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通い・訪問・泊まりを1つの事業所で—小規模多機能型居宅介護の魅力

看護師国家試験 第114回 午後 第117問 / 精神看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第117問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(65歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。友人の死去後、食事量が減り、1か月前から気分の落ち込みが強くなった。夫が積極的に散歩に誘っても、Aさんは「体がだるい」「何をしても意味がない」と話し、寝つきも悪くなり、日中ほとんどの時間を臥床して過ごすようになった。心配した夫に連れられて精神科外来を受診したところ、うつ病(depression)と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬<SSRI>と不眠時の睡眠薬が処方された。夫から精神科外来の看護師に「日常生活で気を付けることはありますか」と質問があった。 Aさんは要介護2の認定を受け、介護サービスを検討することになった。体調が良いときは、夫の料理を手伝ったり散歩に出かけている。排泄や着替えは時間をかけて1人で行えるが、入浴は夫の介助が必要である。夫は「入浴のサポートを受けたり、自分が不在のときに泊まれる場所はないか」と話している。外来看護師がAさんの希望を聞くと「人が多い場所は苦手です。家の近くで好きなときに通えたり、家に来てもらえると安心です」と話した。 Aさんに紹介するサービスで適切なのはどれか。

  1. 1.小規模多機能型居宅介護
  2. 2.認知症対応型通所介護
  3. 3.自立訓練
  4. 4.療養介護

対話形式の解説

博士 博士

今日は介護保険サービスの中でもよく出題される「小規模多機能型居宅介護」の話じゃ。略して「小多機」と呼ばれることもある。

サクラ サクラ

Aさん夫婦の希望が「通いたい・家にも来てほしい・夫不在のときは泊まりたい」と全部入りで、どう選ぶか迷いますね。

博士 博士

そこで威力を発揮するのが小規模多機能型居宅介護じゃ。1つの事業所で「通い・訪問・泊まり」を柔軟に組み合わせて使える地域密着型サービスじゃよ。

サクラ サクラ

それぞれ別契約せずに済むんですか?

博士 博士

その通り。月額定額制で登録すれば、その月の中でケアプランに沿って通いも訪問も泊まりも自由に組み合わせ可能じゃ。

サクラ サクラ

それは便利ですね。料金はどうなりますか?

博士 博士

要介護度別の月額包括報酬じゃ。回数を増やしても基本料金は一定なので、家族の状況変化にも対応しやすい。

サクラ サクラ

登録定員はあるんですか?

博士 博士

登録定員は29名以下、通いの定員は1日18名以下、泊まりは9名以下と小規模に設定されておる。だから「人が多い場所は苦手」というAさんにも安心じゃ。

サクラ サクラ

同じスタッフが対応してくれるのも安心ですね。

博士 博士

そうじゃ。顔なじみケアが特徴で、認知症や不安が強い人にとっては大きな利点じゃ。

サクラ サクラ

選択肢2の認知症対応型通所介護との違いは?

博士 博士

認知症対応型通所介護は通いだけ。訪問や泊まりはない。今回の希望には足りないし、集団活動が中心で「人の多い場所が苦手」とも合わない。

サクラ サクラ

選択肢3の自立訓練は?

博士 博士

これは障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスで、介護保険ではない。Aさんは要介護2の認定を受けておるから対象外じゃ。

サクラ サクラ

選択肢4の療養介護は…名前から重そうですね。

博士 博士

その通り。常時医療的ケアが必要な重度障害者の入所施設サービスじゃ。在宅で過ごせるAさんには合わない。

サクラ サクラ

関連で「看護小規模多機能型居宅介護」って聞いたことがありますが?

博士 博士

通称「看多機(かんたき)」じゃ。小多機の3機能に「訪問看護」をプラスしたサービスで、医療ニーズが高い人向け。痰吸引や点滴管理が必要な人にも在宅生活を支えられるのじゃ。

サクラ サクラ

地域密着型って、別の市町村の住民は使えないんですよね?

