StudyNurse

「確認を減らしたい」を支える一歩

看護師国家試験 第113回 午後 第114問 / 精神看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

113回 午後 第114問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(24歳、女性)は大学卒業後、一般企業に就職したが、何度も自宅の鍵を閉めたかどうかを確認するため、遅刻を繰り返した。連絡せずに複数回の遅刻があったことを上司のBさんから強く注意され、うつ状態となったため精神科外来を受診したところ、強迫性障害(obsessive−compulsive disorder)と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬<SSRI>が処方された。 選択的セロトニン再取り込み阻害薬<SSRI>の内服を始めてから2か月が経過し、Aさんは外出中に鍵を閉め忘れたかもしれないという考えが強くなり、外出から予定より早く帰宅することがある。Aさんは「鍵を閉め忘れていないかの確認を減らしたい」と看護師に相談した。 Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。

  1. 1.外出を控えるよう助言する。
  2. 2.外出するときは誰かに付き添ってもらうよう提案する。
  3. 3.鍵の閉め忘れが気になる理由を考えてみるよう伝える。
  4. 4.鍵の閉め忘れが特に気になるときの前後の状況を振り返るよう促す。

対話形式の解説

博士 博士

SSRI開始から2か月、Aさん自ら「確認を減らしたい」と言ってきた。学生くん、この意欲をどう生かす

アユム アユム

せっかくの動機づけなので、具体的な行動につなげたいです

博士 博士

うむ、治療の第一歩として何を提案する

アユム アユム

外出を控えるのはどうでしょう?引き金を減らせば楽になりそうですが

博士 博士

それは回避行動の強化じゃ。社会生活が狭まり症状は慢性化するぞ

アユム アユム

付き添いは

博士 博士

安心供与で巻き込みになる。家族心理教育の話と同じじゃな

アユム アユム

では「気になる理由を考える」はどうですか

博士 博士

強迫観念の理由を深掘りしても明確な答えは出ず、かえって反芻が強まる恐れがある

アユム アユム

残るは「前後の状況を振り返る」ですね

博士 博士

正解じゃ。セルフモニタリングが認知行動療法の出発点なのじゃ

アユム アユム

いつ、どこで、何をきっかけに強迫観念が強まるかを記録するのですね

博士 博士

そうじゃ。パターンが見えれば、暴露反応妨害法につなげられる

アユム アユム

ERPは不安場面にあえてとどまり、確認をしないことで不安が自然に減衰する体験を積む治療ですよね

博士 博士

よう覚えておった。そして回避や安心供与は治療の妨げになる

アユム アユム

Aさんの主体性を生かしつつ、記録から一緒に分析する関わりが大切なんですね

博士 博士

その通り、看護師は伴走者として、記録の振り返りを一緒に行う

アユム アユム

無理なく続けられる記録方法を提案しながら支援したいと思います

POINT

強迫性障害の認知行動療法は、心理教育、セルフモニタリング、暴露反応妨害法、認知再構成という段階を踏みます。患者自身が「減らしたい」と表明した動機づけを生かすには、まず状況の客観視から始めるのが王道です。外出回避や付き添いは回避行動・安心供与として症状を維持させ、理由探しは反芻を強める恐れがあります。前後の状況を振り返るセルフモニタリングは、患者の主体性を尊重しつつ治療的介入の基盤を築く対応として最適です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(24歳、女性)は大学卒業後、一般企業に就職したが、何度も自宅の鍵を閉めたかどうかを確認するため、遅刻を繰り返した。連絡せずに複数回の遅刻があったことを上司のBさんから強く注意され、うつ状態となったため精神科外来を受診したところ、強迫性障害(obsessive−compulsive disorder)と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬<SSRI>が処方された。 選択的セロトニン再取り込み阻害薬<SSRI>の内服を始めてから2か月が経過し、Aさんは外出中に鍵を閉め忘れたかもしれないという考えが強くなり、外出から予定より早く帰宅することがある。Aさんは「鍵を閉め忘れていないかの確認を減らしたい」と看護師に相談した。 Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。強迫行為を減らしたいという動機づけがあるAさんに対しては、まず症状が強まる状況を客観視するセルフモニタリングから始めるのが適切です。前後の状況を振り返ることで引き金や回避パターンが可視化され、認知行動療法や暴露反応妨害法の基盤となります。

選択肢考察

  1. × 1.  外出を控えるよう助言する。

    外出回避は一時的に不安を下げますが、回避行動の強化につながり症状を慢性化させます。社会生活の縮小も招き、治療方針に反します。

  2. × 2.  外出するときは誰かに付き添ってもらうよう提案する。

    付き添いは安心供与となり、家族の巻き込みを助長します。Aさんの自立的な対処を妨げ、強迫行為を維持させる要因になります。

  3. × 3.  鍵の閉め忘れが気になる理由を考えてみるよう伝える。

    強迫観念の「理由」を探っても明確な答えは得られにくく、反芻を強める恐れがあります。内容より、状況と行動のパターン分析が治療的です。

  4. 4.  鍵の閉め忘れが特に気になるときの前後の状況を振り返るよう促す。

    どのような状況で強迫観念が強まるかを記録するセルフモニタリングは、認知行動療法と暴露反応妨害法の基本ステップです。Aさんの主体性を尊重した治療的アプローチといえます。

強迫性障害の認知行動療法は、心理教育→セルフモニタリング→暴露反応妨害法(ERP)→認知再構成の流れで進みます。ERPでは、不安を喚起する状況にあえて身を置き、確認などの強迫行為を行わないことで、不安が自然に減衰する体験を積み重ねます。回避や安心供与(家族の代行)は治療の妨げとなります。

強迫行為を減らしたいという患者の主体的な動機を生かし、認知行動療法的アプローチの第一歩を選べるかが問われています。