StudyNurse

喉頭全摘後の生活変化を学ぼう

看護師国家試験 第104午前88

国試問題にチャレンジ

104午前88

喉頭摘出および気管孔造設術を受けた患者でみられるのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.誤嚥をしやすい。
  2. 2.咀嚼がしにくい。
  3. 3.においが分かりづらい。
  4. 4.高い音が聞こえにくい。
  5. 5.飲み込んだ食物が鼻に逆流しやすい。

対話形式の解説

博士博士
今日は喉頭全摘出術の術後じゃ。手術で気道と食道はどうなるか分かるか?
サクラサクラ
完全に分かれて、頸部に永久気管孔ができるんですよね。
博士博士
その通りじゃ。だから誤嚥はどうなるかな?
サクラサクラ
気道と食道が分かれているから、誤嚥は起きないですね。
博士博士
ええ着眼点じゃ。一方で困るのが嗅覚じゃ。
サクラサクラ
空気が鼻を通らなくなるからですか?
博士博士
そうじゃ。嗅上皮に匂い分子が届かないから嗅覚が低下するんじゃ。
サクラサクラ
リハビリで改善できますか?
博士博士
NAIM法といって、口や顎の動きで鼻に気流を作る方法があるんじゃ。
サクラサクラ
食物が鼻に逆流するのはなぜですか?
博士博士
咽頭再建で食道入口部が狭くなり嚥下圧の伝達が乱れるからじゃ。
サクラサクラ
咀嚼や聴覚はどうですか?
博士博士
咀嚼筋や聴覚器官は温存されるから影響はないぞ。
サクラサクラ
声はどうなりますか?
博士博士
声帯がなくなるから通常の発声はできない。食道発声、電気喉頭、シャント発声などの代用音声を学ぶんじゃ。
サクラサクラ
気管孔の管理で気をつけることは?
博士博士
人工鼻で加温加湿、入浴時の水侵入防止、緊急時は気管孔から送気じゃ。口対口は無効じゃぞ。

POINT

喉頭全摘出後の解剖生理学的変化を理解し、術後に生じる症状と生じない症状を区別できるかを問う問題です。

解答・解説

正解は3です

問題文:喉頭摘出および気管孔造設術を受けた患者でみられるのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は3と5です。喉頭全摘出術では喉頭が切除され、気道と食道が完全に分離されて頸部に永久気管孔が造設されます。空気が鼻腔を通らなくなるため嗅覚が著しく低下し、食道の解剖学的変化により嚥下した食物が鼻腔へ逆流することがあります。

選択肢考察

  1. ×1.  誤嚥をしやすい。

    気道と食道が完全に分離されるため、嚥下時に食物が気道へ入る誤嚥は理論上起こりません。これは喉頭全摘の利点ともいえます。

  2. ×2.  咀嚼がしにくい。

    咀嚼に関わる顎関節、咀嚼筋、三叉神経、舌などは温存されるため、咀嚼機能は基本的に保たれます。

  3. 3.  においが分かりづらい。

    気管孔から直接空気が出入りするようになり、鼻腔の嗅上皮に空気が届かなくなるため嗅覚が著しく低下します。NAIM法など吸気を鼻に誘導するリハビリで改善を図ります。

  4. ×4.  高い音が聞こえにくい。

    聴覚に関わる外耳・中耳・内耳・聴神経はこの手術で障害されません。聴力低下は生じません。

  5. 5.  飲み込んだ食物が鼻に逆流しやすい。

    喉頭摘出により咽頭再建が行われると食道入口部が狭くなり、嚥下圧の伝達異常から食物が鼻腔(鼻咽腔)に逆流することがあります。

喉頭全摘では声帯が失われ通常の音声発声ができなくなるため、食道発声、電気喉頭、シャント発声(プロボイス)などの代用音声を習得します。永久気管孔は鼻腔・咽頭による加温加湿・濾過機能を失うので、人工鼻の装着、入浴・洗髪時の水侵入防止、急変時の緊急対応(口対口ではなく気管孔への送気)が重要です。

喉頭全摘出後の解剖生理学的変化を理解し、術後に生じる症状と生じない症状を区別できるかを問う問題です。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。