PCI後の退院指導
看護師国家試験 第103回 午後 第93問(状況設定問題)
国試問題にチャレンジ
状況設定
Aさん(48歳、男性、会社員)は、8年前から高血圧症(hypertension)、脂質異常症(dyslipidemia)および労作性狭心症(angina of effort)に対して内服治療をしていた。胸部絞扼感が時々出現するため、経皮的冠動脈形成術〈PCI〉を実施することになった。Aさんは身長165cm、体重80kgである。午前9時過ぎから左橈骨動脈を穿刺し、狭窄部位である左冠状動脈にステント留置術が行われ、午前11時ころに終了した。
術後3日に退院することになった。 Aさんに対する退院指導の内容として適切なのはどれか。
- 1.「職場復帰は2週間後からにしましょう」
- 2.「3か月後の目標体重を65kgにしましょう」
- 3.「狭心症(angina pectoris)の症状が再度現れる可能性があります」
- 4.「退院後に穿刺部から出血する危険性があります」
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
PCI後の退院指導において、再狭窄や冠動脈疾患の自然経過を踏まえた患者教育の要点を理解しているかが問われています。
解答・解説
正解は3です
問題文:術後3日に退院することになった。 Aさんに対する退院指導の内容として適切なのはどれか。
解説:正解は3です。PCIで冠動脈狭窄を拡張しても、ステント内再狭窄や別部位の動脈硬化進行により狭心症症状が再び現れる可能性があります。Aさんは高血圧症・脂質異常症の基礎疾患があり、BMI29.3と肥満1度に該当するなど冠動脈疾患のリスク因子を多く抱えています。再狭窄や新規病変による胸部絞扼感の再発に備え、症状出現時の対応を指導することが重要です。
選択肢考察
- ×1. 「職場復帰は2週間後からにしましょう」
誤りです。橈骨動脈アプローチによるPCI後で経過良好なら、退院後速やかに職場復帰が可能です。激しい身体労働を伴う場合のみ医師と相談しますが、2週間の休業を一律に指示する必要はありません。
- ×2. 「3か月後の目標体重を65kgにしましょう」
誤りです。Aさんの標準体重は165m×165m×22÷10000=約59.9kgです。65kgはBMI23.9で標準体重を超えており、目標として不適切です。さらに3か月で15kg減量は急激すぎ現実的ではありません。
- ○3. 「狭心症(angina pectoris)の症状が再度現れる可能性があります」
正しい指導です。ステント留置後も再狭窄や別部位の動脈硬化進行で狭心症発作が再燃する可能性があります。胸部症状出現時はニトログリセリン舌下投与や受診を行うよう、自己管理について具体的に説明する必要があります。
- ×4. 「退院後に穿刺部から出血する危険性があります」
誤りです。穿刺部の止血は当日中に確認され、3日経過していれば動脈性出血の危険はほぼありません。抗血小板薬服用中でも、いったん止血した穿刺部から再出血することは稀です。
PCI後はステント内再狭窄(薬剤溶出性ステントで数%、ベアメタルステントで20〜30%)への対策として、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を一定期間継続します。再狭窄予防には禁煙・運動・食事療法・脂質コントロール・血圧管理が不可欠で、定期的な外来通院が重要です。
PCI後の退院指導において、再狭窄や冠動脈疾患の自然経過を踏まえた患者教育の要点を理解しているかが問われています。
「循環器系」の関連問題
心房細動はなぜ怖い?左心耳の血栓が脳に飛ぶメカニズムを徹底解説
心房細動の病態生理(無秩序な心房興奮・P波消失・不規則RR間隔)と、それに伴う左心房内血栓形成リスクを理解しているかを問う問題。塞栓症予防としての抗凝固療法の必要性につながる基礎知識である。
115回
動かないと血が固まる?深部静脈血栓症(DVT)とウィルヒョウの三徴を完全マスター
深部静脈血栓症の危険因子を問う問題。Virchowの三徴(血流停滞・血管内皮障害・凝固能亢進)の枠組みで考え、選択肢のうち血流停滞をもたらす因子を選ぶことがポイント。
115回
肺血栓塞栓症の手がかりはDダイマー!血栓マーカーの読み方を完全マスター
肺血栓塞栓症(PTE)を疑った際に上昇し、補助診断・除外診断として最も用いられる血液検査項目はどれかを問う問題。血栓の形成と分解の過程で生じる「Dダイマー」がキーワードである。
115回
硝酸薬の使い方と退院指導のポイント
不安定狭心症患者に対する硝酸薬(舌下錠・スプレー)の退院指導における、保管方法・発現時間・服用方法・副作用予防の正しい知識を問う問題です。
115回
MRIとペースメーカーの危険な関係 ─ 検査前確認が命を守る
電磁波・磁場を利用する検査がペースメーカーに与える影響を理解しているかを問う問題。強磁場を発生させるMRIが代表的な要確認検査である。
115回
