川崎病退院後のフォローアップと退院指導
看護師国家試験 第108回 午前 第104問 / 小児看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み問いに答えよ。 Aちゃん1歳6か月、男児は、5日前から発熱し、自宅近くのかかりつけ医に通院していたが解熱せず、昨日から眼球結膜の充血、口唇の発赤と亀裂が出現したため入院した。診察では、体幹の発疹と手足の浮腫もあり、川崎病(Kawasaki disease)および脱水症(dehydration)と診断された。Aちゃんに対し、点滴静脈内注射による脱水症の治療が開始され、左手掌から前腕までシーネで固定された。Aちゃんは機嫌が悪く、両手をバタバタと上下に動かしながら泣いている。左手背の留置針刺入部には、腫脹や発赤はない。 Aちゃんの心臓超音波検査結果では、冠状動脈瘤の所見(coronary artery aneurysm)はなかった。Aちゃんは、全身状態が安定したため退院することになった。 看護師からAちゃんの家族への退院指導で適切なのはどれか。
- 1.運動の制限がある。
- 2.定期受診が必要である。
- 3.水分摂取量の制限がある。
- 4.保育所への通所は2週間禁止する。
対話形式の解説
博士
Aちゃんは急性期を乗り切って、心エコーでも冠動脈瘤なし、退院じゃ。家族への退院指導で最も大切なのはどれじゃと思う?
アユム
冠動脈瘤がなかったなら、もう安心していいのでしょうか?
博士
それがそうともいかんのじゃよ。川崎病で最も注意すべきは冠動脈病変で、急性期になくても発症2〜4週頃に新たに出現することがある。
アユム
それでは定期受診が必要ですね。正解は2ですか?
博士
そのとおり、正解は2じゃ。一般に発症後1か月、2か月、6か月、1年、5年と長期的に心エコーでフォローするのが標準じゃよ。
アユム
症状がなくても検査が必要なんですか?
博士
冠動脈瘤は心筋梗塞を起こすまで無症状のことが多い。子どもの場合、運動中の突然死などで初めて見つかることもあるため、無症状でもフォローが命を守る。
アユム
では1の運動制限はどうでしょう?
博士
冠動脈瘤がない場合は運動制限は不要じゃ。仮に小さな瘤があっても通常運動は許可されることが多く、大きな巨大瘤の場合のみ激しい運動が制限される。
アユム
3の水分制限はどうですか?
博士
川崎病では水分制限はない。むしろ回復期もアスピリンを抗血小板量で数か月継続するから、脱水は血栓リスクを高める。十分な水分摂取が推奨されるんじゃ。
アユム
4の保育所通所2週間禁止は?
博士
川崎病は感染症ではなく、全身性血管炎という自己免疫的な機序で起こる。人にうつらんから学校保健安全法の出席停止の対象外じゃ。体調が戻れば通所可能じゃよ。
アユム
そもそも川崎病の主要症状って何でしたっけ?
博士
5日以上続く発熱、両側眼球結膜充血、口唇・口腔所見、不定形発疹、四肢末端変化、非化膿性頸部リンパ節腫脹の6つじゃ。5項目以上で診断される。
アユム
回復期にはどんな特徴がありますか?
博士
手足の指先から皮膚がむける『膜様落屑』が有名じゃな。これを見て川崎病と後からわかることもある。
アユム
長期フォローが大切だということがよく分かりました。
博士
家族が『治ったから大丈夫』と受診を中断しないよう、看護師がしっかり意義を伝えることが鍵じゃな。
POINT
本問は川崎病回復期の退院指導を問う問題です。冠動脈瘤は急性期になくても経時的に変化しうるため、定期的な心エコーによる長期フォローアップが必須です。冠動脈瘤のない児では運動・水分制限は不要で、川崎病は非感染性疾患のため保育所通所制限もありません。家族が長期受診の意義を理解できるよう看護師が指導することが重要です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:次の文を読み問いに答えよ。 Aちゃん1歳6か月、男児は、5日前から発熱し、自宅近くのかかりつけ医に通院していたが解熱せず、昨日から眼球結膜の充血、口唇の発赤と亀裂が出現したため入院した。診察では、体幹の発疹と手足の浮腫もあり、川崎病(Kawasaki disease)および脱水症(dehydration)と診断された。Aちゃんに対し、点滴静脈内注射による脱水症の治療が開始され、左手掌から前腕までシーネで固定された。Aちゃんは機嫌が悪く、両手をバタバタと上下に動かしながら泣いている。左手背の留置針刺入部には、腫脹や発赤はない。 Aちゃんの心臓超音波検査結果では、冠状動脈瘤の所見(coronary artery aneurysm)はなかった。Aちゃんは、全身状態が安定したため退院することになった。 看護師からAちゃんの家族への退院指導で適切なのはどれか。
解説:正解は 2 です。川崎病の最も重要な合併症は冠動脈瘤であり、これは急性期に所見がなくても亜急性期〜回復期(発症後2〜4週)に新たに出現することや大きさが変化することがあります。心筋梗塞を起こすまで自覚症状に乏しいため、心エコーや心電図による定期的フォローアップが必須です。一般的には発症後1か月、2か月、6か月、1年、5年を目安に経過観察を行い、冠動脈病変の有無と経過をモニタリングします。
選択肢考察
-
× 1. 運動の制限がある。
冠動脈瘤がない場合、通常の運動制限は不要です。大きな冠動脈瘤がある場合のみ激しい運動が制限されます。
-
○ 2. 定期受診が必要である。
急性期後に冠動脈病変が出現・進展することがあるため、心エコーによる長期的なフォローアップが必須です。
-
× 3. 水分摂取量の制限がある。
川崎病では水分制限は必要ありません。むしろアスピリン内服中は脱水予防のため十分な水分摂取が推奨されます。
-
× 4. 保育所への通所は2週間禁止する。
川崎病は非感染性疾患で人にうつらないため、学校保健安全法による出席停止規定の対象外です。
川崎病は4歳以下の乳幼児に好発する全身性血管炎で、主要症状は(1)5日以上続く発熱、(2)両側眼球結膜充血、(3)口唇・口腔所見(いちご舌、口唇亀裂)、(4)不定形発疹、(5)四肢末端変化(急性期の硬性浮腫・紅斑、回復期の膜様落屑)、(6)非化膿性頸部リンパ節腫脹、の6主要症状で構成されます。5項目以上、または4項目+冠動脈病変で診断されます。治療はγ-グロブリン大量療法+アスピリンが標準で、アスピリンは回復期も抗血小板量で継続することがあります。
川崎病回復期の退院指導における長期フォローアップの必要性を問う問題で、冠動脈合併症への理解が鍵です。
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