博士 博士

原則として事業所所在地の市町村住民が対象じゃ。「住み慣れた地域で暮らし続ける」という地域包括ケアの理念に基づいておる。

サクラ サクラ

Aさん夫婦には小多機がぴったりですね。

博士 博士

うむ。1つの相談窓口で柔軟に組み合わせられ、夫の介護負担軽減と本人の安心感を同時に達成できるサービスじゃ。

POINT

小規模多機能型居宅介護は、介護保険の地域密着型サービスの1つで、1つの事業所が「通い」「訪問」「泊まり」を柔軟に組み合わせて提供します。月額定額制・登録定員29名以下・顔なじみのスタッフによるケアが特徴で、Aさん夫婦の「家の近くで好きなときに通いたい・家にも来てほしい・夫不在時に泊まりたい」というすべての希望を1つの窓口で実現できます。認知症対応型通所介護は通いのみ、自立訓練と療養介護は障害福祉サービスでありいずれも本ケースには適しません。地域密着型サービスは住み慣れた地域での生活継続を支える地域包括ケアの中核であり、医療ニーズが高い場合は看護小規模多機能型居宅介護も選択肢となります。看護師は患者・家族の希望と利用条件を整理しながら最適な資源につなぐ役割を担います。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(65歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。友人の死去後、食事量が減り、1か月前から気分の落ち込みが強くなった。夫が積極的に散歩に誘っても、Aさんは「体がだるい」「何をしても意味がない」と話し、寝つきも悪くなり、日中ほとんどの時間を臥床して過ごすようになった。心配した夫に連れられて精神科外来を受診したところ、うつ病(depression)と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬<SSRI>と不眠時の睡眠薬が処方された。夫から精神科外来の看護師に「日常生活で気を付けることはありますか」と質問があった。 Aさんは要介護2の認定を受け、介護サービスを検討することになった。体調が良いときは、夫の料理を手伝ったり散歩に出かけている。排泄や着替えは時間をかけて1人で行えるが、入浴は夫の介助が必要である。夫は「入浴のサポートを受けたり、自分が不在のときに泊まれる場所はないか」と話している。外来看護師がAさんの希望を聞くと「人が多い場所は苦手です。家の近くで好きなときに通えたり、家に来てもらえると安心です」と話した。 Aさんに紹介するサービスで適切なのはどれか。

解説:正解は 1 です。小規模多機能型居宅介護は、介護保険の地域密着型サービスの1つで、1つの事業所が「通い(デイサービス)」「訪問(ホームヘルプ)」「泊まり(ショートステイ)」の3形態のサービスを利用者の状況や希望に応じて柔軟に組み合わせて提供する仕組みです。月額定額制で、登録定員も29名以下と小規模であり、いつも同じ顔なじみのスタッフが対応する点が大きな特徴です。「家の近くで好きなときに通いたい」「家にも来てほしい」というAさんの希望と、「入浴介助・夫不在時の泊まり」という夫の希望、どちらも1つの事業所で叶えられるため、本ケースに最適なサービスといえます。

選択肢考察

  1. 1.  小規模多機能型居宅介護

    通い・訪問・泊まりを同一事業所で柔軟に組み合わせ、登録定員29名以下の小規模・顔なじみケアが特徴。Aさん夫婦の「家近く・少人数・通い訪問泊まり全部使いたい」というニーズに完全に合致する。

  2. × 2.  認知症対応型通所介護

    認知症の診断を受けた人を対象とした通所サービスで、訪問や泊まりは含まれない。夫不在時の泊まりという要望に応えられず、また施設での集団活動が中心となるため「人の多い場所が苦手」というAさんの希望とも合いにくい。

  3. × 3.  自立訓練

    障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスで、身体機能や生活能力向上のための訓練を提供する。介護保険の対象であるAさんが利用するサービスではない。

  4. × 4.  療養介護

    医療機関での常時医療的ケアを必要とする重度障害者向けの障害福祉サービス。在宅生活を継続するAさんには適さない。

小規模多機能型居宅介護は2006年(平成18年)の介護保険法改正で創設された地域密着型サービスで、市町村が指定・監督する。同様の仕組みに「看護小規模多機能型居宅介護(看多機)」があり、こちらは通い・訪問・泊まりに加えて訪問看護も統合提供できるため、医療ニーズの高い利用者に適する。地域密着型サービスは原則としてその市町村の住民しか利用できず、住み慣れた地域で生活を続けるための仕組みとして整備されている。

在宅で複数の介護ニーズ(通い・訪問・泊まり)を一括して柔軟に利用したい高齢者に勧めるサービスを選ぶ問題。介護保険の地域密着型サービスの特徴を理解しているかが要点となる。