先天性食道閉鎖症、出生直後の手がかりは?
看護師国家試験 第113回 午前 第103問 / 小児看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aちゃんは出生前診断で羊水過多があり先天性食道閉鎖症(congenital esophageal atresia)の疑いを指摘されていた。在胎37週5日に帝王切開で出生、出生体重2,780g、Apgar(アプガー)スコア1分後8点、5分後9点である。出生後、Aちゃんは先天性食道閉鎖症(congenital esophageal atresia)と診断された。 出生直後のAちゃんにみられるのはどれか。
- 1.腹部エックス線写真の鏡面像
- 2.口腔内の泡沫状唾液の流出
- 3.胆汁性の嘔吐
- 4.噴水状の嘔吐
対話形式の解説
博士
Aちゃんは出生前診断で羊水過多があり食道閉鎖症の疑い。出生直後にみられる所見はどれじゃ?
サクラ
腹部X線の鏡面像、泡沫状唾液、胆汁性嘔吐、噴水状嘔吐の4つですね。
博士
まず病態を確認。食道閉鎖とはどういう状態じゃ?
サクラ
食道が途中で盲端になっていて、胃までつながっていない状態です。
博士
Gross分類で最多は何型?
サクラ
C型で全体の約85%。上部が盲端、下部が気管と瘻孔を作ります。
博士
そのとおり。では唾液はどうなる?
サクラ
飲み込んでも胃に届かず口腔と咽頭にたまり、泡のように口元から流れ出ます。
博士
これが『泡沫状唾液の流出』じゃな。出生前診断の羊水過多とも整合する?
サクラ
胎児が羊水を嚥下できないので羊水過多になりますね。
博士
鏡面像はどんな所見じゃ?
サクラ
腸閉塞で気液面が水平に見えるニボー像です。食道閉鎖の代表所見ではありません。
博士
胆汁性嘔吐は?
サクラ
Treitz靱帯より下の閉塞で生じるので、食道閉鎖では起きません。
博士
噴水状嘔吐は?
サクラ
生後2〜8週の肥厚性幽門狭窄症の特徴で、新生児期直後ではありません。
博士
胃管を挿入するとどうなる?
サクラ
盲端で止まり先端が胸部で反転するコイルアップサインが見えます。
博士
誤嚥予防のため上部盲端に持続吸引を入れ、上体を挙上して管理しよう。
POINT
先天性食道閉鎖症は食道が盲端となる奇形で、Gross分類C型が最多です。出生前は羊水過多、出生後は口腔内の泡沫状唾液の流出が古典的所見で、胃管のコイルアップサインで確定診断します。鏡面像は腸閉塞、胆汁性嘔吐は下位の腸閉塞、噴水状嘔吐は肥厚性幽門狭窄症の所見でいずれも本症とは異なります。誤嚥性肺炎予防の持続吸引と上体挙上、新生児期の食道吻合術までの管理が重要です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aちゃんは出生前診断で羊水過多があり先天性食道閉鎖症(congenital esophageal atresia)の疑いを指摘されていた。在胎37週5日に帝王切開で出生、出生体重2,780g、Apgar(アプガー)スコア1分後8点、5分後9点である。出生後、Aちゃんは先天性食道閉鎖症(congenital esophageal atresia)と診断された。 出生直後のAちゃんにみられるのはどれか。
解説:正解は2の口腔内の泡沫状唾液の流出です。先天性食道閉鎖症では食道が盲端となり唾液が胃へ送られないため、口腔内・咽頭に唾液が貯留し泡沫(あわ)状となって口元から流れ出ます。出生直後の『口からあぶくを吹く』所見は本症を強く疑わせる古典的徴候です。
選択肢考察
-
× 1. 腹部エックス線写真の鏡面像
鏡面像(ニボー像)は腸閉塞で腸管内に気液面が形成される所見です。食道閉鎖のGross分類C型では下部食道瘻から胃へ空気が入りガス像が見られますが、腸閉塞特有の鏡面像ではなく、出生直後の代表的所見でもありません。
-
○ 2. 口腔内の泡沫状唾液の流出
正解です。食道盲端のため唾液が下降せず口腔に貯留・流出します。出生直後からみられ、胃管が挿入できず先端が胸部で反転するコイルアップサインとあわせて確定診断につながります。
-
× 3. 胆汁性の嘔吐
胆汁性嘔吐はTreitz靱帯より下位の腸閉塞で生じる所見で、十二指腸閉鎖や中腸軸捻転などで見られます。食道閉鎖では食物・胃液が胃を通過しないため、このような嘔吐は起こりません。
-
× 4. 噴水状の嘔吐
噴水状嘔吐は生後2〜8週の乳児にみられる肥厚性幽門狭窄症の典型症状です。出生直後の新生児には通常みられず、食道閉鎖とも関連しません。
先天性食道閉鎖症はGross分類でA〜E型に分けられ、最多はC型(食道上部が盲端、下部が気管と瘻孔形成)で約85%を占めます。出生前診断では羊水過多と胃胞陰影の欠如が手がかりです。出生後は泡沫状唾液、咳嗽・チアノーゼ、胃管のコイルアップ徴候で診断し、誤嚥性肺炎を予防するため食道盲端へのダブルルーメン管による持続吸引と上体挙上で管理します。根治術は新生児期の食道吻合術が標準です。
先天性食道閉鎖症の出生直後の特徴的所見を選べるかを問う設問です。食道が盲端となる解剖学的病態から症状を導く力が鍵です。
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