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学童期の上腕骨顆上骨折と処置前プレパレーション

看護師国家試験 第110回 午前 第103問 / 小児看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

110回 午前 第103問

A君( 7歳、男児)は、サッカークラブに所属している。本日、練習中に転倒して右腕を地面についた後、肘周囲に腫れと強い痛みが生じたため、父親と救急外来を受診した。エックス線撮影の結果、右側の上腕骨顆上骨折( supracondylar fracture of humerus )と診断され、非観血的整復とギプス固定が行われることになった。A君は不安な表情で父親と処置室の前で待っている。 ギプス固定にあたり、A君への看護師の説明で適切なのはどれか。

  1. 1.痛くないことを説明する。
  2. 2.すぐ終わることを説明する。
  3. 3.ギプスが乾くときに冷たくなると説明する。
  4. 4.ギプスに使うものを見せながら説明する。

対話形式の解説

博士 博士

A君は7歳でサッカー中に転倒して上腕骨顆上骨折したのじゃ。この骨折、小児でよくあると知っておるかな?

サクラ サクラ

はい、小児の肘関節周囲骨折で最も多いと学びました。

博士 博士

その通り。フォークやナイフの形に似た骨折線を示すこともあり、フォルクマン拘縮など合併症にも注意が必要じゃ。

サクラ サクラ

処置前のA君は不安な表情ですね。

博士 博士

ここで大切なのがプレパレーションじゃ。子どもに処置の内容を発達に合わせて伝える心理的支援のことじゃよ。

サクラ サクラ

7歳は具体的操作期なので、実物を使った説明が向いていますね。

博士 博士

うむ、選択肢4の『使うものを見せながら説明する』が正解となる根拠じゃ。

サクラ サクラ

選択肢1の『痛くない』と伝えるのはどうですか?

博士 博士

嘘じゃな。整復やギプス巻きは痛みを伴う。嘘は信頼を損ねるのじゃ。

サクラ サクラ

選択肢2の『すぐ終わる』も同じですね。

博士 博士

そうじゃ、時間感覚は曖昧になりやすいし、実際には整復とギプス硬化で時間がかかる。

サクラ サクラ

選択肢3のギプスが冷たくなるというのは?

博士 博士

これは逆じゃ。石膏ギプスもグラスファイバーギプスも硬化時に発熱して温かくなるのじゃ。

サクラ サクラ

熱感があることも先に伝えてあげると驚かずに済みますね。

博士 博士

その通り。『少し温かく感じるよ』と事前に伝えると安心につながる。

サクラ サクラ

泣いてもいいと伝えることも大切ですよね。

博士 博士

良いぞ。協力できることを示すと子どもは主体的に参加しやすくなるのじゃ。

POINT

本問は小児のプレパレーションを問う問題です。学童期の子には具体物を見せての説明が効果的で、痛みや時間について事実と異なる説明は信頼を損ねます。ギプスは硬化時に発熱するため冷たくなるは誤りです。正解は4で、プレパレーションの基本は嘘をつかず発達に合わせた情報提供であることを押さえましょう。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:A君( 7歳、男児)は、サッカークラブに所属している。本日、練習中に転倒して右腕を地面についた後、肘周囲に腫れと強い痛みが生じたため、父親と救急外来を受診した。エックス線撮影の結果、右側の上腕骨顆上骨折( supracondylar fracture of humerus )と診断され、非観血的整復とギプス固定が行われることになった。A君は不安な表情で父親と処置室の前で待っている。 ギプス固定にあたり、A君への看護師の説明で適切なのはどれか。

解説:正解は4です。学童期の子どもには、これから何をどのように行うのかを具体的に示すことで不安が軽減されます。ギプス材料や包帯、巻く道具などを実際に見せながら分かる言葉で説明するプレパレーションは、心の準備を助け、処置への主体的な協力を引き出します。学童期の発達段階に即した援助です。

選択肢考察

  1. × 1.  痛くないことを説明する。

    整復やギプス巻きの際には痛みや圧迫感を伴います。『痛くない』と嘘をつくと、実際に痛みを感じたときに子どもの信頼を損ね、以後の処置に対する恐怖を強めます。

  2. × 2.  すぐ終わることを説明する。

    整復とギプス固定は整復の難易度やギプスの硬化時間により数十分を要することも多く、『すぐ終わる』と伝えると実際の経過と食い違い、信頼を失うことにつながります。

  3. × 3.  ギプスが乾くときに冷たくなると説明する。

    ギプス(一般的な石膏ギプスやグラスファイバーギプス)は硬化する際に発熱反応によって温かく感じます。冷たくなるという説明は事実と異なります。

  4. 4.  ギプスに使うものを見せながら説明する。

    使用する物品を実際に見せながら段階を追って説明することで、未知の恐怖が軽減し心の準備が整います。プレパレーションとして適切な方法です。

プレパレーションは発達段階に合わせた情報提供による心理的準備で、学童期ではピアジェの具体的操作期にあたるため具体物を用いた説明が効果的です。処置の流れ、感覚(音・熱・締めつけ感)、子どもが協力できること(じっとする、泣いてよい)を事実に基づいて伝え、嘘をつかないことが原則です。

小児の処置前支援としてのプレパレーションの意義と、正直な情報提供の重要性を問う問題です。