SSRI開始1週、増える確認行為への第一声
看護師国家試験 第113回 午後 第112問 / 精神看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(24歳、女性)は大学卒業後、一般企業に就職したが、何度も自宅の鍵を閉めたかどうかを確認するため、遅刻を繰り返した。連絡せずに複数回の遅刻があったことを上司のBさんから強く注意され、うつ状態となったため精神科外来を受診したところ、強迫性障害(obsessive−compulsive disorder)と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬<SSRI>が処方された。 内服を始めて1週後、Aさんは看護師に「鍵を閉めたかどうかの確認が増え、睡眠時間が減ってつらい」と訴えている。 看護師の声かけで適切なのはどれか。
- 1.「主治医に薬の変更を相談しましょう」
- 2.「睡眠状況を具体的に教えてください」
- 3.「Bさんに別の部署に異動したいと伝えてみましょう」
- 4.「鍵を閉めたかどうか気になるときは別のことを考えましょう」
対話形式の解説
博士
Aさんは内服1週目で「確認が増えて睡眠時間が減った」と訴えておる。さて、どう返そうか
アユム
つらそうなので、すぐ主治医に薬の変更を相談しましょうと言いたくなります
博士
気持ちはわかるが、SSRIは効果発現まで数週間、強迫性障害では8〜12週かかることもあるぞ
アユム
1週目で変更というのは早すぎるんですね
博士
そうじゃ。まず何をすべきか
アユム
睡眠状況を具体的に聞くことですね。何時間眠れているか、いつ目が覚めるか
博士
正解じゃ。アセスメントが先で、情報が揃ってから介入を考えるのが看護の原則じゃ
アユム
SSRI開始初期は副作用も気になります
博士
そうじゃ、アクティベーション症候群じゃな。不安焦燥、不眠、衝動性、若年では自殺念慮にも注意じゃ
アユム
この時期の不眠が副作用なのか強迫症状の増悪なのかで対応も変わりますね
博士
その通り。だからこそ具体的聴取が鍵になる
アユム
「別のことを考えましょう」はどうでしょう
博士
それは強迫観念の本質を理解しておらん言葉じゃ。意志で払拭できんから苦痛なのじゃ
アユム
「異動しましょう」もAさんの意向ではないですね
博士
うむ、患者が望まない職場介入を提案するのは行き過ぎじゃ
アユム
まずは傾聴と具体的聴取、次にアセスメント、それから主治医と連携する流れですね
博士
その通り、アセスメントなき介入は失敗のもとじゃよ
アユム
Aさんの言葉を丁寧に受けとめながら、情報を整理していこうと思います
POINT
強迫性障害に対するSSRIは効果発現まで8〜12週を要することもあり、初期1〜2週は不安増強や不眠などのアクティベーション症候群が出現しやすい時期です。不眠の原因が強迫症状の増悪か副作用かを判別するには、具体的な睡眠パターンと苦痛の聴取が不可欠です。安易な薬剤変更の促しや症状軽視の声かけは信頼関係を損ないます。情報収集を優先し、主治医と連携する基本的看護プロセスの理解が問われた問題でした。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(24歳、女性)は大学卒業後、一般企業に就職したが、何度も自宅の鍵を閉めたかどうかを確認するため、遅刻を繰り返した。連絡せずに複数回の遅刻があったことを上司のBさんから強く注意され、うつ状態となったため精神科外来を受診したところ、強迫性障害(obsessive−compulsive disorder)と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬<SSRI>が処方された。 内服を始めて1週後、Aさんは看護師に「鍵を閉めたかどうかの確認が増え、睡眠時間が減ってつらい」と訴えている。 看護師の声かけで適切なのはどれか。
解説:正解は 2 です。SSRI開始後1〜2週は不安増強や不眠などのアクティベーション症候群や副作用が出現しやすい時期です。まずはAさんの睡眠状況を具体的に聴取し、苦痛の程度と背景を客観的に把握することが、主治医への的確な情報提供や看護計画の修正につながります。
選択肢考察
-
× 1. 「主治医に薬の変更を相談しましょう」
SSRIの効果発現には数週間を要し、1週の時点で薬剤変更を促すのは早計です。情報収集をせずに判断を医師へ委ねる前に、まず具体的な状況把握が先行します。
-
○ 2. 「睡眠状況を具体的に教えてください」
「確認が増え睡眠時間が減った」という訴えの実態を具体的に聞き取ることで、不眠の原因(強迫症状の増悪か副作用か)、苦痛の程度、緊急性をアセスメントでき、次の支援につなげられます。
-
× 3. 「Bさんに別の部署に異動したいと伝えてみましょう」
Aさんは異動を希望していません。発症の背景として上司との関係があるとはいえ、現時点で患者の意向を超えた職場調整を提案するのは不適切です。
-
× 4. 「鍵を閉めたかどうか気になるときは別のことを考えましょう」
強迫観念は意志で払拭できないからこそ苦痛となります。「別のことを考えましょう」は症状を軽視し、患者の自責感を強める不適切な声かけです。
SSRI開始初期(1〜2週)にみられるアクティベーション症候群には、不安・焦燥・不眠・衝動性亢進などがあり、若年者では特に注意が必要です。強迫性障害に対するSSRIは効果発現までうつ病より長く、8〜12週かかることもあります。初期の副作用評価には、睡眠・食欲・不安レベル・自殺念慮の有無を系統的に聴取します。
SSRI開始1週目の強迫症状増悪と不眠の訴えに対し、情報収集を優先する看護アセスメントの原則を理解しているかが問われています。
「状況設定問題」の関連記事
-
処方薬がいつしか「快感の道具」に…乱用と急性中毒はどう違う?
処方薬を陶酔目的で逸脱使用し社会生活に支障が出ている状態を、急性中毒・拘禁反応・乱用・フラッシュバックのどれ…
114回
-
入院でぴたりと薬を止めたら…48〜72時間に襲う離脱症候群の正体
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の長期大量服用者が急に断薬された際、48〜72時間に出現しやすい症状を問う問題。離脱症…
114回
-
ひとりで抱え込まないために—依存症回復を支えるセルフヘルプグループ
物質使用障害の回復期にある若年女性に勧める社会資源を問う問題。「1人暮らし+復学」という生活希望に合致し、依存…
114回
-
精神看護のセルフケア6項目で「いま何が一番大事?」を見抜く
Underwoodのセルフケア6領域に基づき、入院急性期の統合失調症患者で最も優先される観察項目を選ぶ。昼夜逆転を伴う…
114回
-
SSRIの飲み始めに襲う「吐き気」の正体—自己中断を防ぐ服薬指導
うつ病急性期の高齢患者と家族へのSSRI服薬指導の要点を問う問題。初期消化器症状の事前説明によって自己中断を防ぐ…
114回