扁桃摘出術後の出血、どう見つける?唾液の色がサインに
看護師国家試験 第109回 午後 第105問 / 小児看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aちゃん( 7 歳、女児、小学 1 年生)は、3 歳ころから夜間就寝中や保育所の昼寝の時に時々いびきがあり、保育所の友達に「Aちゃんがうるさくて眠れない」と言われた。母親が心配してAちゃんを小児科外来に連れて行った。その後、Aちゃんは外来で経過観察されてきたが、今年の 4 月から 7 月までの間に、急性扁桃炎( acute tonsillitis )を 3 回起こしていることや、睡眠時無呼吸がみられるようになったことから、8 月中に扁桃腺摘出術を受けることになった。 手術後 1 日。 看護師が行うAちゃんの術後出血の観察方法で適切なのはどれか。
- 1.口を開けて手術創を観察する。
- 2.唾液の色を観察する。
- 3.便の色を観察する。
- 4.脈拍数を測定する。
対話形式の解説
博士
今日は扁桃摘出術後の出血観察の問題じゃ。Aちゃんの術後1日目、何を見るべきかを考えよう。
サクラ
扁桃摘出術ってよく行われる手術ですが、合併症の中で特に怖いのは?
博士
最大の合併症は後出血じゃ。術中止血していても、術後に再出血することがある。
サクラ
どのくらいの頻度で起きるんですか?
博士
全体の2〜5%程度じゃ。小児は循環血液量が少ないため、少量の出血でもショックに至ることがある。
サクラ
いつ起きやすいんですか?
博士
2つの山がある。術後24時間以内の一次性出血と、術後5〜10日頃の二次性出血じゃ。二次性は痂皮、つまりカサブタが剥がれる時期に起こる。
サクラ
つまり退院後にも出血リスクがあるんですね。
博士
そうじゃ。家族への退院指導でも大事じゃ。さて、入院中の観察方法を考えよう。
サクラ
選択肢1の「口を開けて創を観察」はどうでしょう?
博士
医師が光源と舌圧子を使って診察するなら別じゃが、看護師が日常的にやるには難しい。開口は痛いし、7歳児の協力も得にくい。
サクラ
便の色を見るのは?
博士
飲み込んだ血液が消化管を通ってタール便になるには数日かかる。それを待っていたら出血が進行しておる。
サクラ
脈拍はどうですか?出血すると頻脈になりますよね。
博士
出血性ショックの徴候として頻脈は出るが、遅いのじゃ。循環血液量が15%くらい失われないと変化が明確にならん。それに痛みや不安でも頻脈になる。
サクラ
じゃあ唾液の色ですね。確かに口腔内の出血は唾液に混じりますね。
博士
その通り。鮮紅色の唾液、血塊、口から吐き出すものに血液が混じる。これらは早期のサインじゃ。
サクラ
他に見落としやすいサインはありますか?
博士
小児で特に注意すべきは「頻回の嚥下動作」じゃ。口から出さず無意識に飲み込んでしまうことがある。ゴクゴク飲み込む動作が続いたら、咽頭で出血しているかもしれん。
サクラ
なるほど、子どもは出血を隠してしまうこともあるんですね。
博士
さらに、顔面蒼白、冷汗、活気低下、血圧低下などもショックの進行で現れる。
サクラ
退院後の家族指導ではどう伝えますか?
博士
鮮血の吐出、唾液の血性変化、顔色不良があれば直ちに受診するよう指導する。痂皮脱落期の出血リスクを伝えておくのが大事じゃ。
POINT
扁桃摘出術後の最大の合併症は後出血で、術後24時間以内と術後5〜10日目の痂皮脱落期に好発します。創部は口腔内で直接視認が難しく、出血は唾液に混じって現れるため、唾液の色を継続的に観察することが早期発見に最も有効です。便色変化やバイタルサインの異常は遅発所見で早期発見には不向きであり、創部の直接観察は患児の負担が大きく医師の診察時に行うべきものです。家族への退院指導では痂皮脱落期の再出血リスクを伝え、頻回嚥下、鮮血吐出、顔色不良などが見られた場合は直ちに受診するよう教育することが重要です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aちゃん( 7 歳、女児、小学 1 年生)は、3 歳ころから夜間就寝中や保育所の昼寝の時に時々いびきがあり、保育所の友達に「Aちゃんがうるさくて眠れない」と言われた。母親が心配してAちゃんを小児科外来に連れて行った。その後、Aちゃんは外来で経過観察されてきたが、今年の 4 月から 7 月までの間に、急性扁桃炎( acute tonsillitis )を 3 回起こしていることや、睡眠時無呼吸がみられるようになったことから、8 月中に扁桃腺摘出術を受けることになった。 手術後 1 日。 看護師が行うAちゃんの術後出血の観察方法で適切なのはどれか。
解説:正解は 2 です。扁桃摘出術後は創部からの後出血が最も重要な合併症で、術後24時間以内(一次性出血)と術後5〜10日頃(二次性出血、痂皮脱落期)に好発する。創部は口腔内で直接視認が難しく、出血は唾液に混じって現れるため、唾液の色(鮮紅色、暗赤色、凝血塊混入など)を継続的に観察することが最も実用的かつ早期発見につながる方法である。
選択肢考察
-
× 1. 口を開けて手術創を観察する。
術後の開口は強い疼痛を伴い、7歳児の協力は得にくい。加えて咽頭奥は照明と圧子がないと視認できず、医師の回診時に行う評価であって、日常の継続観察には適さない。
-
○ 2. 唾液の色を観察する。
術後出血は唾液や喀出物の色に現れやすく、鮮紅色や血塊の混入があれば後出血のサインとなる。患児への負担が少なく継続的に観察でき、早期発見に最も適した方法である。
-
× 3. 便の色を観察する。
飲み込んだ血液が便(タール便)として現れるには数日要し、早期発見には不向き。便色の変化を待つ頃には既に相当量の出血が生じている可能性がある。
-
× 4. 脈拍数を測定する。
頻脈は循環血液量減少が進んでから現れる遅発的な所見であり、発熱・疼痛・不安でも変動する。出血の早期発見指標としては感度・特異度ともに不十分である。
扁桃摘出術後出血は全体の2〜5%に生じ、小児の場合、出血量が循環血液量に与える影響が大きく重篤化しやすい。一次性出血は術後24時間以内、二次性出血は痂皮(カサブタ)が脱落する術後5〜10日に好発する。観察ポイントは、頻回な嚥下動作(無意識に飲み込んでいる徴候)、鮮血の吐出、唾液の血性変化、顔面蒼白、頻脈、血圧低下など。家族には退院後も出血時は直ちに受診するよう指導する。
扁桃摘出術後の後出血を早期に発見するための、非侵襲的・継続的な観察手段を選ぶ問題。
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