齢だけど、入学に向けてどうすればよいのか分からない」と訪問看護師に相談した。訪問看護師が行う援助として適切なのはどれか。
- 1.自宅に教員を派遣できる小学校に連絡する。
- 2.Aちゃんが入学できる特別支援学校を紹介する。
- 3.父親に仕事を調整してAちゃんの送迎をするよう勧める。
- 4.教育委員会に小学校入学に関する相談をするよう勧める。
対話形式の解説
博士
Aちゃんシリーズの最終問題じゃ。来年4月に小学校入学年齢を迎えるAちゃんの就学について、母親が『どうすればよいか分からない』と訪問看護師に相談しておる。
サクラ
Aちゃんは重症心身障害児ですよね。普通の小学校には通えないから特別支援学校を紹介するのかなと思ったんですが…。
博士
そう思うじゃろ?でも就学先の決定プロセスを知ることが大事じゃ。2013年に学校教育法施行令が改正されてな、仕組みが大きく変わった。
サクラ
どう変わったんですか?
博士
以前は『就学基準に該当する児童は原則特別支援学校』じゃった。改正後は本人・保護者の意見を最大限尊重し、教育的ニーズと支援について合意形成を図り、市町村教育委員会が総合的に判断する方式に転換したのじゃ。
サクラ
つまり重症児でも保護者の希望次第で選択肢があるんですね。
博士
その通り。就学先の選択肢は4つあるぞ。①通常学級、②通級指導教室(通常学級に在籍しつつ一部の時間だけ別室で指導)、③特別支援学級(通常校内の小規模クラス)、④特別支援学校(重度障害児対象、訪問教育も含む)じゃ。
サクラ
重症児でも通常学級を選ぶ家族もいるんですか?
博士
うむ、医療的ケアが必要な児でも看護師配置のある通常校に通うケースも増えておる。大切なのは保護者と教育委員会が話し合って本人に最適な場を見つけることじゃ。
サクラ
じゃあ訪問看護師はどうすればいいんですか?
博士
保護者に正しい相談窓口である『教育委員会に小学校入学に関する相談をするよう勧める』のが適切な援助じゃ。これが正解。
サクラ
他の選択肢も見ていきます。『自宅に教員を派遣できる小学校に連絡する』は?
博士
訪問教育は特別支援学校の形態の一つじゃが、就学先が決まる前に看護師が独断で連絡するのは越権行為じゃ。まず教育委員会への相談が先じゃ。
サクラ
『特別支援学校を紹介する』もダメですか?
博士
選択肢は4つあるのに看護師が独断で特支を紹介するのは保護者の選択の機会を奪うことになる。教育委員会で本人・保護者・専門家で協議して決めるものじゃ。
サクラ
『父親に仕事を調整してAちゃんの送迎をするよう勧める』は?
博士
就学先が決まっていない段階で送迎前提の家族役割を提案するのは時期尚早じゃ。就学相談の結果次第で送迎の必要性も方法も変わる。
サクラ
就学相談はいつから始めればいいんですか?
博士
入学前年度の早期から始めるのが推奨される。Aちゃんは来年4月入学じゃからそろそろ始めるタイミングじゃな。
サクラ
訪問看護師は医療的ケアだけでなく、こうした生活全般の相談にも応じるんですね。
博士
その通りじゃ。看護師は医療と地域資源をつなぐ役割も担う。適切な相談窓口を知り保護者に橋渡しするのが重要な援助じゃ。
サクラ
看護の視点だけでなく教育・福祉の制度も知っておく必要がありますね。
POINT
障害児の就学支援は2013年の学校教育法施行令改正により、保護者の意見を最大限尊重し市町村教育委員会が総合的に判断する方式に転換されました。就学先には通常学級・通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校の4つの選択肢があり、本人の状態と保護者の希望に応じて決定されます。訪問看護師は就学先を独断で決定・紹介するのではなく、正しい相談窓口である教育委員会への就学相談を勧めることが適切な援助となります。重症心身障害児の在宅支援では医療的ケアに加えて教育・福祉制度の知識を持ち、家族と適切な資源を橋渡しする役割が看護師に求められます。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎( aspiration pneumonia )で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。 母親は「Aは来年の4月には小学校に入学する年齢だけど、入学に向けてどうすればよいのか分からない」と訪問看護師に相談した。訪問看護師が行う援助として適切なのはどれか。
解説:正解は 4 です。学校教育法施行令に基づき、障害のある児童の就学先は市町村教育委員会が本人・保護者の意見、医学的・心理学的・教育学的観点からの専門家意見を総合的に勘案して決定する(就学先決定の手続き)。保護者は教育委員会に就学相談を申し込むことから始まり、通常学級・通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校のいずれかが本人の状態に応じて決定される。訪問看護師は保護者に適切な相談窓口を伝える援助が最も適切である。
選択肢考察
-
× 1. 自宅に教員を派遣できる小学校に連絡する。
訪問教育(自宅への教員派遣)は特別支援学校の形態の一つだが、就学先の決定前に看護師が独断で学校に連絡する役割ではない。まず教育委員会への相談を通じて就学先を決定する必要がある。
-
× 2. Aちゃんが入学できる特別支援学校を紹介する。
就学先は通常学級・通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校など複数の選択肢があり、本人・保護者の希望と専門家意見を踏まえ教育委員会が決定する。看護師が独断で特定の学校を紹介するのは不適切。
-
× 3. 父親に仕事を調整してAちゃんの送迎をするよう勧める。
就学先も決まっていない段階で送迎を前提とした家族役割の提案は時期尚早であり、家族への過度な負担を強いる可能性もある。就学相談の結果次第で送迎の必要性や方法は変わる。
-
○ 4. 教育委員会に小学校入学に関する相談をするよう勧める。
障害のある児童の就学先は市町村教育委員会が本人・保護者の意見と専門家意見を総合して決定する。保護者に正しい相談窓口である教育委員会への就学相談を勧めるのが訪問看護師の適切な役割。
2013年の学校教育法施行令改正により、障害のある児童の就学先は『就学基準に該当する児童は原則特別支援学校』から『本人・保護者の意見を最大限尊重し、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を図り、市町村教育委員会が総合的判断で決定する』方式に転換された。就学先の選択肢は①通常学級、②通級指導教室(通常学級に在籍しつつ一部の時間を別室で指導)、③特別支援学級(通常校内の小規模クラス)、④特別支援学校(重度障害児対象、訪問教育も含む)の4つ。重症心身障害児では特別支援学校での訪問教育が選択肢となることも多い。就学相談は入学前年度の早期から始めることが推奨される。
障害児の就学支援における訪問看護師の役割と、就学先決定プロセス(教育委員会への就学相談)を理解しているかを問う問題。
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